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「靴ずれ」をイカします! #100日間連続投稿マラソン
今日は定家明香さんからいただいたお題をイカします!定家さんありがとうございます(*'ω'*)
「靴ずれ」
くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン
顧問や居残りのクラスメイトに挨拶をして、校門を出た。空がオレンジから紺に変わっていく途中で、ちょうどいい疲れと、冷えた背中が心地いい。
少し前を、女子がひとりで歩いていた。
こげ茶色のボブが揺れる。鞄についた耳垂れうさぎのストラップで、それがとなりの席の小林さんだと分かった。小林さんはとてもおとなしい人で、席替えして一週間は経ったのに話すどころか声を聞くこともほとんどできていない。話しかけてもはにかむばっかりだし、先生に当てられるとおろおろ視線を泳がせる。本を読んでいるか、他の女子たちのおしゃべりを聞きながら微笑んでいるか。それしか見たことがなかった。
目の前の小林さんは、右足を少し引きずっている。つー、かくん。つー、かくん。奇妙なリズム。
名前を呼ぶと、彼女は驚いて振り返った。ボブの毛先がドレスの裾みたいにふわりと広がって戻った。
「足どうしたん?」
小林さんは首を振って、はにかんだ。
「痛い?」
「大丈夫です」
彼女はわずかな声を絞り出すと、小さくお辞儀をした。
「俺、湿布持ってるよ。部活でいつも鞄に入れてんの。あげるよ」
「大丈夫、そんな、全然、全く大丈夫だから」
「でも引きずってるじゃん」
俺は鞄から湿布の箱を取り出し、差し出した。彼女は受け取らない。
「どこが痛いの?」
「全然大丈夫」霞みのような声。
「え、足首?」
「あの、ちがうの、えっと、かかとが、その」
「ああ、くるぶし?じゃあ、これぴったりじゃん」
俺は箱を彼女の鞄にねじ込んだ。
小林さんと目が合う。優しくうなずいてあげると、彼女はいつものように目を泳がせた。
「じゃあまた明日」
俺は彼女にくるりと背を向けて歩き出した。ポケットに手を入れる。明日になったら、ちょっとは話ができるかもしれない。話せなくても、挨拶くらいはいけそうだ。口笛で白日を歌うと、高音がばっちりはまってまた心地よくなった。空は濃い紺のグラデーションになっている。
#100日間連続投稿マラソン 21日目でした!お付き合いいただきありがとうございました(*'ω'*)
気づいたら、イカ変態同好会明日まででした…!たくさんの方が参加してくださって、本当に嬉しい毎日でした。イカ変態がなかったら出会えなかった方々もいらっしゃるんじゃないかなと思うと、できて本当によかったです。…さみしくなってきました笑
もちろん、一度覚醒してしまったイカ変態性は消すことができないので、期間が終わったあともみなさんはイカ変態です。イカしたよ~という方がいらっしゃったら全力で抱き締めにいきますのでご覚悟ください(*´▽`*)
明日まで同好会を楽しみたいと思います!
それでは、また明日お会いしましょう(*´▽`*)/
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