見出し画像

マイティボーイに乗りたかった私

車の免許を取ったばかりの頃(1996年)、欲しいと思っていた車があった。

その車の名前はマイティボーイ
1983年〜1988年の間にスズキが販売していた車だ。私が免許を取得した頃には既にひと昔前の車という感じで頻繁に見かけるような車ではなかったが、小さな車体でピックアップトラックという個性的な形に惹かれて憧れていた。

近頃、その車に乗っている自分の絵を描いた。

免許を取得した頃、就職も決まり車での通勤は絶対だったのでマイカーを買うことは必至だった。
現在のようにインターネットは普及していなかったので、たまに新聞の折込で入ってくる中古車の広告チラシを隅々まで眺めたり、人知れず本屋で雑誌をめくってはマイティボーイが乗っていないかなとチェックをするのがその時の楽しみであり日課だった。

しかしながら買うぞ〜!と意気込んで探していたわけではなかった。
チラシや雑誌を眺めては『うんうん載ってるな、まだチャンスはありそうだな。』と安心感を得たかった。その気になれば買えるんだという安心感。

同時に自分が運転するにはどこか現実的でないようなふわふわとした気持ち。


結果を言えば、私はマイティボーイ買わなかった。


父親に勧められるままホンダのトゥデイ(2代目モデル)を買った。


マイティボーイが欲しいんだと父親に話したこともあったが、父親はその思いを一蹴した。就職先は交通量の少ない山道で45分。車の調子が悪くなってもすぐに修理できるような場所ではないだろうと。実際乗るにしてもツーシーターで小さな荷台、見るからに不便じゃないかと。

車に詳しいわけでもなく、ただその形が好きで乗りたかった20歳そこそこの自分。その言葉にまぁそうだよな、自分でメンテナンスできるわけでもないもんなぁとあっさり納得。マイティボーイへの想いは捨てた。

初めての自分の車、父が見つけてきてくれたホンダのトゥデイは中古車だったがエンジン爽快、山奥の坂道でもぐんぐん元気に走ってくれた。
仕事に行くにも遊びに行くにも大活躍してくれた。


なのに、なぜ今頃私はマイティボーイに乗った自分の絵を描いたのかな


今年、実家に帰省した時に20代の頃に描いていた絵を見つけた。仕事が終わって一人暮らしのアパートで描いた落書きや出かけた先で描いたスケッチなど。

自分が純粋にこういうことするの好きだったんだな、と思い返した。
SNSもましてやインターネットもほぼ普及していなかった時代。誰に描いたものを見せるわけでなく自己満足で絵を描くことを楽しんでいたよな。

それを思い返しているうちにまた始めたらいいんじゃないのかなとふと。自分が好きだと思ったことに正直に誰かのためとか上手と言われたいとか取っ払って好きなもの描いて楽しんだらいいんじゃない。

そう思い立って描いていたら、思いがけず見てくれた友人が褒めてくれて嬉しくなって調子に乗ってインスタのアカウントも作ってしまった。

描きたいものを描けばいいと思いながら過ごしてたら、マイティボーイに乗ってる自分を描きたくなった。そして描いた。

描きながら20歳のあの時、マイティボーイを買って乗っていたらまた別の人生になっていたのかな、なんて。たらればの話は好きではないがそんなことを考えた。

描いて、マイティボーイに乗ってご機嫌な自分を想像して気分が良くなった。今日のところはそれでいい。

いつかどこかでマイティボーイに乗る機会があって、二十歳の自分に『乗ってるよ〜、思った通りいい感じ〜!』って心の中で語りかける日が来るかもしれないし。そんな楽しみも抱えておこう。


最後までお読みいただきありがとうございました!
調子に乗って始めたインスタのアカウントはこちら↓ 
良かったら覗いてみてね。

https://www.instagram.com/otonokko_work/








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?