尊加那志(トートーガナシ)
「あなたは尊い人ですよ」
与論の方言でありがとうと言う意味。
初めて訪れた与論島
魂の島と呼ばれる場所で
1人のおばーに会った(78歳)
宿のオーナーさんの母で
とても笑顔が素敵で小柄だけど
背筋は曲がっておらず歩くのは速い
身長150センチくらいの小さな身体で
お子さんは5人いると言うからパワフルだ
時間が合うときは一緒にお茶したり
朝ごはんを食べたり
天氣が良いときは
散歩に行こうって部屋まで
呼びにきてくれたり
今日はなにしてたの?って話したり
おばーの好きなな
海の家連れてってもらって
ランチ奢ってもらったり
コーヒーご馳走したり
死んだばあちゃんに重ねながら
もう一度ばあちゃんと
過ごすチャンスをくれたと思って過ごしてた
少し痴呆が始まってるのか
そこもばあちゃんに似ていた
すぐ忘れちゃうからやだねーって
自分を責める姿も
あんたが淹れてくれたこのお茶はどこのね?
凄く美味しい
こんなお茶は飲んだ事がない
ネットで買えるかな?って
忘れたくないことは
必死に紙にちゃんと記録する姿も似てた
与論の全盛期にお客さんが来てたときは
朝4時からお客さんのごはん作って
昼は海の家で働き
子育てに寝る時間なんて
1日4時間が当たり前だったそうな
自分のことなんて後回しだったんだろう。
いざ今時間があってもやる事がないと
嘆いたおばーにとって
少なくとも自分との時間は
離れた孫と過ごす時間に似てたのかな?
最終日にお世話になりました!
今日帰るね!
またすぐ来るから元氣でおってね!
と伝えたら
おばーはびっくりしたのか
手を握ってきた
今日帰るの?えっ、聞いてないよ
寂しくなる
あんたがいてくれたおかげで
わたしは楽しかった
と目をうるうるさせながら
手を合わせて
祈るように
ミッシークトートゥガナシ
人に助けられてばっかりだった生活に
初めて心の底からあなたは尊い人だよ
(ありがとう)と言ってもらえた
救ってるようで救われてて
救われてるようで救ってる
そんな助け合いの優しい世界が
小さな島で大きく胸に響いたよ
尊加那志。
(ミッシークトートゥガナシは丁寧語)