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【セルフライナーノーツ】#15. 未来予報士【Ancient_Collections】

2枚のミニアルバムの解説がようやく終わりまして、残すはシングル2枚分、6曲。ちょっとぐらいはテンポ上げて書ききりたいと思います。

Spotifyも若干仕様が変わってきてる感じが。使いやすいアップデートであっておくれ。


・楽曲概要。

・1st Single「未来予報士」(2007.5)より
・作詞:小田貴音 作曲:小田貴音

未来予報士/万貴音


・楽曲解説。

シングル1枚目にしてなかなか尖った、ハードファンクな1曲。一般的にというか、メジャーアーティストは今でもきっとそうなんだと思うんだけど、CDシングルは「自分ってこんなアーティストだと認識してほしい!」という曲を出して、それをひっさげて(ひっさげる、っていう表現って「新曲」ぐらいしか聞いたことがない)全国を回るためのものだと思うんです。時期ごとに更新していく名刺のようなもの。

なんだけど当時の万貴音さん(っていうより小田か)、プレスして流通させる仕様にもしてないし、なんなら先にアルバム2枚出してそこから数ヶ月しか経ってないし、とにかく今作りたい曲をまとめて出しちゃえ、えい!ってな勢いで作りました。今になって振り返れば、リリースに対しての意識が足りなかったと言うのは簡単なんですが、そんなことより、出来るだけ間を開けずにやりたい楽曲をリリースしていきたかった方がずっと勝ってたんですね。3曲まとまった?よし出そう!みたいなスピード感。笑

活動の計画力については当時の自分たちを指南してやりたいけど、その衝動と実行力についてはむしろ労ってやりたいな、ぐらいは感じています。需要と付加価値を待ち続けてリリースが滞った時期も自分ではちょくちょく認識しているので、自戒の意味もこめて。ほんと、作家は曲作らないと何も言えねえ。

さて、楽曲をいくらか紐解いてみようと思うんですが、初期万貴音楽曲の中で初めてネガティブ系、というよりシリアス系の世界観の楽曲です。社会風刺っぽい匂いもしそうなんだけど、どっちかというと当時の自分が置かれた身を反映している気がします。

当時の小田は大学を出たばかりの時期。就職および就職活動はハナからする気はありませんでして、音楽制作のしやすい実家にそのまま身を置きながら、生活費の補強として平日にアルバイトもしながら(某ハンバーガーショップのマネージャーでした)、その他の時間でひたすら曲を作ってはアレンジして録音する毎日でした。好きなことに飛び込んだとは言え、約束された未来もなければ一歩先の保証もない世界。そんな自分が「確定された未来」の価値を考える、という、ちょっとアイロニカルな一面も含んだストーリー。

そもそも保守的でギャンブルに興味を持たない自分なので、最大限の反動・強がりとして書いたのかなあ、と思うことも出来る。んだけど、こういう気持ちって今でも自分のどこかに必ず残ってるんです。ポジティブに言えば「不可能に挑む」かもしれないし、逆サイドから言えば「恥や失敗を避けて生きることへのアレルギー反応」なのかな。ビビりのくせに結果主義ではなかったんだと思います。自分を含めた、人間って変なバランスで生きてるのかもしれないし、足りない人間が必死でもがくプロセスにこそ美しさを感じているのかもしれません。ちょっと風呂敷を広げすぎたかな。苦笑


・楽曲の特徴。

シングル曲なのに(枕詞)、アコースティックギター不在。笑 ドラム、ベース、エレキギター、オルガンというバキバキのバンド編成でアレンジされた硬派なファンクサウンドが特徴の楽曲です。大きな特徴としては2つ。

一つ目はエレキギターの「カッティング」。イントロのギターがまさにそれなんですけど、「ジャーン」と音程のあるトーン・コードではなくて、「チャカチャカ」といったリズムを刻んでるのが「カッティング」だと思ってください。自分の中でのファンクの一番の要素がこのカッティング。

二つ目は「リズムトリック」。楽曲自体はオーソドックスな4拍子なんですが、16分音符に分割されたリズムが細かく前に出たり後ろに溜めたり。「1、2、3、4」でない所にリズムの力点がくる箇所が多いんですね。これはもう文字で解説するより、曲聴いてもらいながら「1、2、3、4」ってカウントしてもらう方が実感してもらいやすいと思います。この曲ではたくさん、16分音符一つ分前に力点が来てる箇所が出てきます。伝われー。。笑

で、「未来予報士」には明確にお手本にしたアーティストがいます。それが「森広隆」さん。自分の中の永遠のファンクヒーローでして、昔ライブに行った時はもう涙と震えの祭典でした。以前、中原万貴の粋なサプライズプレゼントとして森さんのボイスコメントをもらった時は思考停止したよね。笑

DVD宣伝用のダイジェスト動画なんですが、これが一番分かりやすいかなーと思います。特に参考にしたのは「エレンディラ」「Rainbow Sneaker」。前者は楽曲全体の雰囲気を、後者はリズムの食い方を。万貴音で一番最初に作ったオリジナル曲「Rainbow Sneaker」はここに肖ってタイトルがつけられたという事実も書き記しておきましょう。笑

このDVD、森さんは元より、参加メンバーが最強すぎてビビる。めちゃめちゃ欲しいけどまだゲット出来てないんだよなあ。。もし観たことある方、感想教えてください。笑


ちょいっとディープな雰囲気の楽曲だけに、どこまで書けば分かりやすいかを見失ってしまった感もありますが、この辺にしておきましょう。「売れそうな曲」とか「みんな大好きな曲」の路線からは若干ズレてるかもしれないけども、今も大好きな曲です。同時にすごく大変な曲でもあるんだけど、好きだから頑張っちゃう曲。笑

次回は#16「ばんゆう」です。なぜか近年万貴音的に話題になりがちだったこの曲は作詞の100%を中原万貴が担当。どうぞお楽しみに。


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・シングル「クローバー」
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・シングル「優しい言葉」
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・アルバム「ノーマライズ」
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・アルバム「Ancient Collections」
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