#2 研究の背景と研究の動機
みなさん、こんにちは。
前回の自己紹介で紹介した研究テーマ「自然言語処理を用いた市民の再生水の受容度の分析」と言いましたが、これだけでは何もわからないので自分の研究に対しての時系列と共に説明したいと思います。
簡単にテーマを説明すると、「下水処理水の再利用の受容度をもっと上げるために、利用者の意見をTwitterで収集し自然言語処理によって、有効な解決策を提案する」というものです。
<学科選択時>
僕はボート部という団体に所属していたのですが、ボート部では毎日荒川で練習を行なっていました。荒川は非常に水が汚い時が多く、練習時に悪臭がしていたことから水質の問題に興味を持ち水の研究を始めました。
<学部4年~修士1年春>
学部4年の卒論テーマで関心に近い下水処理水の臭気除去の実験を行なっていたのですが、なかなか社会に対する重要性に関して見出すことができませんでした。そこで修士での研究では下水処理水の再利用がより行われているシンガポールやカリフォルニアなどの水不足の地域(降水量が少ない+人口密度が高い)をテーマにしたいと考えました。
水不足の解決方法として有名なのは海水淡水化ですが、再生水の利用については電気代を節約できること(海水淡水化は海水に対して電気分解を行い、NaCl等と蒸留水を分離しているためコストが大きい)や、内陸部での供給増加が望むことができるというメリットがあります。
修士論文ではテーマを変えるにあたり、研究室を変えました。
<修士1年夏~秋>
下水処理水の実用化において、課題になるのは水質(pH,残留物など)・コストの問題よりは「人々が再生水を使うことに対してどう感じているか」という心理的障壁についてでした。もう少し具体的にいうと高度に処理された下水処理水は飲用の基準は大きくクリアしていますが、それが「元は糞や尿が含まれている水だった」と言われると使うのを躊躇いを感じる人が多いということです。
再生水に対しての反対意見を分析できれば、より再生水の有効な普及方法が考えられるのではないか?という目的で研究を始めました。
先行研究では主にアンケートでこの疑問について回答していましたが、先輩が水不足問題に関してTwitterを用いた自然言語処理に研究していたことから、担当教官のすすめもありTwitterからデータを収集して分析するという研究を実施することになりました。自然言語処理とは、人間が日常的に用いる言語を機械で分析することを指します。
(Amazonのレビューを集めて分析し、新商品の開発の参考にするというのとやっていることは近いです)
アンケート調査と自然言語処理による分析には数多くの違いがありますが、のちの記事で紹介したいと考えています。
また、プログラミングに関しては全くの素人だったのですが、自然言語処理とTwitterからのデータ収集ということでプログラミング言語の一つであるPythonを学習し始めました。部活の情報学科の後輩の助けを借りながら、日々エラーを解決しています。
<修士2年>
リサーチトピックに合わせて、各種分析方法の学習(WordCloud・Topic Analysis・SVMなど)を行い、分析とモデルの改良・考察を繰り返しています。
基本的により高い精度の解析を実施したい場合には、より高度なモデル・分析方法が必要になるので、理解するのが難しい部分が増えてきました。
長くなってしまいましたが、今回はこのくらいにしようと思います。
今後のブログでは、
「再生水とは何か?」
「この研究の必要性と新規性」
「リサーチトピックと研究手法の説明」
について説明しようと思っています。
長くなってしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。