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ビッグラブ奄美 その1
0日目:11月19日(土)深夜2時
人間関係も仕事も体調も色々あり(割愛)、4連休は意図的に無になりにいく旅をしようと思った。沖縄ですら都会すぎたので、突発的に奄美大島行きの航空券を購入。純粋な一人旅も初めてだし車にも乗れないけど、有名な観光名所には行けなくても良かったので問題なかった。できるだけSNSも見ないように小説を3冊揃えた。合唱曲「夢の世界を」が頭に流れ始めた。さあ!出かけよう!!
Kindleアンリミテッドでガイドブックを2冊ほど読み、奄美空港から名瀬(繁華街)の間の海沿いのエリア(奄美パーク、ハブ、ラフォンテ)はバスでいけそうとの知見を得た。名瀬から遠いところは無理。
名瀬にホテルを取り、左上の海沿いのエリアで1日、名瀬近郊で1日、そして1日は鉄板のツアーを申し込むことにした。これで残り二日大失敗しても、ツアーには行けるから安心。
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1日目:11/23(木)
14時過ぎ
奄美空港に到着。
早速エスカレーターの横に酒瓶が並んでいる。
黒糖焼酎って甘いのかしら。
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流れてきたスーツケースを掴んですぐにバス停に向かうも、バスは2分前に出てしまっていた。
空腹のままバス停に並ぶと、前の40代くらいのお姉さん二人の会話が聞こえた。(タクシー乗っちゃう?7000円だって。えーそんなすんの!)
思い切って声をかける。
「あのー、名瀬まで行きます?もしよければタクシー私と乗りませんか?」
快諾してもらえたので、もう一人、腕時計を眺めている60歳くらいの女性にも声をかける。
「タクシー相乗りだと40分で1700円前後、バスだと20分+60分で1100円ですが、どうされますか?」
2度目なので具体的な提案ができてよかった。人に何かを選ばせるときは各案のメリットデメリットを提示しないとマジで意味ない、と、私は歯医者で学んでいる。
(「セラミックと銀歯どちらになさいますか?」「どちらと言われましても……」)
4人とも大きなスーツケースを持っていたのでタクシーのトランクはほぼテトリスだった。運転手が大汗をかきながら最密充填構造となる配置を探り当てていた。
私はそもそも無になるために奄美にきたことを思い出し、あと意外と黙っているのも嫌いではないので、後部座席の左端でずっと黙って本を読んでいた。1冊目は川上弘美「センセイの鞄」。心の中では、ひとり旅が始まった!!!とわくわくしていた。あんなに話しかけといてこいつ急に何??とみんな思っていたかもしれない。
助手席に座ったおばちゃんが意外と話好きで場を回してくれた。
二人組: フラダンスの公演のため
おばちゃん:奄美出身、数十年ぶりの同窓会
私:運転できないのに1人で観光
おばちゃんは運転手の名前を見るや否や「〇〇さんの息子さん?」と言い当て、その後旧姓を名乗ることで今度は運転手さんに実家のお店を当てられるという、同じ流れをこなしていた。島すぎる。良すぎる。
ホテルニュー奄美にはちょうど7000円でついたので1人1750円だった。
チェックインするともう15時を回っており、ガイドブックで目星をつけておいた近所のたこ焼き屋さんに向かう。が、閉店。
そこから1分歩いた先の「サンドイッチカフェ奄美」でサンドイッチを入手。全然普通のカフェだったけど、店名に奄美と付いているだけで「貴重な一食をここで使ってOK!」と言われている気分になる。われわれは、この土地ならでは感を満喫しないといけないという強迫観念に駆られている。全ての観光地飲食店は、最悪特産品使わなくても、名前なりパッケージなりで「ここだけのやつですよ」感を出して安心させてほしい。
サンドイッチを持ってバスに乗った。大浜海浜公園まではバスで20分程度、と聞いていた。乗り過ごさないためにバス停を確認しようと改めてGoogleマップを開いた。
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徒歩45分。
徒歩45分!?
私の見たブログは古く、ちょっと前に公園最寄りのバス停は撤去されたらしい。慌てて「▽17駅(16分)」を開き、海に近づいていて良さそうな雰囲気のバス停で飛び降りる。
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長浜みなと公園。
特に何があるわけでもなく、よくある海沿いに細長く続いている公園で、犬の散歩をしている人やスケボーの練習をしてる高校生がいた。画像右端、道路挟んで反対側は何百メートルも私の肩くらいの高さまでの堤防が続いており、町側に出るにはめちゃくちゃ迂回する必要がある。海辺に閉じ込められてしまった。
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有名なビーチじゃない方が、人が全然いなくてかえって良かったかも。
海の前のベンチが一つ空いていたので、本を読みはじめたら小一時間ほど経過していた。波の音と潮風を感じながらの読書、ベタだけど心地良すぎる。「センセイの鞄」は、もっと激情が込められた恋愛小説(「恋愛中毒」「言い寄る」系の)だと思っていた。どちらかというと日々の暮らしの中の季感のようなもの、食べ物や行事の瑞々しさが迫ってくる。そら豆も湯豆腐も美味しそうだし、茸狩も市も楽しそう。島で読むのに向いている。ここで読むと1.3倍くらい面白い。
小雨が降り始めて、寒くなってきたので帰ることにする。ホテルから2キロくらいの公園だったので、散歩しながら歩いて帰ることに。
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可愛いTシャツが有名でガイドブックに載っていた店も寄ってみたが、なんかゆるい閉まり方をしていた。こうなると海の方に戻るためにはまた迂回する必要があり、結構歩く。
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もう一個公園を経由して、何もしない一人旅に浮かれているのでもう少し本を読んだ。
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ホテルに辿り着き、繁華街に繰り出す。ホテルニュー奄美は繁華街徒歩30秒の最強立地で、田舎の観光地特有の「ここから繁華街ですよ」みたいな門は何度見てもわくわくする。
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今日は予約済みで、奄美でも名高い名店らしい焼き鳥屋さん「鳥重」。串物はオーダーなしでおまかせでどんどん出てきて、お腹いっぱいとなったところでお会計というシステム。
まずは黒糖焼酎。なんか甘い匂いがする気もする……?お酒に弱いので、焼酎の味の違いがよくわからない。アルコール!!と思う。でも飲む。
卵かけご飯は絶対食べるべき!との口コミを信じて頼んだらびっくり。鶏卵じゃなくてきんかんが載っていた。たまひものたまのところ。鶏のお腹の中にある卵。
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焼酎2杯と串10本と卵かけご飯で五千円台なのはかなりリーズナブルかもしれない。ふらふらになりながら、徒歩1分のホテルニュー奄美に戻る。
旅の間じゅう、「ホテルニュー奄美」という文字を認識するたびに、あの曲が頭の中を流れました。歌わずにいられる関西圏の人いる?
ホテルニュー奄美♪の唯一惜しいところは大浴場が一つしかなく、男女入れ替え制というところ。この日は20時までに入らないといけないので、ダッシュで滑り込んだ。同じ時間に滑り込むお姉様方。よく通る美声でフラの話をしている。行きのタクシーで一緒になったお姉さんのご一行かな?
昼食の遅さと意外な寒さと焼き鳥の脂で私の軟弱な胃腸はやられ、28時ごろまでうとうとしつつ胃痛に苦しむことに。東京の平日と変わらない夜が更けていく。