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「ビー玉」をイカします! #100日間連続投稿マラソン
今日も、蔦縁 ヨウさんからいただいたお題をイカします!(*´▽`*)
「ビー玉」
くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン
じいちゃんの部屋の茶箪笥の中に、透明な瓶が仲間入りしていた。
ここはじいちゃんのお気に入りの物置で、お茶っ葉の筒や湯呑、封の開いたお菓子、外国のお酒、アイスの当たり棒、ぼくがあげた折り紙の鶴、初代の眼鏡、古い写真、蜂蜜の空き瓶、どこのか分からない小さな鍵とか、とにかくいろんなものが詰め込まれている。ばあちゃんは、湯呑とグラスを丁寧に並べたがって、よく怒っては中身を捨てようとした。けど、二年前に入院してしまってからはずっとこんな状態だった。
じいちゃんは、畳に座布団の枕でいびきをかいている。ぼくが新聞の山につまづいてすっ転んでも (足の甲にすり傷)、 気がつかなかった。
透明な瓶に手を伸ばしてみると、それはただのジャムの空き瓶だった。いちごの絵が肌にこびりついている。昨日の朝、パパがいちご・オレのためにきれいにしちゃったんだった。その瓶が光ってみえたのは、中身のせいだ。
見たこともないような、美しい飴玉だった。
まん丸くて、ガラスみたいに透明で、三つともまったく同じ大きさ。玉の中には、炎がくねっているのを閉じ込めたみたいな赤やオレンジのもようがある。瓶を傾けると、カチャン、と音がした。
ぼくはじいちゃんのいびきに背を向けて、いちご味の飴玉をひとつ取り出した。とても重い。もしばれたら、そうだ、あんまりにもおいしそうだったからと素直に答えればいい。三つあるんだから、ひとつくらいくれてもいいでしょう、それとも、くれられないくらい高級なの、と問い詰めればいい。舌にのせると、冷たい。味がしない。そうだ、きっと、中のもようみたいなところがとびっきり甘いんだ。そこまで静かになめていれば、いずれ濃厚でとろりとしたいちごの味が染み出してくるんだ。飴玉がぼくと同じ温度になってきた。ぼくは少し後悔した。もしかして、これは本当にとっても高級だったのかもしれない。舌では感じたことがない、つるつるした舌ざわり。もう他の飴ではざらざらで、痛くなってしまいそうだ。舌の上で転がす。一度取り出してみたけど、大きさはほとんど変わっていなかった。奥歯で挟んでみる。カチ、とかたい音がして、でも傷ひとつつかない。いちごの味が遠い。でもずっとがまんしていれば、素晴らしい甘みがぼくの舌に届くはずで、
「あんた何やってるの!」
駆け寄ってきたママが、ぼくのあごを掴んで口の中に指を突っ込んだ。飴玉が落ちて転がった。飴のあとに合わせて畳が濡れた。
「あといくつ飲んだの?」
ママは聞いたことがないような大きな声で言った。ぼくが首を振ると、ため息をついて屈み込み、転がった飴と瓶まで取り上げた。ちょっと、お義父さん!とまた大きな声を出した。
じいちゃんのいきびが小さくなった。
#100日間連続投稿マラソン 14日目でした!お付き合いいただきありがとうございました(*'ω'*)
2週間できたみたいですね…!継続が苦手なわたしとしては、めちゃびっくりです。できると、嬉しいものですね…(≧▽≦)✨
いつも応援してくれるみなさまのおかげです。
本当にありがとうございます!
形は少し変わってしまいましたが、あと86日、がんばって書きます!これからもぜひよろしくお願いいたします🦑✨
それでは、また明日お会いしましょう(*´▽`*)/
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