意思決定遅いファッション
この間イベント広場で素敵なコートを見かけた。
セールで30,000円弱。
深い緑で軽くて丈が長くてフードが大きくてドラマティックなシルエットだった。
私は背が高いので膝下10cmまでくる丈のコートはなかなか出会えない。
これを着て出勤したらvogueが流れそう。
でもコートってもう十分持っているような気がするし…?
その日は買わなかった。
また翌週も来ますよ、という言葉の通り翌週訪れると、そのコートは売れてしまっていた。
売れていてくれれば諦めがつくから売れていてくれ、と思いながら覗いたのに、実際売れているのを知るとショックだった。
ちゃんと、私より似合う人が買ったんだろうか?
なんであの時躊躇ってしまったんだろ。
ま、仕方がないか…。プラダの靴買お。
…と思ってイベント広場を後にした。
そういえば、私はよくこういうことがある。
自分では欲しいと思ってからすぐ買ったという認識のVCAのフリヴォルミニすら、6月(あるいは広告見たの5月かも)に知って9月に買った。
3ヶ月だが、ルミネに入っているようなブランドなら1シーズン終わっているだろう。
ユニクロのボストン、今でもよく見かけるし売り場にある頃いつも欲しいなって思ってたけど高いし……と思って買わなかった。そうこうしているうちに見なくなった。
こんなことが何回もある。
クローゼットの大半は親の服だ。
幸い親が着道楽だったのでそこそこの価格帯の服が状態良く私に受け継がれている。自分で選んだものより母の服の方が褒めてもらえる。
私が選んだ服は、ほとんどその場にいた親が買っている。もちろん私も好きなファッションはあるし、欲しいと思う服はたくさんあるけど、買うのが遅い。
私が「ま、考えるかな…」と言って帰ろうとすると「いや買いなよ!!買ってあげるから!!」と言われる。母は意思決定が早いのだ。
それ故母は買い物の失敗も多いのだが、失敗した服を私にくれるのでより一層私が服を買わないという循環になっている。
最近自発的に買ったのは夫の両親に挨拶する時のワンピースくらいだ。さすがに必要に迫られて買った。
内心、なきゃないで別にいい、縁がなかったんだと思っている。
買う後悔と買わなかった後悔で、買わなかった後悔が1年続くことってない。1年後には別のものを欲しくなっているからだ。
でもコート…あのコートは……
特にどこかのブランドのものだというわけでもないあのコートは、またそのうち巡り会えるのだろうか。
伊勢丹でプラダのローファーを見ながら、そういえばコレ去年も一昨年も確かあったよね、と思った。
年単位で悩むことができる定番品は素晴らしいな。
話は少し逸れるが、婚活の時、交際を切り出したのは私からだった。
もちろんそれまでに、OKもらえる確信が芽生えるくらいの好意を夫から感じていたからだが、「こういう人が婚活市場で出回っているのは一瞬だ」と思ったというのが一番の理由だ。あの日私の優柔不断が炸裂しなくて良かった。