新型コロナ関連の中小企業支援。違いは?
もうご存知の方も多いと思いますが、政府の支援策がまとめられた経済産業省のパンフレット。私はまずコレを見るようにしています。ダウンロードして私のPCに保存してあるものだけでも、
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と、こんなにバージョンがあります。PDFのファイルサイズも最初の倍以上になってます。
政府が次々と支援策を追加で打ち出して来ているのがこれを見てるだけでもわかりますね。「小出しにしすぎ」との批判もありますが。
最初の3月11日版は理解するのに1時間ぐらいにらめっこしましたが、この版に比べて今ではずいぶんとわかりやすくなりました。
現在、2020年度の2次補正予算の編成中ですので、予算審議が進むにつれてこのパンフレットも改定されていくと思います。
わかりやすくなったパンフレットではありますが、経営者さんの集まりで話していると「違いがよくわからない」という声をちょくちょく耳にしました。その時のお話をもとに、中小企業や小規模・個人事業主さんの資金面で話題に上がる制度に絞って整理してみようと思います。
1.給付金
支給の条件に当てはまる人であれば、申請すればもらえるお金です。
持続化給付金がこれにあたります。
法人で200万円、個人事業主で100万円もらえるというものです。
2.助成金
これも、支給の条件に当てはまる人であれば、申請すればもらえるお金なのですが、「助」という字があるように、助けになるものという側面が強いです。
手続き大変、支払われるのが遅い、少ない、などいろいろと批判されている雇用調整助成金がこれにあたります。
支払った休業補償の全額ではなく、助成率や限度額の範囲内でお金がもらえるのですが、二次補正予算では支払った休業補償の全額を助成することが検討されています。
3.補助金
これは、選ばれた人だけがお金がもらえるというものです。
「選ばれた人」という意味ですが、補助金の大まかな流れは、以下の様になっているからです。
公募要件に合致した事業計画を作成して締切までに申請(事業者)
↓
申請者全員の事業計画を審査して、事業者を選ぶ(行政)
↓
選ばれた事業者は、事業計画に従って実施(事業者)
↓
終了後に実施結果を報告(事業者)
↓
終了報告にもとづいて補助対象経費×補助率で補助金額を決定(行政)
↓
決定した補助金額分のお金がもらえる
というように、申請した人の中から審査して選ぶということが行われるからです。
補助金にも「助」という字があるように、補助対象となる経費×補助率で補助金額が決まるため、支払った経費全額がもらえるわけではなく、自己負担があります。
以下の3つが補助金に当てはまります。
● 小規模事業者持続化補助金
● IT導入補助金
● もづくり・サービス・商業補助金
小規模事業者持続化補助金は、持続化給付金と名前が似ているので混同しないようにしましょう。
4.信用保証
銀行・信用金庫など民間の金融機関からお金を借りるときには、連帯保証人や担保を求められたりしますが、信用保証協会が信用保証することで
・金融機関としては融資しやすくなる
・企業・事業者側としても連帯保証人や担保の負担がなくなる
というものです。
● セーフティーネット保証4号
売上高が前年同月比20%以上減少
● 危機関連保証
売上高が前年同月比15%以上減少
● セーフティーネット保証5号
売上高が前年同月比5%以上減少
セーフティーネット(以下SN)保証4号、危機関連が100%保証なのに対して、SN保証5号は80%保証ですから銀行としてはちょっと貸しづらくなります。
信用保証には保証枠という「この制度で保証できるのはこの金額までです」という枠があり、以下の3つです。
(1) 一般保証
(2) SN保証
(3) 危機関連保証
別枠でそれぞれ2.8億円です。ですので、100%保証を望むのであれば、20%以上減少している事業者さんは、SN保証4号の保証枠と危機関連の保証枠を2つ使えることになります。制度上は。
沖縄県には(1)一般保証枠を活用した民間金融機関からの融資制度もあります。
中小企業セーフティーネット資金といわれるもので、感染拡大の被害を受けたことを商工会・商工会議所で認定してもらえれば、利用できる制度です。
SN保証4号、危機関連保証の認定を受けていれば、さらに条件がよくなります。(一般保証枠自体は2.8億円ありますが、この制度が適用されるのは3000万円までです。)
※沖縄県の制度ですが、沖縄県のホームページは読んでもわからないので、沖縄県信用保証協会のホームページを見てください。
5.保証料・利子減免
SN保証と危機関連保証を利用した融資に対して
・金利は実質無利子
・保証料はゼロまたは半額
という制度が5月1日から登場してきました。
これは各都道府県の制度融資として行われ、各県によって制度の名前が違いますが、新型コロナウイルス感染症対応資金としている県が多いです。このメールマガジンの読者がお住まいの沖縄県、熊本県、香川県、岡山県、大阪府、富山県、長野県、愛知県の各府県ではこの名称でした(東京都はホームページを探してもどれが該当するか判別がつきませんでした)。
SN保証および危機関連保証の保証枠2.8億円のうち、3000万円までは当初3年間は実質無利子になることに加えて、保証料がゼロまたは半額になるというものです。
この制度のもう一つの特徴は、保証の認定などの手続きが金融機関でワンストップでできるということです。SN保証、危機関連保証の認定をまだとっていない方は、この制度を利用すると便利です。
6.貸付・融資
国がお金を貸す制度です。国が直接お金を貸すのではなく、政府系金融機関(ここでは公庫。日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫)を通じての融資です。
以下の3つがあります。
(1) セーフティーネット貸付
・対象:今後、影響を受けることが見込まれる事業者
(2) 新型コロナウィルス感染症特別貸付
・対象:売上が5%以上減少した事業者
(3) 新型コロナウィルス対策マル経融資
・対象:売上が5%以上減少した小規模事業者
(2)と(3)については、当初3年間の金利は基準となる金利からマイナス0.9%された金利が適用されます(4年後からは基準となる金利にもどりますので注意を)。
(3)は小規模事業者さんだけが対象です。
※小規模事業者とは、常時使用する従業員が
小売・卸売・サービス業:5人以下
製造業・運輸業・建設業・その他の業種:20人以下
の事業者さんです。
また、(3)は、商工会・商工会議所が公庫に対して推薦をして融資を受けるので、商工会・商工会議所による経営指導を6ヶ月以上受けていなければなりません。平たく言えば会員になって6ヶ月経過していることですね。
融資の申込み窓口も商工会・商工会議所です。
7.特別利子補給
前項の6.貸付・融資の3つのうち、
(2) 新型コロナウィルス感染症特別貸付
(3) 新型コロナウィルス対策マル経融資
の融資を受けた方のうち、要件を満たした方は、当初3年間は利子補給を受けることができて実質無利子となるものです。
どうでしょうか、長々と書いてきましたが、違いがおわかりいただけましたでしょうか。
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