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ちるちる主催 BLソムリエ検定に合格しました。その顛末など…

さてさて、読書の秋ですねえ…

「ちるちる」という商業BLのウェブサイトが主催するBLソムリエ検定なるものに先日合格してしまったので、せっかくですのでその顛末について少し書かせてください。

昨年12月、『窮鼠はチーズの夢を見る』をきっかけに同性同士の恋愛という小説・コミックスの新機軸(?)を発見してすぐ、生来の探求心と研究熱心さでBLという世界に飛び込んだ私でしたが、面白いBL作品を読んでみたい、いいBL作品を知りたい、という気持ちに方位磁石のように寄り添ってくれたのが商業BLの作品データ&レビューサイト「ちるちる」でした。商業BLを巡る旅がここまでこんなに楽しかったのはひとえに「ちるちる」に蓄えられた豊富な作品データとBLを愛する皆様のレビューのおかげだったと思います。

その「ちるちる」でBLソムリエ検定(第3回)なるものが開催されると聞き、せっかくだから力試しに受けてみよう、くらいの軽い気持ちだったのですが、畏れ多くも今年の7人の合格者の中に入ってしまいました。

今年は合格率1.8%! BLソムリエ第三期生7名の発表 ←発表資料のリンク


じゃーーーーん!!
アカウントにBLソムリエ印がつきました。わーい。
あとは一万円のAmazonギフト券を頂いたよ!

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いやはや。。。

ということでちるちるさんからBLソムリエ(第3期生)の称号を頂いたのですが、それを頂いてこれからどうするかはさておき(とりあえずは今後も楽しくいろいろなBL作品を読んでいこうと思っております)、BLソムリエ検定を受けてこうだったああだったというあれこれを少し書いておこうと思います。

興味のない方は、すでに速攻で回れ右されていなかったらここで回れ右ですよ~!

一次の筆記試験は4択ということで、確信をもって答えられた質問もありましたが、うろ覚えのものや知らないものもたくさんありました。ただ、コミックス・小説については、未読だったとしても何度も目にしたことがある作品についての問いが多かったように思うので、メジャーな作品をまんべんなく読んでいらっしゃる方は結構答えられたのではないかと思います。BLCDや海外BLについての質問もありましたが(ちなみに私はBLCDを聴いたことがありません…)ちるちるの関連ニュースを確認しておいたら役に立つのではないかと思います。

筆記試験については設問も解答も公開されていますし(第1回 第2回 今回)雰囲気も掴みやすいと思いますので、ここからはあまり詳細が知られていない二次の実技試験について書いてみようと思います。こんなの興味ある方いらっしゃるのかな? ウーム、わからないけどせっかく体験したことだし、書いてみます。また、自分が薦めた作品もご紹介してみますので、もし今後受験してみたい方がいらっしゃったら、こんな感じなのかな?と少し参考にしていただけるのではないかと思います。

実技試験は、25名のモニター様から送られたリクエストに基づき、それぞれの方に2冊のコミックスを選んでお薦めする、という内容で、土日2日間のきっかり48時間の枠の中で行われます。(その48時間のマド以外は、こちらからは各リクエストのURLにアクセスできません)

モニター様はそれぞれ3-4名のソムリエ候補からお薦めを送られ(つまり、理論上は6-8冊のお薦めを受け取る計算になります)その中から2冊を選んで購入・実読し、自分のリクエスト内容に合致していたかどうかを評価します。(送られたお薦めが既読作品ばかりで未読が2冊に満たない場合はこの限りではありません)

合格発表後にちるちる編集部が送ってくださったモニターの皆様からのフィードバックを見ると、評価は、S→A→B→?(B以下もあるのかもしれません)。既読は無得点、モニター様に読まれなかったお薦めも無得点、ということになります。ちなみにこの既読の「壁」が高いです。ものすごく…

ここで一つ書いておきたいのですが、「モニター参加」という言葉から「モニターとして参加するのだから本は無償で提供されるのではないか?」と思われる方も多いと思うのですが、モニター様はソムリエ候補のお薦めの中から自己負担で2冊を購入して読んでくださるのです。その上で、購入した作品がどうだったかを評価してフィードバックとして送ってくださるのです。本当に本当にありがたいことです。だから、本当に責任重大なのです。もちろん我々が送ったコメントだけでなく、電子書籍サイトの試し読みやあらすじなども確認してから選んでくださるのかもしれませんが、それでもお好みに合わない作品にお金を出させてしまったら、と思うと胃がギュッとなります。

実技試験の大まかな「たてつけ」についてはこんな感じなのですが、もう少し実際の様子が分かるように説明を続けてみたいと思います。

筆記試験を通過したソムリエ候補には、試験の数日前に「ちるちる」から25個のURLが並んだメールが送られてきます。それぞれのURLにモニター様から送られたリクエストがありますので(1 リクエスト=1 URL)、自分の「お薦め」をコメント欄から投稿する形になります。(モニター様は匿名ですが、こちらはちるちるにログインした状態で投稿するのでIDが分かってしまいます)同じリクエストに割り当てられた他のソムリエ候補が先に投稿していた場合それも読めてしまう訳ですが、時間ギリギリまでPCの「メモ帳」で推薦文を書いて、それを残り時間10分くらいで大急ぎでコピペしたので、残念ながら(?)他の方の推薦内容を読むことはできませんでした。他の皆さまもそんな感じだったのではないかと思います。だって、文字通り丸2日かかりましたもの…丸2日あっても時間が足りなかったですもの… あとは、読めてしまうといろいろ雑念が入って迷ってしまうと思うので、読めなくてかえって良かったと思います。

実際にリクエストはどんな形式で送られてくるかというと、

どんな作品を探してほしいか(ここは自由記述です)
依頼レベル(以下の4択のようです)
 有名作はだいたい既読なのでマイナー作品 or 新規作品希望
 シリーズ買い・作家買いなのでジャンルの幅を広げたい
 自分の性癖が未知なのでどんなものが合ってるか知りたい
 知らない作品が多いので有名作を中心に教えてほしい
好きな作品(3つほど)
好きな作家(3人ほど)
地雷
受・攻どちらが重要か(どちらでもない、もOK)

リクエストの内容を具体的にお伝えすることはできないのですが、箇条書きもあったし、キーワード羅列もあったし、こういうのが好きです、というようなコメント形式のものもありました。様々な制約があってかなりお薦めできる作品が限定されてくるものも難しかったですし、反対にあまり制限がなくて「おまかせ」的なものも違う難しさがありました。表現の方法は様々でしたが、年下攻と執着攻はやはり人気があるなあと思いました。過激なのがいいという方もいらっしゃれば、そのあたりの描写は控えめな方が良いというご要望もあり、あと地雷もさまざまだったので、作品を絞っていく上で、モニターの方が推薦された作品をご覧になって嫌な気持ちにならないようにということには特に配慮が必要だなあと考えていました。

この実技試験のキーポイントは「どうやって既読作品を避けるか」だと思うのですが、これまでに読んだBL作品の数やBL歴が判らないので「そのリクエストなら絶対この作品だけれど、既読だろうか」「もう少し王道から外れたものを薦めたいが、マイナー過ぎるだろうか」の見極めがとても難しかったです。既読作品をお薦めしてしまった場合、特にそれが「好みど真ん中!」だったときはモニター様も残念に思ってくださるらしく、「既読だったけれど、的確に好みを把握していて選ぶことができず残念」「既読の作品を薦められ、久しぶりに読み返したらものすごく面白かった」という慰めのコメントもいただきました。

有名作であっても、これまで読んでこられた路線からはちょっと外れているので実はまだ読んでいない(ただ外れすぎていると好みに合わなくなってしまう)という可能性があるので、挙げていただいた「好きな作品」や「作家」を眺めつつああだろうかこうだろうかと頭を悩ませることになります。(実際、依頼レベル①の方にかなりの話題作を薦めてみて大丈夫だったケースもありました)

また、モニター様に上下巻、シリーズもの、未完結作品を薦めることに迷いを感じる方も多いと思うのですが(ハンデになりお薦めを選んでいただけないのではないかという心配と、選んで貰えた場合に金銭的な負担をかけてしまうという不安の両方だと思います)それでも薦めたい理由をきちんと説明することで読んで頂けるのだなあということが分かりました。私自身のケースでは、既読以外でフィードバックを頂いた17作品のうち2作品が上下巻、3作品が3巻以上のシリーズものでした。ただ「今回でなくてもいつか読んでいただけたらうれしい」とか「もし読まれたことがなかったら、試し読みだけでも一度読んでいただけたらうれしい」のように、無理に強く薦めた感じにならないように、ということだけは気をつけていました。


とにかく実技試験中の2日間は、プリントアウトした25枚のリクエストを何度も読み、読んでは電子書籍の本棚を探しまくり、またリクエストに戻り、という感じで過ごしました。大げさではなくてまったく時間に余裕はなく、もし土日に仕事が入っていたら合格することはできなかったと思います。作品自体は日曜の朝にはいったん選び終わっていたのですが、推薦文を書きながら「やはりあちらの作品に変えようか」と悩んでしまったり、自分が気づいていない地雷要素がどこかに含まれていないか再確認したりしているうちに、ちょっと難しくて最後に残していたいくつかのリクエストは時間切れが迫ってしまい、タイトルに一言添えるだけが精いっぱいの不十分な推薦文をお送りしてしまいました。(きっとここを読まれることはないと思いますが、あんな推薦文でがっかりされたのではないかと思います。本当に本当に申し訳ありませんでした。作品自体は真剣に選んだのですが、力不足でした)

二次の実技試験における各評価(S, A, Bなど)の配点、獲得点が公表されている訳ではないので合格したということ以外に自分がどのくらいできたのかはわからないのですが(参加人数26名 モニター261名 最高点151.39点 平均点67.69点 とのこと)、自分の場合は25人中24人のモニター様にお薦めを送り、フィードバックは全20作品分。既読3、B評価2、A評価5、S評価10でした。1名様分は送り漏れ(終了間際に全部送り終えたと思ったのに…本当に申し訳ありません)で、24人の方に2作品ずつ、つまり48件お薦めしたことを思うと打率は4割ちょいなのですが(野球ならスゴイけど…)それでも事前に恐れていたより多くの作品を読んでいただけて素直に嬉しいです。(そして、その感想をあんなに丁寧に書いて送ってくださって、本当にありがたいことだと思います)残りの28作品については、モニター様に読んでいただけなかった(他のソムリエ候補からの推薦作品が選ばれた)ということだろうと思います。

モニター様側の資料でweb公開されているものを拝見すると、それぞれの評価は以下のような基準になっているようです(候補者へのフィードバックにおいては、S、A、B、既読の区分だけ記され、それにモニター様のコメントが添えられています)

S評価「好みを的確に把握し、予想以上に自分の好みを言い当てた作品」
A評価 ?正確な文言は不明ですが、SとBの間ですので「好みとほぼ合致し、期待通りの面白さの作品」のような感じではないかと思います。
B評価「好みと多少違うが方向性が合致した作品」

S評価は端的に言えば「ドンピシャ」ということだと思うのですが、今回の実技では、ほとんど例外なく自分が好きで何度も読み返している作品をお薦めしたので、「この作品を知ることができて良かった」というお言葉が添えられた「ドンピシャ」のフィードバックには本当にジーンと来ました。

参考例として、今回の実技試験のために書いた推薦文で、リクエストの詳細がわからない書き方になっているものを1件だけ最後に添付しておこうと思います。また、今回フィードバックを頂いたお薦めBLを同じく文末にリストアップしておこうと思います。(よかったら、どんなリクエストだったか想像してみてください)

今回の検定でおすすめした作品は、あくまでモニターの方のご希望や読書歴に沿い、かつ、既読と思われる有名作を避けたものだったので、一番好きな作品をお薦めできたかというと必ずしもそうではありません。個人的に好きだなあ〜という作品はこちらの本棚にリストアップされていますので(客観的な作品の評価とはまた別の選び方ではあるのですが)、ご興味をお持ちの方は良かったらそちらをご参照ください。

<作品推薦文の一例>
* * * * *
はじめまして。
モニターとして参加してくださり、どうもありがとうございます。
短い間ですがどうぞよろしくお願いします。

挙げてくださった先生方の絵の雰囲気とはちょっと違うと思うのですが、逆にだからこそまだお読みではないかも?と思う2作品を提案させてください。
① 木下けい子さん『由利先生は今日も上機嫌』
② 一ノ瀬ゆまさん『嫌いな先輩』

①は由利先生(年上攻)が絵に描いたようなツンデレで、編集者の六車くんに無理難題を押しつけて困らせるのを至上の喜びにしています(そしてそれを飼っている黒猫に嬉しそうに報告します)。王道と言えば王道なのですが、先生のツンデレっぷりと生真面目な六車君の組み合わせにスイスイと読み進めてしまう感じです。舞台は戦後(昭和半ば?)ですが、そこまで時代物~という感じではないので読みやすいのではないかと思います。木下さんの絵のタッチは好みが分かれるところがあると思いますが、ちょっと前の作品なので今の絵よりもクセが少ないのと、物語がオーソドックスなので、これまで手が出なかった方でももしかしたら試してみやすい作品なのではないかと思います。

②は『神様なんか信じない僕らのエデン』や『gift』で話題になった一ノ瀬さんの初期の作品になります。絵柄はちょっと古いのですが、配属先の先輩・後輩の間柄です。柳澤さん(年上攻)、結城くん(年下受)ともに何となくお互いが気になるのに素直になれない適度のツン(デレ)があり、その後も結城くんを取り巻く状況が明らかになったり、柳澤さんの包容力に甘えていいのに甘えられない結城くんだったり、揺れ動く関係性に思わず感情移入してしまう作品だと思います。
この作品には作者が本編では描けなかったラストを描いた『週末迷図』という続編があり、もし興味を持ってくださり本編をお読みいただけるようでしたら、ぜひそちらまで読まれることをお勧めします。

どちらも新しい作品ではありませんが、とても印象に残っている作品です。
お好みに合うかどうかは分からないのですが、何かのご参考になれば嬉しいです。
読んでくださってどうもありがとうございました。
* * * * *

<今回お薦めに対してフィードバック(S, A, B)を頂いた作品>
(性的な表現が多めと思われる作品には念のため「←注意」をつけています)
依頼レベルは上に書いた通り ①有名作はほぼ既読 ②現在はシリーズ・作者買い ③広く探索中 ④まず有名作から の4分類になります

依頼レベル① となりのワカゾー
依頼レベル① 俺が好きなど嗤わせる 上下巻
依頼レベル② 化け猫かたって候
依頼レベル① 年々彩々
依頼レベル④ 俺は頼り方がわかりません 全3巻
依頼レベル② あさってにキス
依頼レベル② 神様なんか信じない僕らのエデン(←注意) 上下巻
依頼レベル② エンドランド
依頼レベル② 俺たちナマモノです(←注意
依頼レベル① lie cry like
依頼レベル① つれないΩと番になる方法
依頼レベル④ STAYGOLD 全6巻
依頼レベル① 笑う門にはクズ来たる
依頼レベル① 由利先生は今日も上機嫌
依頼レベル① 嫌いな先輩
依頼レベル③ 蟷螂の檻(←注意) 4巻(未完結)


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