【セルフライナーノーツ】#1. ノーマライズ【ノーマライズ】
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【「ノーマライズ」楽曲クレジット】
作詞:小田貴音 作曲:小田貴音 編曲:万貴音
【楽曲解説(予備知識編)】
そもそも「ノーマライズ」って何?って思った人も多いんじゃないでしょうか。「これ”ノーマライゼーション(福祉用語)”のことですかね?」って感想をいただいたこともありますが、ごめんなさい違うんです。。
「ノーマライズ」は音楽(音響)用語の一つで、噛み砕いて言うと「録音した音を劣化しない範疇(最大0db)で大きくする」処理のこと。テストには出ませんが覚えておいてください、後述する解説のために。
この他、歌詞にはたくさん「楽曲制作時に扱う処理(言葉)」が出てきます。
・「圧縮」→コンプレッション
・「見え辛く / ぶつかって混ざれない」→マスキング
・「ノイズ / 異物」→ノイズ
・「補正」→ピッチ・リズム編集
・「はみ出しては歪んでいく」→オーバードライブ / ディストーション
・「限界」→リミッティング
などなど。90%ぐらいは自己満足なんで、これは伝わらなくても良いやつ。これを元にして綴ったストーリーが届けばいいや、と思って書きました。
【楽曲解説(本編)】
アルバム1曲目にしてタイトル曲。アルバムタイトルは楽曲名からつける場合と、アルバム全体の雰囲気をイメージしてつける場合がありますが、今回は前者でした。アルバム全体を支配している曲、という訳ではないんですが、一番濃く魂を注いだ曲だったから、だと思います。
2009年に制作環境をいわゆる「DTM」に移し、2枚のミニアルバムをリリースしてだいぶ作業にも慣れてきた頃なので、その影響でこういう歌詞の書き方になった背景も多分にあると思います。
*「DTM」ってなんぞや、という方は小田の過去noteをどうぞ。
キーもテンポも変え放題、付属のソフトシンセで色んな音が出せるし、演奏出来なくても打ち込みしてしまえば細かいことも自由にできちゃう。なんて便利なんだ!と、メリットも存分に享受していたんですけど、この辺りで当たり前のことに気付く。
道具は揃ったけど、肝心の自分自身は成長してると言えるだろうか。
表現方法は増えたけど、思いを恐れず伝える勇気は持ってるだろうか。
環境を整えると、出来ることは増えます。楽にもなります。だけど、だからといって「人の胸を打つ曲が作れる」わけじゃない。いい曲を書かないといい曲にならないし、リズムやピッチを綺麗に編集してもそれがいい歌なわけじゃない。入り口と出口はあくまで自分自身を丸裸にしたところにあるんです。
一旦「ノーマライズ」という処理の話に戻します。例えばマイクで録音した「小さな声」もどんどん大きくできます。便利じゃん、と思いきや、マイクには声以外の音も入ってます。歌声の邪魔になる「リップノイズ」や環境音、完全防音の録音ブースじゃなければ庭で犬が鳴いてるのも微かに入ってたりもします。笑
つまり「ノーマライズ」って、「聴かせたい音を大きくできるけど、聞かれたくない音も一緒に大きく持ち上げてしまう」処理。これがある日とても気になってしまって、ふと自分の身に当てはめてしまったんです。
「俺たちの歌を聴いてくれー!」と最大音量で叫ぶと、同時に弱点やコンプレックスも曝け出してしまう。受け取り手の反応も「お、いいねえ」だけじゃなく、否定的な反応も増える。建設的なものもあれば、ただ攻撃的なものもある。これが自分の中で「ミュージシャンのノーマライズ」だと感じたんですね。
日々頑張っていても完璧にはなれないし、克服できない弱点もある。それを全部抱えて伝えられるか。例え足が震えても、一歩足を前に出せるか。いつまでも歌いたい、音楽したい、その覚悟を持てるだろうか。そういった感情を書いたのが、この曲です。
歌詞の「キミ」は、音楽。さんざん幸せにもしてもらったし、さんざん泣かされてきたけど、好きなんだよな、音楽が。今も昔もずっとそう。
【音の解説】
ハイテンポなギターロックにピアノを絡めたアナログ編成。DTMに慣れた頃の作品、と前述しましたがこの曲はしっかり生演奏楽器メインのアレンジ。ドラム、ベース、エレキギター3、ピアノ。ちなみにアコギなし。笑
今も昔もロックアレンジする際は「No Regret Life」(兄が昔やってたバンドです)の影響を多分に、というか過分に受けてることが多いんですが、シンプルな編成とアンサンブルを整理しやすい点も応用しやすいからだと思います。ありがとうノーリグ。
ドラム、ベース、ギターでまず楽曲の核となるリズム、音の長短、コード感の土台をがっちりと固めます。ギターそんなに上手くないんですが、ブリッジミュート、オープンパワーコードの白玉からの刻み、と、例えばこの3種類だけ覚えてたらこの曲の展開は作れます。やることをシンプルにして最大限の効果を出す、という考えは楽器弾きながら歌う人間にとって非常に大事だと思う。マニアックなことを多用すると歌に全然集中できん。笑
で、そこにピアノを加える。ストリングスと違ってピアノは「真っ直ぐに鳴ってナチュラルに減衰する音」を持つので、強めに弾くと「潔さ」のようなものを感じるんです。土台はもう固めているので、アプローチは自由度高め。とはいえずっと細かく動いてると歌を邪魔してうざいので、目立つポイントを見極めて仕事をさせる。間奏のソロもこの手の曲はギターが常套手段だと思うんですが、ピアノで。
最大のお気に入りポイントは「大サビ」です。当たり前といえば当たり前なんですけど、大サビは一番音も感情も高まる部分。サビのメロディを一部変更(展開)するのが自分好みのやり方なんだけど、この曲のメロディラインは自分の作品の中でもトップクラスに好きです。歌詞の「限界」に歌の最高音を乗っけるのがスリリングでエモい。歌うのは大変ですが。笑
音に関しては拙いところもあれど、当時の限界を超えようと悪戦苦闘する熱量を今でも感じられる、とっても大事な曲です。
【あとがき】
のっけから非常に長く暑苦しいライナーノーツになってしまいました、申し訳ない。笑 我が子可愛さ故のものかもしれないけど、それぐらい曲って愛も情熱も注いで生み出します。
この曲、またバンド編成で歌いたいな。汗だくになりながら。
次回は「#2. Be Active!」です。シリアスロックから一点、フレッシュなポップへ。どんなアルバムなんだ!笑 お楽しみに。
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・アルバム「Ancient Collections」
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・シングル「ごめんあそばせ feat.桑原しおり」
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・シングル「にらめっこ」
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