ヤコブ・ニールセン10原則の映像コンテンツ制作への適用
非デザイン系出身の零細映像屋NAKAOです。
かの有名なヤコブ・ニールセン10原則を映像コンテンツ制作へ適用してまとめました。
主に、非デザイン出身かつ原理原則偏愛者かつ映像コンテンツ制作している人向け。
なお異論は認める、むしろ欲しい。
今のとこそんなにここからずれてないけど、間違いに気づいたら非定期アプデしていきます。
1. システム状態の視認性(Visibility of system status)
オリジナルの原則
ユーザーは現在の状況を理解できるように、適切なフィードバックを受け取るべき。(例:読み込み中のインジケーターやプログレスバーの表示)
映像コンテンツへの適用
→ 状況の明確な提示
→ 視聴者が今何を見ているのかを常に理解できるようにする
商品紹介動画なら、どの機能を説明しているのか明示するテキストやグラフィックを表示。(例:肩テロップや説明箇所を示すトラッキングアイコンなど)
進行状況を示すアニメーション(例:ステップごとのナビゲーション、パンくずリスト的な表示など)
シーンの切り替え時に混乱させないよう、カットとトランジションを適切に使い分ける。
2. システムと現実世界の一致(Match between system and the real world)
オリジナルの原則
システムの用語や操作は、ユーザーが普段使う言葉や概念と一致させるべき。(例:「ゴミ箱」アイコンで削除を表現する)
映像コンテンツへの適用
→ 直感的なビジュアルとストーリー
→ 視聴者が日常で慣れ親しんだ視覚的メタファーを活用する
「スピード」を表すのに、流線やモーションブラーを使う。
「時間の経過」を示すのに、時計や日の出・日の入りや影を使う。
「簡単さ」を表現するのに、スムーズで柔らかい動きを活用する。
アイコンや色は、生物的あるいは社会的に組み込まれているデザインを踏襲する。(赤や黄色は警戒色など)
3. ユーザーの主導権と自由(User control and freedom)
オリジナルの原則
ユーザーが誤った操作をしても簡単に戻れるようにする。
(例:「戻る」ボタンや「元に戻す(Undo)」機能の提供)
映像コンテンツへの適用
→ 適切な視聴体験の提供
→ 視聴者に負担をかけず、コントロール感を持たせる
長すぎるイントロを避け、視聴者が飽きるor疲れる前に情報を伝える。
必要な情報が一目でわかるように、余計な装飾を省く。
動画広告なら最初の数秒でインパクトや要点を出す。(その広告が不必要な人は早くスキップできる)
公開プラットフォームを比較して選ぶことも大事。
4. 一貫性と標準化(Consistency and standards)
オリジナルの原則
ユーザーは一貫性のあるデザインを期待する。標準的なUIパターンに従うべき。(例:ボタンの配置や動作がアプリ全体で統一されている)
映像コンテンツへの適用
→ 統一感のあるデザイン
→ ブランドやストーリーの一貫性を維持
ブランドカラー、フォント、デザインスタイルを統一。
シリーズものなら、ナレーションやトーンを揃える。(トンマナ)
テロップやキャラクターなどアニメーションの動きに統一感を持たせる。(例:シーンタイトルはカットIN、肩テロップは右からイーズイン、など)
5. エラーの防止(Error prevention)
オリジナルの原則
ユーザーが間違えないように設計することが重要。
(例:削除前の確認メッセージの表示)
映像コンテンツへの適用
→ 誤解を招かない表現
→ 視聴者が誤解しないような明確なメッセージ
早すぎるカット編集で情報を見逃させない。(意図的な演出以外で)
誤解を生む映像表現(例:機能がないのにあるように見せる)は避ける。
重要な情報(価格、機能、キャンペーン期間など)は明確に表示。
6. 記憶ではなく視認性(Recognition rather than recall)
オリジナルの原則
ユーザーが何かを覚える必要がないように、オプションや情報を可視化する。(例:パスワード入力時に「表示」ボタンをつける)
映像コンテンツへの適用
→ 情報を即座に理解できる画面デザイン(視覚フロー)
→ 視聴者が覚えなくても理解できる構成
重要な情報は見やすいテキストやアイコンで補足。
同じコンセプトorメッセージの繰り返しを活用。
長い説明は避け、ビジュアルで直感的に伝える。
視認性を高めるためにBGMやSEも効果的に併用。
7. 柔軟性と効率性(Flexibility and efficiency of use)
オリジナルの原則
初心者にもわかりやすく、熟練者には効率的に操作できるデザインにする。
(例:ショートカットキーの提供)
映像コンテンツへの適用
→ 多様な視聴者に対応する。(年齢、性別、地域、言語など)
→ 初心者でも理解でき、リピーターにはストレスを感じさせない構成(例:『前回までのあらすじ』とスキップ)
重要なメッセージや流れを最初に提示し、詳細は後で補足。
画面上に余計な情報を詰め込みすぎず、視覚的に整理。
アクセシビリティ対応などを組み合わせ、視聴者に応じて理解しやすくする。
8. 美的で最小限のデザイン(Aesthetic and minimalist design)
オリジナルの原則
不要な情報を排除し、シンプルでわかりやすいデザインを心がける。
(例:フォーム入力欄を最低限にする)
映像コンテンツへの適用
→ 視覚的ノイズを減らす(余計な要素、ちらつき、見切れなど)
→ 余計な情報を削ぎ落とし、Simple as Possibleなデザイン(画面構成)と配色にする
1カットに複数のメッセージを詰め込みすぎない。
重要な要素を目立たせ、背景や装飾はシンプルに。
「静と動」を意識し、適切な間を取る。
9. ユーザーがエラーを認識・診断・回復できるようにする(Help users recognize, diagnose, and recover from errors)
オリジナルの原則
エラーメッセージはわかりやすく、解決策を提示するべき。
(例:「404エラー」だけでなく、「ページが見つかりません」と説明をつける)
映像コンテンツへの適用
→ 情報の誤解を防ぐ
→ 情報が不明瞭にならないよう、補足を入れる
価格や条件などの重要な情報は、映像だけでなくテキスト(テロップ)やナレーションでも明示。
難しいコンセプトはアニメーションや図解で補足。
伏線貼ったらちゃんと回収。
10. ヘルプとドキュメントの提供(Help and documentation)
オリジナルの原則
ユーザーが困ったときに、簡単にヘルプを見つけられるようにする。
(例:FAQページやチュートリアルの提供)
映像コンテンツへの適用
→ 視聴者の疑問を解決する方法を提示
→ 追加情報への導線を作る
詳細情報を得られるURLやQRコードを表示。
動画の最後に「詳しくはウェブサイトへ」「購入はこちらから」などの案内を加える。
アクセシビリティ対応、トランスクリプトの併用など。
まとめ
ニールセンの原則を動画制作に適用することで、視聴者がストレスなく情報を理解し、メッセージが効果的に伝わることが期待できる。
大まかにまとめると、
視聴者が状況を理解できるようにする(進行状況や重要情報を可視化)
直感的なデザインを心がける(現実世界のメタファーを活用)
視聴者を混乱させない(一貫性のあるデザイン・誤解を招かない表現)
情報を詰め込みすぎず、視覚的に整理する(シンプルで美しいデザイン)
次に取るべき行動を明示する(ヘルプや追加情報を適切に配置)
特に、短時間でメッセージを伝える必要のある動画は、「6. 記憶ではなく視認性」や「8. 美的で最小限のデザイン」の原則が特に重要になると思います。