「鼻歌を歌う」 #100日間連続投稿マラソン
今日も定家明香さんからいただいたお題をイカします!明香さん、ありがとうございます(*'ω'*)
「鼻歌を歌う」
くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン
彼女は朝からずっとパソコンに向かっていた。朝ごはんの代わりにしたミニドーナツの袋もそのままにして、空のペットボトルをいくつも転がして、そこから全然動かなかった。
頬杖をつきながら、一週間くらいずっと同じ歌を歌っている。あれは彼女の自作の歌だ。歌詞もメロディーも毎回バラバラだけど、どこかで必ず「い」と「か」の音の連呼シーンがある。それが始まったら、彼女はしばらく帰ってこないのだ。今のうちに催促しておかなければ。僕はまだ朝のカリカリをもらっていない。
「ポンちゃん、どうした?」
カリカリくださいな。
「ああ、ごめんね」
そうですよ。
「歌、うるさいか」
違うんです。カリカリをね、
「ごめんごめん。静かにするから寝てていいよ」
彼女は僕の顔をくしゃくしゃに撫でまわすと、口をぎゅっと閉じてうなずいてみせた。そしてまたパソコンに向き直った。
台所の床にある、僕用のお皿を蹴っ飛ばしてみせた。高い音が鳴る。けれど彼女は気づかない。画面に向かって拍手をしたり、唸ったり、髪をかき回したり、メモをとってまた拍手したりした。
僕はしかたなく、彼女のあぐらの太腿に寄りかかって丸くなった。あったかいけど、眠る感じでもない。どうにもうるさい。さっきの約束はすぐにどこかへ飛んでいってしまった。たしかに彼女の口はしっかり閉じられたのだけど、今度は鼻のふたつの穴が大きくなったり、縮んだりしている。ふんふんふんふん、ふんふんとくぐもった声が聞こえる。パソコンに何か打ち込んで、うなずいて、また打ち込む。拍手する。ふんふん言う。また。ふんふんふんふん鳴く。
僕の爪が彼女のリラコに引っかかる。
「ん?どうした?」
うるさいです。
「ああ、ごめん、エアコン寒い?」
僕は力を入れて右手を握り、リラコに小さな穴を開けてやった。彼女は笑って太腿を掻く。鼻の穴が膨らんで、こもった声を垂れ流して、また戻った。
#100日間連続投稿マラソン 22日目でした!お付き合いいただきありがとうございました(*'ω'*)
今日で、イカ変態同好会が終わりになってしまいます(*´ω`)
約2週間、イカ変態のみなさんから毎日作品が届いて、本当に本当に楽しかったです!今日のこの拍手したり唸ったり鼻歌うたってるのは、みなさんのイカを読んでいるときの私でした(*´▽`*)
おーーーさみしい。
押し寄せてきます。
でも、一度覚醒したみなさんのイカ変態性はもう消えません。だからまたイカしたらぜひ教えてくださいね!
駆けつけて抱き締めます!!🦑
ひとまず、さよなら(*´▽`*)/
本当に本当に本当にありがとうございました!
これから、イカ変態同好会の振り返りnoteも書いていきます(*´▽`*)