【セルフライナーノーツ】#06.6月のラブレター【Ancient Collections】
ようやく全体の1/4を書いたのか、と思うと、自分で思ったよりも長い連載記事なんだなあと驚きます。新しい方向性のnote記事も探りながら、楽しんで書いていこう。とてもニッチな記事だと思いますが、楽しんでもらえたらいいなと祈りをこめて、書き続けています。
https://s.awa.fm/album/9be81e25a1dc813e8382
AWAでもお楽しみいただけます。不思議とAWAユーザーにまだ出会ったことがないけど、それはきっと小田が昔からエクストリーム出不精のせい。
・楽曲概要。
・1st Mini Album「キセキ」(2006.10)より
・作詞/中原万貴、小田貴音 作曲/小田貴音
・楽曲解説。
万貴音のオリジナル2作品目。万貴音のコンセプトは「どちらもメインボーカル」なんだけど、この曲は中原万貴メインに100%振り切って作りました。
どちらも同じ歌の配分で、としてしまうと途端に窮屈になるのがツインボーカル。音楽に人間をフィットさせていく、という考え方ってすごく大事だと思っています。これは小田だけかもしれないけど、「歌上手いね!」の100倍、「いい曲だね!」って言われる方が嬉しいです。いや、上手くなりたいですけどね、歌も楽器も。
クレジットの順番にある通り、歌詞は中原万貴が7〜8割作り、小田がそれを清書する形をとりました。たしか、万貴さんが旅行中に書いて送ってきた歌詞だった記憶があります。歌うための言葉としてはまだまとまってなかったものの、すぐ頭の中に絵が浮かんで、気付いたら次の日にはもう歌詞をまとめてメロディが付いてました。こういうのを「曲が降りてきた」っていうのか、と思った。
普段は鬱陶しく感じる雨、そして梅雨だけど、傘の下のプライベートスペースではこんな小さな恋の話があるかもしれない。そう考えると、雨も素敵なものになりますね。雨や星のキラキラした印象と、町の片隅にありそうな空気感がすごく好きです。壮大なストーリーもいいんだけど、こういう身近な世界を覗く感じが好みなのかもしれません。
我ながら美メロが書けたなあと思ってるんですが、歌い切るのも案外大変な曲なので、ここぞ!という時にセットリストに仕込みたい曲。笑 ちなみに、とあるウェディング演奏のためにリアレンジした音源も存在します。
あとね、これは生バンドでやったのが強烈に印象に残っています。だいぶ古い動画ですが、万貴音のYouTubeチャンネルで公開しているもの。配信音源と合わせてお楽しみください(チャンネル登録もよろしくどうぞ!)。
・楽曲の特徴。
とてもゆったりと流れる、ジャパニーズR&B風のポップバラード。ピアノを中心にアレンジが組み立てられていますが、やはりアレンジの特徴は「ストリングス」ではないかと思います。
当初は打ち込み(プログラミング)など出来なかったので、シンセのストリングス音源を手弾きで録音。ハーモニー演奏だけなら1トラックで済むんですが、結構メロディックな動きをしているので、4パートに分けて別々に録音した記憶があります。ちゃんと譜面を書いて弾いてたんだろうな、今考えるととんでもなく体育会系な制作現場です。笑
楽曲はまずサビメロから始まるスタイル。最初にサビを放り込んでいくのはメディアのテーマ曲やCM用の楽曲制作等でよく使う仕掛けです。「Delicious Times」とか「To Be Continued」とかもこの手法で作られてます。ただ、「6月のラブレター」はこのメロディから始まることがまず決まって、それからこのメロディをサビでも使いたくなったんですね。テクニックを知らない段階でも、本能でそれをやりたくなったんでしょう。
Aメロは少しぶつ切りの短いメロディを置いて繋ぐ、という印象。Bメロはもっと隙間を空けて、そこに多めのコーラスを加えて雰囲気転換。Aメロが具体的なエピソードを描写していることに対して、Bメロは心の中の動きなので、その書き分けです。そこから堰を切ったようにサビでメロディが押し寄せる。優しくもポジティブな主人公です。
2コーラス目はBメロを展開しつつ、間奏部のみ転調(E→G)します。間奏部はゆったりとしたクワイアが(元の意味は「聖歌隊」、別種のコーラスと解釈してください)。小田のボーカルが前に出るのはここだけ。笑 ただこの部分があることで楽曲がぐっと大きくなったと思います。
ぐぐっとシャッターを絞ったCメロではこの曲で唯一ファルセットが出てきたり、そこから一度最大に盛り上げてから落ちサビ(サビだけど静かなところ)、大サビへと続く。最後は本当に自然に終わっていくので特記することはないんですが、後半の展開はかなり緩急が付いていて、1日で作ったのによく構成考えてたんだな、と感じます。
この「緩急」ってすごく大事。1曲通して声を張り上げて歌う曲があったとして、それも格好いいんだろうけど、ストーリーとしては一本調子になってしまいがち。小さい音があるから、大きな音が生きるんです。広島在住の音響の重鎮に「村上政夫」さんという方がいらっしゃるんですけど(市川海老蔵さんの舞台の音響とかもされてる凄い人!)、自分の音楽を初めて高く評価してもらったのはこの曲が初めてでした。笑 この曲のメロディとDレンジ(ダイナミックレンジ)の広さ、をすごく褒めてくれたのをよく覚えています。生活も仕事も音楽も、メリハリが大事ってことですね。
多少とっ散らかった解説にはなりましたが、「6月のラブレター」のご紹介でした。この曲、今の自分がリアレンジしたらどうなるだろうなと思うこともあるんだけど、今のところはやる予定はないです。新旧含めてリアレンジ、リミックスアルバム作るのも楽しそうですけどね。
次回は#07「S(END-ING) MY SONG」です。ようやく1アルバム分が書ききれる、ですねー。どうぞお楽しみに。
[Official Website]
https://www.ma-ki-ne.com
[Twitter]
https://twitter.com/makine_official
[Facebook]
https://www.facebook.com/makinehiroshima
[Youtube]
https://www.youtube.com/user/MAKINEmakineMAKINE
[Online Store「万貴音屋」]
https://makine.base.shop/
[Subscription]
・アルバム「Smile Co.」
https://linkco.re/CfEa1V9B
・シングル「クローバー」
https://linkco.re/07fFrAb9
・シングル「優しい言葉」
https://linkco.re/ZTSUcyv5
・アルバム「ノーマライズ」
https://linkco.re/350NZmQx
・アルバム「Ancient Collections」
https://linkco.re/SBDumrht
よろしければサポートをお願いします。いただいたサポートは万貴音の運営費として使わせていただきます。