見出し画像

「Familiar」全曲解説8曲目

 なんだか夏に戻ったみたいですね。
いよいよ最後の曲、「雷」です。

 まずはじめに、この曲の読み方ですが僕は「いかずち」と読んでいます。もちろん「かみなり」でも間違いではありません。製作者としては、より脅威を強く感じるようにしたいんです。

 ライブ中にこの曲を歌う前、時間があるときは少し触れていますが、沖縄や横須賀の軍事施設、北海道の興部からオホーツク海に浮かぶ北方領土を見て、実際にその土地に住む人の暮らしを脅かしうるものがこんなに身近にあるのかと驚きました。毎日脅威にさらされている人たちがいて、その上で成り立っている生活もある。本当は、「驚いた」程度の衝撃ではなかったのですが、その時の心中を説明する語彙を僕はまだ持ちません。だからこそ曲になったわけですが。

 ちょっと想像してみて欲しいんですが、例えば戦争を知らない人たちや、動物たちにとって、轟音と共に空が光る様子は、彼らの目にはどんなふうに映るんでしょうか。町中が焼け、屋根から上がる炎で赤く染まった空は、何に見えるんでしょうか。
 そういった状況でも、そこにあるコミューンにとっては人災か天災かは関係なく、起こった出来事を受け入れて生きていくしかありません。鮫はシマウマを狩ることはなく、ライオンが魚を獲ることはありませんね(多分)。人だけが隣人のスペースを我が物にしようと諍いを起こします。樫も楡も、置かれた場所で伸びるというのに。
 
 作詞するにあたって、ほんの少しだけ違和感を感じるように言葉を配置しました。違和感こそが現状を変えるきっかけになりますから、その居心地の悪さも含めて味わってもらえたら、違った曲に聴こえると思います。


Gt,Vo牧野容也
Pf谷口雄
Baカナミネケイタロウ
Drあだち麗三郎
Vib影山朋子
SEカナミネケイタロウ

録音 原真人、三八亭と影(Vo,Vib)
ミックス 原真人

牧野容也「Familiar」 雷
https://music.apple.com/jp/album/雷/1754539051?i=1754539574

いいなと思ったら応援しよう!