「手帳」をイカします! #100日間連続投稿マラソン
はじめにお詫びです。
いつも例文をみっつイカすることにしていたのですが、今日はどうしても間に合わないので、ひとつだけイカさせていただきます。
すみません💦💦💦
イカってくにゃくにゃだよねという方はぜひこちらからお読みいただけると嬉しいです(*´▽`*)
今日は、蔦。さん からいただいたお題をイカさせていただきます!蔦。さんもたくさん送ってくださったので、他のお題と行ったり来たり大切にイカします(*´▽`*)/
「手帳」
くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン
土曜日の朝から妻が怒っていた。正確には昨日の夜からで、良太が通う塾から電話がかかってきたのだ。『欠席でしたが、何かありましたか?』良太は鼻歌をうたいながら風呂に浸かり、自分の部屋でたっぷりゲームをしてから眠ってしまったあとのことで、妻は震えながらドアを蹴飛ばそうとする足を鎮めていた。
九時ごろになって、良太が起きてきた。妻は淡々と朝食の準備をし、彼の脇に牛乳のコップを置いてやると、突然堰を切ったようにまくしたてた。
「あんた昨日の塾どうしたの?普通に家にいたよね、ゆっくり風呂入ってゲームして寝てたよね?あんたが寝てから塾長から電話がかかってきました。良太君、どうしましたか?って。今日は数学の特講だったんですが、って。あんたがのんきに遊んでいるあいだに、みんなは勉強してできないところができるようになったみたいよ。あんた数学が一番苦手でしょうが何やってんの!」
良太は冷蔵庫に貼ってある予定表を見に行き、やべ、と声を上げた。
「三年になってこれじゃあ、先が思いやられるよ。本当最近たるんでるよねあんた。やる気がないなら塾やめてもいいけど?お金払ってさぼるんじゃばかみたいだから」
「忘れただけだよ!」
「それがたるんでるっていうの!」
「母さんが教えてくれればよかったじゃんか!」
「あんたは小学生か!」
「うるせえよ!」
私があわてて間に入る。
良太は無言でトーストと目玉焼きを食べ終えるとそのまま部屋にこもってしまった。
「あいつは、まだ喧嘩を回避の仕方が分かってないからな」
「あたしは喧嘩じゃなくて注意をしてるんだけど」
地雷を踏み潰した私は、出かけることにした。
書店と雑貨屋をいくつか回った。懐かしい本や、新刊のけばけばしい広告の間をゆったり歩く。私はふと考え事をして、(ちょうど文房具の棚の前だった) いくつか商品を手に取っては、戻して、また広げて調べたりした。
良太は部屋のベッドの上で体育座りをしていた。
私は彼へのプレゼントを脇に置いた。良太は私とそれの間で目を行ったり来たりさせ、指先で持ちあげた。
「良太も、もう大人の入口だ。こういうのを使いこなせるようになるとかっこいいぞ。塾の日程とか、宿題の〆切とか、遊ぶ約束だって書ける。ゲームの進み具合とか攻略方法をメモしたりするのもいい。使い方は使う人の好きでいいから、こういうのけっこう楽しいぞ。自分で自分の人生を書くんだ。やってみろ」
良太は下を向いたまま何度かうなずいた。
「良太、」私は息子のとなりに腰を下ろした。「母さんがああいうときは、ごめんなさいってすぐに言ったほうがいいぞ。お互いアクセル全開で正面衝突しようとする。傷ついて疲れるだけだから、そこはこっちが折れたほうが、早い」
「確かに」
「だろう?土曜の朝からあれは頼むよ」
「分かったって」
良太は力強くうなずいた。彼はプレゼントを広げると、机からボールペンを持ってきて何やら書き込んだ。『僕、ブレーキ』
「でも、さあ、これちょっと色が渋すぎない?」
「そりゃ、父さんとおそろいだから」
「最悪だよ」良太は天井を仰いで転がった。振動でベッドが跳ねる。午後は晴れそうだった。
#100日間連続投稿マラソン 12日目でした(*´▽`*)お付き合いいただきありがとうございました!
短くなってしまってすみません。
なんか下の余白が消えないっ笑