「Familiar」全曲解説その4

　では行ってみましょう4曲目、
「キッチン」です。

　あれは去年か一昨年、インスタにギターのミニフレーズたくさんアップしていた中の一つ。その頃から「料理番組で流れそう」と思っていたので、掘り起こして料理の曲にしようと作り始めました。作るにあたって、いくつか決めたキーワードは、「料理」「簡単」「孤独」。
　
　僕も料理は好きですが、凝ったものは全然作る気になれなくて、火元が一つでできるものばかり作っています。おむすび、目玉焼き、炒飯、餃子、肉まん、パンケーキ、そうめんなどなど。トクマルシューゴさん曰く、料理と音楽の作り方は通ずるのだとか。はい、その通りです。

　料理を作ることの1番のメリットは、安心すること。好きなものをいつもの手順で作って食べることでいつもと同じ気持ちに帰ってこられる。それがもたらす精神の安定は計り知れません。

　曲の中で、冷蔵庫が空っぽなのに、彼女が何を作ってるのかは定かではないですが、食事の後、気持ちが落ち着いていることを願うばかりです。堀込高樹さんが作詞に関するインタビューで「絶望には希望を、希望には絶望をひと匙」と書かれていたのを読んで、最後のブロックを書きました。気持ちが乱れている原因がわかれば、もう8割は解決したも同然です。それを受け入れる瞬間、人は美しい。

　初めは打ち込みの曲にする予定でしたが、遅々として進まず、作業自体も楽しいと感じなかったため、方向転換、ギター部に依頼しました。奇跡的にスケジュールが合ったので、歌も伴奏も一発録りで録音。和気藹々と楽しいテイクが録れました。12月の単独ライブでどんな風に披露されるのか、今はギター部の出方を窺っています。

Vo, Gt 牧野容也
Gt 谷口雄
Gt カナミネケイタロウ
Gt あだち麗三郎

録音、ミックス　牧野容也

牧野容也「キッチン」
https://music.apple.com/jp/album/%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%B3/1754539051?i=1754539353