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【セルフライナーノーツ】#9. 2秒後【Ancient Collections】

結成から今まで、それこそ色んなカラーの曲を書いて歌ってリリースしてきたけど、振り返っても「Double Blind」ってのは尖ってたんだな、と改めて思う2021年3月の夜。

Apple MusicとiTunes Storeって何が違うの?って思ったんだけど、前者はサブスク、後者はDL販売(買い切り)という形態になってるようです。ダウンロードで買って下さる方も、すごく嬉しいですね。データをあなたのお手元に!


・楽曲概要。

・2nd Mini Album「Double Blind」(2007.2)より
・作詞/中原万貴、小田貴音 作曲/小田貴音

2秒後/万貴音


・楽曲解説。

小田が当時どっぷりハマっていた東京事変への憧れがプンプンと匂う音世界のスリリングなポップロック曲。

中原万貴謹製の歌詞の断片を小田が厨二病たっぷりに引き延ばしたのがこの曲だったと思います。門外不出の中原ノート(物理)に歌詞のスケッチが残ってたので、間違ってないはず。ピンポイントでいい仕事をするよね、クリエイト分野でも。

ヒリヒリしてると思いきや、その実まったく不器用で純情な主人公が織りなすモノローグで描かれるラブソング。好きな人との距離感に悩むのは、思春期だとまだ物理的なものに目が行きがちですよねえ。大人になるともうちょっとメンタル的な距離感で悩むような気もしますが、俺が語れる範疇を越えてる気もするので、深追いはしないでおきます。笑

タイトル「2秒後」。なぜ「2秒」なのか、に興味を持ってもらえたら嬉しいんですけども、これはちゃんと意図があります。あくまで個人的な感覚なんですけどね。

一つは「具体的な数値を置くことで、よりリアルな手触りを作ること」。「一瞬⇄永遠」みたいな概念的二極はよく使われる時間軸なんだけど、汎用性はあれど、どこか遠い世界のような印象が。一瞬や永遠は自分で具体的に経験出来ない長さだからです(一瞬は分かるかもしれんけど)。すごい長い、すごい短い、は分かるので、より壮大なお話を作るには向いている。一方「2秒後」「能動的三分間」など、数値を限定すると、よりパーソナルなというか、ロックされた世界観を作りやすくなります。誰しも体験した長さなので。この手法は今でもちょくちょく使ってます。時間や数字だけでなく、地名だったりブランドだったりでも有用。「東京の6畳半」「朝の山手通り」「ドルチェ&ガッバーナの香水のせい」といったような。

もう一つは、自分で想定計測した反応時間を反映させたということです。特定の環境において、相手のアクションに対して、即時反応は出来るでしょうか?そのアクションが想定外だった時、「ちょ、待てよ」ってフリーズする時間はありません?この曲でいうと、「例えば自分が相手を突然抱きしめたとしたら、相手はどんな反応をするだろう」を考えた時、抱きしめ返されるにしろ、突き飛ばされて拒絶されるにしろ、きっとフリーズする時間があると思うんですよね。俺ならそうなる(断言)。思春期の自分が想定して算出した時間が「2秒」だった、ということです。

この手法が果たして上手く聞き手に届いたかはアレとして、近いけど踏み込めない、仲はいいけどまだ恋人ではない相手に対して攻めあぐねている主人公の青い衝動を書きたかったんですねー。余裕はなく、欲望はあり、ただし現状はある程度気持ちよかったりして、さてどうする主人公!?みたいな、絶妙な場所を作れた気がしています。ああもう誰か漫画にしてくれ!笑


・楽曲の特徴。

ハイテンポ、ビートも癖も強め。ドラム、ベース、エレキギター、アコースティックギター、オルガンといった、ピアノ無しのアコースティックロック編成。ピアノという楽器は音域的にも非常に安定する楽器なんですが、逆にそれがないとスリリングな印象が強まる気がします。

先述しましたが、当時は東京事変の「大人(アダルト)」をがっつり意識してたので、ボーカルの音量感を含めてかなり参考にしてた気がします。各楽器のアプローチもかなりアグレッシブで、ドラム・ベースを中心に、まあよく動く。ドラムとベースって本来は楽曲を下でしっかり支える役目を持つことが多いんですが、だいぶ攻めてますよね。各楽器がナイフのように個性を発揮して主張つつ、それでも歌物として成立していた当時の東京事変の雰囲気に触れたかったんだと思います。

メロディラインで特筆すべきはAメロ。ピンポイントでファルセットを突き刺すと同時に、コード進行もちょっと異質な感じを持ち込んで、平歌パートとしては異質な存在感を作りました。Bメロやサビはあくまで流麗な美メロに仕上げたつもりでいますので、これまでの曲としては珍しく、入り口で仕掛けるチャレンジ。惜しむらくはAメロを歌う小田のボーカルが絶妙に野暮ったいことでしょうか。苦笑 それでも挑みたかった世界。

リズム構成や各楽器の見せ場、暴れっぷりなど、その時に考えつくあらゆるアプローチを盛り込んだ上で、あくまでメロディは美しくポップに、を目指して作った曲です。どう受け止めてもらえたのだろうか。今でも大好きな曲の一つです。


思春期の恋の衝動をテーマに作った曲ではあるんですが、今でもこのヒリヒリした雰囲気への憧れは消えません。恋心は願ったような甘い雰囲気と展開にははならない、が万貴音流というか、小田流というか。苦笑 エクストリーム「煮えきらない」、が好きです。


次回は#10「3秒ルール」です。インモラルな香りを放つジキルとハイド曲、どうぞお楽しみに。


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・シングル「クローバー」
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・シングル「優しい言葉」
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・アルバム「ノーマライズ」
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・アルバム「Ancient Collections」
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