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SolanaのDeFiまとめ

24h Volume $1.7B、Fee $$2.5MとチェーンNo.1の座を手にしたSolanaはどんなDeFiに支えられているのかまとめる。

Jito

SolanaのLiquid Stakingプロジェクト。SOLをJitoに預けると代わりにステーキングをしてくれて、jitoSOLを受け取りステーキング報酬を受け取れるというもの。EthereumでいうLidoやRocketpoolに近い。TVLが$2.4BとSolana DeFiではNo.1。2024年10月時点ではjitoSOLのAPYが8%と表示されているが、私が個人的に計測したAPYと大きく変わらず、現状は正しい表記をしていると思われる。jitoSOLはステーキング報酬がjitoSOL価格に反映されるモデルを採用しており、jitoSOLがwalletに降ってくるわけではない。受け取ったjitoSOLを流動性提供したり、貸し出したりなど、ステーキング報酬以外の報酬を受け取ることを目指す運用も可能だ。

SolanaのLSTはこれ以外にもMarinadeのmSOL、BlazeStakeのbSOLを始め、かなり多くの種類が存在する。そのため、SOLのLSTごとに流動性Poolが必要になり非常に効率が悪くなると想定されるが、その問題解決に取り組んでいるのがSanctumのInfinityというLSTだ。Infinityはホワイトリスト化されたLST群のインデックスファンドの持分のようなもので、INFと各LSTで流動性を固めることで、LSTごとの流動性Poolを作らなくてもいいように設計している。INF/USDC、INF/SOLが用意されているため、SOLのLSTはINFを経由すれば独自の流動性Pool作成に力を入れなくても多様なトークンとswapできるという理念である。この設計は、本来SOLのLSTはステーキングされているSOLの量を確認すればその価値が計算可能なはずだという考えのもの作られている。ただ、jitoSOLなど既に時価総額の大きいLSTはUSDCやSOLとのPoolに一定規模の流動性を持ってることもある。

Kamino

トークンの貸し借り、DEX運用Vaultへのdeposit、1クリックでのレバレッジ運用など、KaminoのUIから多様な運用が可能。
LiquidityというページからVaultへの入金ができるのだが、裏側ではOrca、Meteora、RaydiumなどのDEXで運用することになっており、VaultのStrategyによってはドローダウンを抑えて一定のアップサイドを取ることもできるようになっている。特にCL Poolでトークンペアのボラティリティも一定ある場合はレンジ管理が面倒なのが従来課題であったが、それを自動で良い塩梅にやってくれるという。Vaultごとに戦略が異なるのと、実際に表示されているAPYが今後も出続けることは確約されていないため、詳細は自身で確認されたい。
また、Multiplyというページからは、いわゆる「ぐるレバ」が1クリックでできる。例えばキャンペーンの金利がついているPYUSDをdepositし、JLPを借りて売却してPYUSDを得る、そしてまたそれをdepositしてという形で繰り返した場合、PYUSDのキャンペーン金利が、JLPの借入金利を大きく上回っている場合はその差分の収益を得ることができる。これは手動で行うと面倒だが、レバレッジを指定することで1クリックでレバの効いたポジションを取ってくれるのだ。もちろんJLPが大きく値上がりしてしまって清算され大損してしまうことや、気づいたらキャンペーン金利が微妙になっていてレバかけるだけ損失が拡大するというケースも往々にしてあるので注意が必要だ。

  • Jupiter

DEXアグリゲーター兼Perpetual DEX。DEXアグリゲーターとは、トークンAからトークンBにswapする際に、複数のDEXから最適なswap経路を導き出してくれるもの。最も有名なのは1inchで、これは複数のチェーンに展開されている。上述の通り、SolanaにはOrca、Raydium、Meteoraといった複数のDEXがあり、最も良いレートでswapするための確認作業が非常に煩雑であるが、Jupiterを使えば簡単に良レートでswapが可能になる。また、JupiterはPerpetual DEXとしての機能も備えている。PerpetualDEXが何か?という方は以前のツイートを参照されたい。

JupiterのperpはJLPという流動性Poolがトレーダーのカウンターパーティとして機能する。JLPはトレーダーの支払った手数料に加え、トレーダーのトータルの損失分を利益として得ることができ、それらを再投資しているため、JLPトークンを持っているだけで自動複利運用ができているとも言えるだろう。ただこれは、DeFiらじお第6回で話した通り、トレーダーがトータルで損失を出すという状況下では利益が出るが、トレーダーが何らかの情報を手にして取引をしている場合にその仮定が成立しなくなる可能性もあるので注意が必要だ。
ただ、JLPは流動性提供の報酬を稼ぎつつ自動複利機能も内在されているトークンとして、さらにレンディングや流動性提供に利用できる点は資本効率の観点では魅力的なトークンと言えるかもしれない。

Drift

オーダーブック型のPerpetual DEX。注文自体はオンチェーンで行われるため、署名の手間がかかる点はHyperliquidやdydx v4に劣るところと言える。その間にオーダーブックが動いてしまうことも少なくない。注文された後のオーダーブックの管理はオフチェーンのKeeperと呼ばれるbotで構成されるネットワークによって行われる。
Driftの優れている点は、Perpetual DEXに欲しい機能がほぼほぼ揃っていて、かつUIが非常にわかりやすいことだ。Drift全体の資金管理リスクが高まる要因の1つではあるが、かなり幅広い担保に対応していて、SOLだけでなくLST、ミームコインまで多種多様だ。FRの履歴も閲覧しやすく、過去のトレーディング結果のダウンロード等も容易である。
確かに高機能なperpetual DEXとは言えるのだが、今のv2が出る前のDrift v1は、Terraショックが起きた2022年春に、運営都合でユーザーの資金を凍結させ、それによって損失を出したユーザーへの補填も今の所行われていないという経緯があるのが注意したい点だ。将来何らかの理由でDriftに預けられているユーザーの資金が危険にさらされた場合、運営がまた強制利用停止措置を取ってユーザーが大損するという可能性は考慮した方が良さそうだ。

SolanaはDeFiだけでなく、HivemapperのようなDePINプロジェクト(主語デカいが)の誘致にも成功し、ミームコインの賭場としても有名だ。上記や、Ethereumネットワークとの違い、他のDeFi、様々なVaultなども書きたいところだが、今日はここまで。

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