学歴と社会適性とコミュ力

私の周りで問題を抱えている高学歴に共通点を見つけた。

「子供時代に"正常"な愛情を受けたか否か」が"基本的な"社会適性に関わっており、学力の有無が"応用的な"社会適性に関わっているのだと考えている。このnoteでは創意工夫して結果を出す能力を"応用的な"社会適性と定義しているが、その証拠に創意工夫が求められる職業の経営者や起業家は高学歴の方が多い。私は「残念な高学歴」を「応用的な社会適性は保有しているが、基本的な社会適性が欠落している人間」ではないかと考えている。


残念な高学歴で何とか成功した代表格が、年収チャンネルに出演している株本(早稲田卒)や2chの西村博之(中央大卒)である。資本家として年収1億を記録した株本は学生時代に不器用すぎてアルバイトをクビになっているし、西村博之は時間を守れなかったり、事務作業が苦手だったりする。彼らは難しいことが分かるから独自の分野で財を成せたが、社会生活において基本的は苦手なのだ。

逆に社会適性のあるサラリーマンが難しいことを分かるかと言えばそうではない。

私が最近知り合った旧帝大に通う女性は、楽器が出来て、勉強も出来て、顔も整ってて、一見すると多才で有能に見える人だった。しかし、深く知り合うと生活に支障が出る程度には精神面に問題を抱えていた。

他にも複数人の「過干渉な親のもとに育てられた高学歴」が知り合いにいるが、「精神病・バイトを首になる・精神的な繋がりを築けず孤立する」の三つのうちどれか1つ以上を経験していることが多い。

これは、子供の足を引っ張るタイプの大人が実際に言ったセリフである。

「子供は親の金で生活しているから親に逆らう権利などない」
「(子供が成績優秀であろうが関係なく)私の考えた勉強方法で勉強しなさい。何?自分のやり方で勉強したい?それで100点取れるっていうの?」
「私の意思はあなたの意思だと思いなさい」
「何?私に逆らうていうの?そんなんじゃ社会に出ても通用しないよ」
「(現役でマーチに入学した人に対して)あんたが浪人しても無駄よ。どうせ碌な大学に受からないもの。え?何?納得行かない?親になったら親の言ってることが分かるようになるよ。」

….信じられないかもしれないが、子供の自由意志を認めない親や教育者は実在する。子供が自由意志を持つことを否定された状態で学業成績だけを伸ばしても健全に育たないのは当然である。

例えば、私の知り合いの中央大学法学部卒は、たまに人前でおかしなことを言い出すし、バイトをクビになったり社会生活に苦戦していた。彼の親は過干渉で「自らの意思で何かをする」ことを否定されてきたため、彼の思考回路は勉強するときは正常に動作しても、第三者の視点が入ると急にポンコツになってしまうのだ。彼はいじめっ子から存在を否定され、親から意思を持つことを否定されてきた人間だ。彼は自分一人で論理的な思考を組み立てられたとしても、自由意志は出してはいけないものだと親から教育され刷り込まれてしまっており、人前に出ると思考回路が不自由になってしまうのだ。

どんな人間も現状を維持したいと思ってしまう本能のようなものがある。例えば、不幸な人がチャンスを掴みそうになった時に、あえてチャンスを逃して不幸な状態を維持しようとしてしまうと言った現象だ。

自己イメージが「ダメ人間」になってしまうと、無意識のレベルで自分自身をダメな状態で維持しようとしてしまう。そして他者から受ける「あなたはこういう人間だから」「あなたはこういう人間であってほしい」というイメージは自己像に大きな影響を与える。

自分に自信がない親は子供に対して自分より下の存在であって欲しいと願うようになる。親の持つ「子供から尊敬される親でありたい」「子供から頼られる親でありたい」という願望が歪んでしまうと、「子供を未熟なまま自分より格下の存在にしたい」という願望につながってしまう。自分を上げるのではなく、他者を下げる方向性になってしまうのだ。そして、子供から頼られようとして、子供に対して干渉し、子供がするべきことを親がやってしまう。本当は子供一人でできることでも親がやってしまう。「子供が自立し、親を不要とした状態」は親の願望に反するのだ。親から「親を必要とするダメな子供であってほしい」「尊敬に値する親より下の存在であって欲しい」というイメージをぶつけられ続けた子供は健全な成長が阻害されてしまう。

私の知人に、親元を離れた瞬間、忘れ物や寝坊が減ったパターンの人間がいる。子供時代に親が刷り込んだ「あんたは出来ない子だから」というイメージが呪いになっており、呪いの元凶と離れたことがプラスに出たのだろう。

このnoteの前半に書いた通り応用的な社会適性において学力は大切だが、学力よりも「親から適切な愛情を受けてきたか」が子供の基本的な社会適性に重要である。「社会に出たらコミュ力が大事」という言説も、言い換えてしまえば「適切な愛情を受けてきた人間の方が基本的な作業やコネ作りにおいて有利になる」という話だと考えている。

創意工夫が必要になる分野において学力はあった方が有利だが、組織で働く上では信頼されないと創意工夫が必要な立場まで辿り着けず、埋もれてしまうのだ。


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