ブックトークの記録 2024年読書週間 6年生①
11月から12月にかけて行ったブックトークの内容を記録しておきます。
現在小学校2校に勤務しており、1校あたり週2日勤務。3年生から6年生まで、全て異なった内容を準備するのはなかなか大変でしたが、自分にとっても幅が広がったよい経験となりました。
今日は、1校目で6年生に実施した内容について書いていきます。
テーマ 秋といえば…
11月の読書週間ということもあり、テーマを「秋といえば…」としました。4学年分のプログラムを作るにあたり、たくさんの本を集める必要があり、テーマにも幅を持たせたというのが、このテーマに決めた大きな理由ですが、結果的に紹介したいと思う本をたくさん集めることが出来ました。
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”食欲の秋” 『捨てないパン屋の挑戦』井出留美
広島にあるパン屋、「ブーランジェリー・ドリアン」が、”捨てないパン屋”になるまでを書いた、ノンフィクション。
店長の田村陽至さんの、子どものころパンが大嫌いだったというエピソードが印象的なため、興味を引くのではないかと思ったのと、そこから様々な経験を経て今のパン屋になるまでを知ることで、多少回り道と思えることでも、無駄なことではないんだよ、ということを伝えたかったため、この本を選びました。
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”芸術の秋” 『1000の風 1000のチェロ』いせひでこ
阪神淡路大震災から3年後に開催された、1000人のチェロコンサートが題材になった絵本です。
私自身が楽器演奏をするということや、来年1月には阪神淡路大震災から30年という節目を迎えるということもあり、何か伝えたいという思いがありました。音楽などの芸術は、震災時には役に立たないと言われがちだけれど、本当だろうか?という話もしました。
『チェロの木』もいせひでこさんがチェロについて書いた絵本として紹介しました。
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”スポーツの秋” 『星くずクライミング』樫崎茜
スポーツクライミング(ボルダリング)に打ち込んできた、主人公のあかりが、視覚障がい者のクライミング「ブラインドクライミング」を知り、ナビゲーターとして参加することになるストーリー。
この本は、これまでも何度か「おすすめの本」として紹介してきました。最初は反発しあう、あかりと視覚障がい者の少年、昴。だんだんとお互いを理解し、協力しあうようになるのですが、そこにはお互いが抱えている心の傷と乗り越えなければいけない心の壁があり、それを乗り越えていく姿を感じ取ってほしいと思うからです。
クライミングの場面では、目の前に壁(ボルダー)と石(ホールド)が見えるかのような描写が素晴らしく、まるで、目の見えない人はこうやって登っていくのかということを感じられるようです。
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"スポーツの秋”『チームふたり』吉野万理子
卒業を前に、最後の大会に参加する、卓球部のキャプテン大地。親友とペアを組みたかったのに5年生と組むことになって納得いかないうえに、家庭に問題が起こり、卓球どころではなくなってしまいます。
この本では、どちらかというと淡々とストーリを紹介していったのですが、これまでざわざわしていた雰囲気が一気に静まって、集中して聞いているように感じました。6年生になると「最後の運動会」「最後の学習発表会」など、何かと「最後の、、、」と言われがちなので、身近に感じられたのでしょうか。等身大の悩みを描いたところがよかったのかも知れません。
ブックトークを終えて
私自身6年生にブックトークをするのが初めてだったということや、読書週間の一番最初に行ったということもあり、余裕の無い面が聞く側にも影響してしまったかも知れないと感じる部分がありました。高学年向けの物語はボリュームもあり、日頃から色々な本を読んでおくことの大切さを改めて感じました。
また、あまり読書の習慣がない子が多いことも、プログラムを作るうえで頭を悩ませる一因になりました。今年度着任した学校というのもありますが、日頃どのような本を読んでいるのかもわからず、借りに来る機会も少なく…いきなり物語の面白さを伝えたいと思っても、なかなか難しいものだと感じました。学校司書として6年目を迎え、先延ばしにしてきた高学年向けの取り組みがここに来てしわ寄せがきてしまったなぁと反省する面もあります。そういった面も含めて、今回ブックトークを行った意義はあったと感じています。