AI時代、もしも今自分が駆け出しデザイナーだったら、どうやって生き残るのか真剣に考えてみた。
どうも、もちです!👋
普段はAI系スタートアップでCDOやったり、デザインスクールの代表やってたり、Figmaの書籍だしたり、STUDIO Expertsとしてweb制作したり、色んなことやってます。デザイナー歴は10年以上になりました。
今回は「もし自分が駆け出しデザイナーだったら、このAI時代にどうするのか?」について、真剣に考えてみました。
生成AIは今のところ、中堅〜シニアデザイナーにとっては、敵というより強力なパートナーになり得る存在として見られることが多い印象です。
それはそれなりの経験値があって、作業する側よりもディレクションする側に回るのが多いことが理由だと思います。作業系はAIにやってもらう→そのぶん自分は上流でバリューを発揮する、という見方なのかなと。
私も歴だけで言うと、すでにシニアデザイナーに足をつっこんでます。なので日々流れる生成AIのニュースを見ても好意的に受け取ることが多かったです。
でもね、最近気づいたんです。「ちょっと待てよ...これ、駆け出しデザイナーの人たちにとっては違くないか?」って。自分はシニアデザイナーの視点でしか生成AIの影響を捉えられていなかったわけです。デザインスクールを主催してるにもかかわらず、駆け出し視点で物事を見れてなかったことを反省しました。
正直、自分が今まさに駆け出しデザイナーだったら、同じように生成AIの影響を好意的に受け取れる自信はないです。そんな中、駆け出しにアドバイスするとしたら何を伝えるのがいいのか。
そこで一度、自分が駆け出しデザイナーだったらどうするのかについて真剣に考えてみることにしました。
AIを使う側にまわれば安泰!…それって本当?
世の中ではデザイナーという職業に対して「生成AIを使う側に回れば大丈夫」という論調があります。しかしそれは駆け出しには通用しないと思います。
駆け出しはこれからの時代、どうやって生き延びていくか真剣に考えないといけない。AIと仲良くするだけじゃなくて、自分自身も鍛えていかないと生き残れない。
ここからの話は、あくまでも私の場合は、という個人的な見解になりますが、駆け出しデザイナーの皆さんに何か少しでも参考になれば幸いです😊
ちょっと長くなるけど、最後までお付き合いくださいませ!
もうすでに生成AIは駆け出しの競合相手になっている。
真面目に最近のAIの進化スピードってすごくないですか? 「え、もうそんなことまでできるようになったの?」ってレベルの進化が日々起きている。
ちょっと前まで「AIを使いこなす側になれば大丈夫でしょ」なんて言われてたけど、今はそんな悠長なこと言ってられない状況。すでにAIは駆け出しデザイナーにとって、確実に「競合相手」になっている。
実際、知人に聞いた話では、生成AIを導入したことでデザイナーの採用を絞っていたり、人員削減している企業があるらしい。そして真っ先にその対象になるのが駆け出しや若手なわけです。厳しいけど、これはもう避けられない現実。
加えて今まで新人にやらせていた作業もAIにやってもらったほうが効率がいいってことで、新人がプロジェクトに入る枠も狭くなっているらしい。新人は経験を積むことも難しくなっているのが事実なのです。
AI時代を生き抜くために、どうしたらいいんだろう。
じゃあ、もし私が今、駆け出しデザイナーだったらどうするか?
まずこれはここ1~2年、長くても3年くらいの話として絞りました。
なぜなら、AIの進化が早すぎて遠い未来のことを考えるのは意味がないからです。
とりあえず私なら早急に中規模企業に就職して、武者修行する。
AIの進化が早過ぎて、このスキルを身につけておけば問題ないという、具体的な答えは出せないのが正直なところだと思います。
だから一つの答えとして、「柔軟性高く適応力が高い人材を目指す」というものを考えました。
そのために、まず私が絶対に必要だと思ったのは「自分を鍛えられる環境になるべく早く身を置くこと」。これが第一優先。
ジュニアデザイナーとシニアデザイナーで比較するとシニアデザイナーは柔軟性・適応力が高いことが多い。その大きな違いは「経験値」にあると思うんです。
多種多様な経験を積むことで「こういった場面ではこうした方が良さそうだ」とか場面に応じて取るべき選択の当てをつけられるようになってくる。この能力をとにかく鍛えたい。そのためには、とにかく効率よく経験を積める環境に身を置くことが重要。
経験を積む環境を選ぶ上で、とくに意識したいのはこの3つです。
事業における上流から下流まで一連のデザインタスクの経験が積める
現場でのビジネススキル的なノウハウが学べる先輩や同僚がいる
事業の仕組みや企業(組織)の仕組みを理解しやすい規模感である
そして、それには「中規模事業会社」が環境として最適なのではないかと考えました。具体的な条件はこんな感じ。
状況:順調に事業が成長中で組織拡大のために採用強化中
組織規模:30〜100人未満くらい
意識したい3つの項目と、これらの条件に合っている企業の「新人枠」を狙います。
すでに生成AIの導入で人員を削減している企業があるとは言え、それはまだ多くない。少なくともあと1~3年くらいは、新人を採用する企業はなくならないはず。
だからこそ、急いで就職する。新人採用が無くなる前になんとしても滑り込む!!
つぎは、なぜ中規模事業会社がいいと思うのか?その理由についても詳しくお話していきます。
例えば小規模企業だったら…
10人くらいの超小規模企業だと、俗に言う「一人目デザイナー」になる可能性が高いです。人手がとにかく足りないし、やることは山程あるので、確かに色んな経験はできます。
でもただがむしゃらに働いて、やった気にはなってるのに、結局どれも中途半端なスキル…という結果を招くリスクがあります。
もちろんデザインの先輩もいないから、体当たりで学ぶしかなく、成長スピードは遅くなります。
例えば大規模企業だったら…
逆に大規模企業だと、確かに研修制度などの環境は整っています。デザインの先輩もいるでしょう。でも、分業がきれいに進みすぎていて、デザインの一部分しか担当できないことが多い印象もあります。
分業のデメリットは事業全体の流れが見えにくくなってしまって事業理解がしづらいことと、スキルアップが局所的になってしまうこと。
例えば、バナーなどマーケティング用のクリエイティブ作成だけやってて、プロダクトのUIデザインや設計の経験が全然積めない、みたいなこともあります。そうなると、あまり潰しが効かない超専門人材になりやすいという面もあります。
中規模企業はバランスが取れている可能性が高い
その点、中規模企業ならバランスが取れているのではないかと考えました。理想としては事業が軌道に乗りつつあって、組織を拡大するために採用強化中の企業。
先輩デザイナーがすでにいる確率が高い。
規模的にビジネスオーナーともユーザーとも距離が近いので事業理解がしやすい。
かつ伸びている事業なので成功事例を学べる可能性が高い。
ある程度体制が整っているので極限のカオス状態には巻き込まれにくい。(超シード期スタートアップにはよくある)
予算もそこそこあるので良い人材が組織に入ってきやすい。(=優秀な人から色々と学べる可能性大)
デザイナーの先輩がいて、そろそろジュニアデザイナーを育てる余裕もでてきたかも…みたいなとこの新人枠を狙います。
これ、デザイナーとして成長するには最高の環境だと思います。
さらに付け足すと、社長がある程度デザインを重要視してくれているとこだと尚良しです。社長がデザインを軽視してる企業の場合は、先輩デザイナーがいたとしても、作業的なタスク比率が大きくなりやすいので避けたいです。面接の時に先輩デザイナーに話を聞いて、考える部分よりも作業系のタスクが多そうだったら危険信号かなと思います。
ということで、私が駆け出しデザイナーだったら、メインは会社員として中規模事業会社で働くことを選びます。
そして全力で仕事に打ち込む。貪欲に学ぶ、経験する、貢献する。
採用してもらうためには何をする?
採用してもらうための戦い方についても少しだけ考えてみました。
企業が新人を採用する場合、新人はそもそもスキルが低いので、スキルの高さは期待されていません。ではどこを見られるかと言ったら「ポテンシャル」です。
つまりこの新人を採用したら「伸びそうかどうか」を見てるわけです。なので自分は伸び代がありまっせ!というのをアピールします。
そのためには「やり抜く力」があることをアピールするのが良いと思っています。なぜなら、この「やり抜く力(=やめない力)」っていうのは何事においても、土台になる能力だからです。
題材はなんでもいいんです。とにかく自分は、やると決めたことを最後までやり抜く力があります、というの見せます。
例えば、こんな内容です。
デイリーUIを100日間やり遂げた
SNSアカウントを1万フォロワー行くまで育てた
スポーツを長年本気でやっていた
アルバイト先で売上げ目標を達成するまで頑張った
TOEICで400点から800点以上に上げた
大学の活動でクラウドファンディングを成功させた
これらはほんの一例です。本当になんでもいいんです。とにかくやり遂げる力を示せれば、採用される確率はグッと上がると思います。
制作会社はどうなの?
ちなみに私だったら制作会社よりも事業会社を選びます。なぜなら自分がやっていることが事業にどう活きていくのか、自分の目で見て確かめることができるからです。制作会社は納品しておしまいのとこも多く、その後自分たちが制作したものがどのように成果をだしているのか、事業の中でどう評価されているのかなどの結果が見えないパターンも多い印象です。
もし制作会社に行きたいのであれば、ただWebサイトを制作して納品して終わりというところではなく、コンサルに近い形で事業展開している企業が良いかなと思います。
それと同時に、会社の代表がAIとどう向き合っているのか、今後どう事業を展開しようと考えているのかを把握したうえで、企業を選択するのがいいんじゃないかなと思います。
フリーランスはどうなの?
初手フリーランスは個人的にはおすすめしないです。
フリーランスと会社員では、圧倒的に会社員のほうが成長効率が勝っていると思いますし、基本的なビジネススキルを学ばないまま1人で戦っていくというのは相当不利です。まさに茨の道。
フリーランスのほうが絶対的に自分には合っているという確固たる自信がないのであれば、やめておいた方が得策かと思います。
フリーランスになるとしても、会社員経験を積んでから独立する方が成功率は上がるはずです。
オフの時間も抜かりなく!プライベートでの成長戦略は情報収集を重視する。
就職して経験を積むのをメインとしつつ、会社での経験だけでは足りないとも思っています。プライベートでも成長のチャンスを作ることが大切だと考えます。
とくに重要なのは情報を得ること。トレンド的な情報とエッセンシャル的な情報に分けて環境を整えることを目指したいです。
トレンド的な情報を得るために:複数のコミュニティに参加する。
情報網を広げることは超大事です。今の時代、情報を持ってるか持ってないかで未来は変わってきます。
SNSでの情報収集は大前提やるとして。私だったら情報を得るためにコミュニティも使うかなと思います。できれば1つコミュニティではなく、複数のコミュニティに参加するのが理想的。
例えば一つはデザイナーコミュニティ、もう一つは生成AI関連のコミュニティ、もう一つはビジネス系のコミュニティ、というように属性が違うコミュニティに複数参加しておくことで、多角的な情報収集を目指したい。
❶自分の業界、❷トレンドに敏感系、❸ビジネス系、という風に分けて参加するのが良いかなと思います。
大事にしてほしいのは、新しい情報に触れたら、なるべく自分で確かめてみること。例えば新しく話題になっているAIツールを知ったなら、実際に触って使ってみる。おすすめの本や動画が紹介されていたら、実際に見てみる。表面的な情報だけ知っててもあまり意味がなかったりするんですよね。だから必ず、自分の目で見て、耳で聞いて、触って確かめることを心掛けるようにしたいです。
それ以外だと、NewsPicksを読むなど、日々のニュースにも目を通しておくのも良いかなと思います。
エッセンシャル的な情報を得るために:ロングセラー本を読む
時代が移り変わっても、いつでも通用するような普遍的な知識や考え方というものがあります。そういった知識や考え方は本から学ぶのがいいと思います。
特に5年以上前に出版されて、今もなお本屋で売られているようなロングセラー本がおすすめ。例えばこの辺。
7つの習慣
マネジメント 基本と原則
金持ち父さん 貧乏父さん
ファクトフルネス
影響力の武器
アイデアのつくり方
人を動かす
チーズはどこえ消えた?
やり抜く力 GRIT
紹介してるのはほんの一部ですが、この辺は誰がいつ読んでも勉強になります。
デザインも基本はエッセンシャルな内容を重視して学びます。本で言うなら例えばこの辺とか。
ノンデザイナーズ・デザインブック
タイポグラフィの基本ルール
レタースペーシング
センスは知識から始まる
誰のためのデザイン?
レイアウト・デザインの教科書
UXデザインの教科書
インタフェースデザインの心理学
あとは作品集をとにかくたくさん見まくると思います。美術館に行ったり映画を見たり、本以外にも素敵な作品との出会いは貪欲に求めたいですね。デザイナーは目を鍛えるのも大事なので!
スキルアップのために副業するのはあり?
さいごに副業について。
副業はスキルアップに最適だし、さまざまな企業のありかたや事業に触れられるのは大きな利点だと思いますので、基本的にはおすすめです。ただ個人的に就職して最初の2〜3年くらいは本業に専念した方が良いと思ってます。
駆け出しのうちに副業にも手を出すと、本業に集中できなくなって、経験からの学びが浅くなってしまい、効率が悪い。繰り返しになりますが、やった気にだけなって、たいしてスキルがついてないという状況は極力避けるべきです。そもそもジュニアの時期は条件のいい副業案件が回ってくる可能性も低いです。まずは意識を分散させず、本業に集中して全力で学ぶことが重要だと思います。
なので自分がジュニアだったら、2〜3年は本業に集中。その後は、お金のためというよりも経験の幅を広げるために、余裕があれば副業もちょこちょこ挑戦してみるかもしれません。
AIとの競合は避けられない。それでも生き残れる道を探そう。
残念ながら、AIの進化は避けられません。どのような未来がやって来るのか予想するのも極めて難しいです。
しかしそんな中でも生き残れる人材になれるよう、少しでも戦略的に動けたほうが未来があるかなと思います。
この記事で紹介した考えは、あくまで私の個人的なものです。合う人、合わない人がいると思います。それでもなにかしら駆け出しの皆さんの参考になっていれば嬉しいです😊
最後に、宣伝。
NOT DESIGN SCHOOLというオンラインデザインスクールを主催しています!当スクールのコンセプトは「即戦力となるデザイナーの育成」。一般的なスクールでは深掘りされることの少ない上流設計やプレゼンテーションの技術も、実践的に教えていきます。デザイン業界で生き残るために不可欠なスキルを、徹底的に身に付けていただけます。
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ちなみにデザインメンターも絶賛募集中です!人に教えることに興味がある方はぜひ公式LINEよりご応募ください。一緒にデザイン教育の未来を変えましょう。
今回は以上になります。
また次の記事でお会いしましょう!
ばいばい👋
読んでいただきありがとうございます!デザイナーのためになる記事を書けるよう頑張ります(^◇^)