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猫の膵炎

愛猫の膵炎発病から2年半。膵炎治療についてまとめた。

猫の膵炎治療は難しい。
嘔吐、下痢があるとごはんを食べない。
しかし猫に絶食は厳禁だ。
肝臓が飢餓に備えて脂肪を溜め込もうとする。人間でいうと脂肪肝になるところ、猫は肝硬変を起こすのだ。肝リピドーシスという。嘔吐下痢を止める薬や鎮痛剤を与える。

飲み薬はピルポケット(錠剤を埋め込むおやつ)などを使うのも良いが、いずれマズイ薬が入ってると気付くと食べなくなる。
そもそも食欲のない猫が自発的に薬を飲むことは期待できないので、ちから技で飲ませるのが確実だ。(後でペッと吐き出させることも多いが。)
慣れるまでメンタルが試される。
YouTubeなどで上手な人の動画を参考にすると良い。
薬を飲ませた後は錠剤が喉や食道に留まると炎症を起こしたりするので、水を飲ませるか、ちゅ~るで流し込むようにしている。
パターン化すれば、自分から「そろそろお薬の時間では?」と催促するようになる。

膵炎治療は基本的に定期的な輸液によって血流を良くする。嘔吐下痢によって脱水しがちなのでいずれにしても輸液は有効。
炎症を抑えるため、ステロイドを打つ場合がある。
猫の場合は人間のような副作用は出にくいとされているが、愛猫の場合糖尿病を発症した。

尿糖が出る。(ストレスでも上がりやすいが)血糖値も上がる。爆上がりする。異常に食欲が出てガブガブ水を飲み始める。おしっこは限りなく薄くなり多尿頻尿になる。1日に十数回トイレに行くようになる。
睡眠も浅くなる。寝たかと思ったらガバッと起きてポリポリ、お水をガブガブ、おしっこ...ウトウト、ガバッ、ポリポリ、ガブガブ、ジョー...(繰り返し)
そして食べているのに体重が減る。

食べ過ぎはもちろん消化器に負担がかかるし膵炎にも良くない。
こうなると悪循環だ。

そこで、インスリン注射をすることになる。
これは人間も同じだが、血糖値の変化をモニタリングしながらインスリンの最適量を探るため、2週間程度の入院が必要だ。
インスリン注射は朝晩の食後一日二回。時間を決めてごはんをあげることが前提になる。もともと決まった時間に食べる習慣がある子は良いが、だらだら食いをする子はとりあえず時間を決めて投与するしかない。
もちろん食餌量も毎回量って与え、残したら残した分も量る。
打った後に嘔吐すると低血糖になる危険があるため、食後様子をみて注射する。

使用している猫用インスリン

インスリン注射で怖いのは低血糖だ。
人間の場合はヤバイと思ったらブドウ糖を飲めばまぁ良いが、猫は「なんかヤバイみたい」と教えてはくれない。昏睡状態になった場合はすぐさま病院に担ぎ込んで血管に糖を入れてもらうしかないので注意。夜間や休日は命取りだ。

治療を継続して安定してくれば必要ないが、血液検査でフルクトサミンをみる。人間でいうところのHbA1c。直近2週間の血糖の状況がわかる。

家族複数人で看ている場合は全員が投薬や注射の手技を習得しておくのが理想だが、誤って投薬がダブると危険なので、やる人は決めておいた方が良いと思う。
そして、逐一記録すること。ひとりでやっていても、毎日のことなので忘れることがある。

血糖値のコントロールが上手くいけば、徐々に、食欲は普通に、排尿の量や頻度も落ち着く。体重の減少はなくなる。
ただし、ステロイドは筋肉が落ちる。高いところには極力上らせない方が良い。

膵炎があると、胃や腸など消化器の働きが悪くなる。適切な治療を受けさせ、きちんと食餌管理しないと、調子を崩す。バランスを崩すとすべてコントロールがきかなくなるので怖い。膵炎悪化→胃腸の働き低下→食べない→インシュリンが打てない→血糖値管理ができない→激やせ→免疫力低下→肺炎や合併症...

ちなみに、体調を崩すのは管理の悪さ以外にも原因があることは忘れないで欲しい。
雨が降るだけで猫は眠いもの。病気の猫はなおさら天候の変化なんかにも左右されやすい。自分を責めてはいけない。

糖尿病は合併症を起こしやすい。
膿みやすい。
かかとが腫れて出血する。糖尿病猫特有のかかとをつく歩き方によると言われているが、そんな歩き方してるとこ見たことないので、個人的にはその部位の血管が特別影響を受けやすいのではないかと思う。

ステロイドは長期に投与すると脱毛する。皮膚も薄くなる。裂けるとかなり大変らしいので、細心の注意が必要だ。

診察時に、何を報告すれば良いか、何を相談すべきか、不足している薬は何か、紙にまとめておくと良い。
通院も頻繁になると、漫然としてしまったり、診察時に伝えたかったこと、訊きたかったことを忘れてしまいがちだ。
そこで、自作の問診票を持参するようになった。
マメに記録する必要があるが、獣医師の方も定量的に状況がわかるので、診療しやすいらしい。

自作問診票(週一Ver.)
自作問診票(毎日Ver.おもて)
自作問診票(毎日Ver.うら)

あくまで動物医療に素人のイチ猫飼いが、膵炎になった愛猫の治療を通して知ったことなので、もしご自分の愛猫が膵炎だということであれば、参考にしつつぜひ主治医の獣医師とよく相談して治療をすすめていただきたい。

また、言いづらいことではあるが、治療するだけの経済力もご家庭によるので、そこも獣医師と相談すると良い。検査や通院の頻度、場合によっては自然に任せる、安楽死など、選択はさまざまあり得る。
自分ひとりで抱え込まず、何が最善か、信頼のおける人に相談しつつ、考えていって欲しい。

追伸

嘔吐から誤嚥性肺炎になる場合がある。呼吸が早く苦しそう、熱が高い、白血球が爆増しているなどの場合、X線により診断する。入院して酸素室に入り抗生剤を与える。

我が家の猫は膵炎治療が始まってから、関連性は不明だがてんかんの群発発作も起こした。
入院により抗てんかん薬を投与して血中濃度を上げ、退院後は経口薬によって維持している。
原因は不明。
腫瘍などによるものなのか?進行性のものか?MRIで脳の精密検査をすればわかるかもしれないが、前提として麻酔が必要なため、リスクは避けられない。麻酔前の絶食も難しい。
結局対症療法となる。
発作後は脳へのダメージが大きく、ふらつきが激しい。粗相が増えたり、トイレの中でズッコケたりするので、ペットシーツや介助が必要になる。
不幸中の幸いは、糖尿でおしっこが薄すぎ、色も臭いもほとんど残らないので、粗相されても大して気にならなかった事だ。
時間と共にふらつきは減ったが、これはダメージの程度による。そのまま運動能力を失って嚥下もできなくなり亡くなる場合もある。

それまでシステムトイレを使っていたが、入り口の位置が高いのと、一度入って方向転換しなければいけないのが難しい様だったので、普通の浅いトイレに鉱物質の砂を入れてみた。読みが当たって、粗相が減り、喜んで使ってくれている。入りやすく、砂を掻く感触が好きらしい。

システムトイレ
ひとつは普通のタイプに変更

猫にとって快適に過ごせるよう工夫をして、少しでも長く家族と共に生きて欲しいと願う。

(記事終わり)

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