ACP(アドバンス・ケア・プランニング)というプロセス
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)って知ってますか?
今日は少し、元保健師がまじめな話を…
(楽しい方が好きだけど!)
在宅や施設での医療・介護の現場では
浸透しているこの言葉「ACP」も、
2022年に厚労省が行った調査では
その内容を知っていると回答した国民は5.9%。
1割の人も知らない…という状況です。
だから、いま、読んでくださったあなたが知らなくても
全然大丈夫で。
ただ、できたら、少しでも知ってほしいな…と思います。
ACPの定義は
万が一のときに備えて、
あなたの大切にしていることや望み、
どのような医療やケアを望んでいるかについて、
自分自身で考えたり、
あなたの信頼する人たちと話し合ったりするプロセス
とされています。
つまり、最期を迎えるとき、どんな医療やケアを受けたいですか?
ということを、話し合っておくこと。
そして、それは何度話し合ってもいいということ。
最後までその時の最善の治療を受けたい…という人もいれば
痛みだけとってほしい…という人もいれば
何もしないでほしい…という人もいる。
いろいろです。
そして、その思いは、その人の状況、過ごす時間の中で
日々、時間ごとに変わる可能性があるもの。
だから、もし変わったときは「やっぱり、こうしたい…」
そうコトバにしていいんだよ…
そして、医師や看護師、家族…あなたの大切な人みんなで
考えようよ。という事です。
でも、そんなこと、急に言われてもね…?
なりますよね。
日本人は特に「死」を口にするのはタブーな文化にあって
そんな話、すっごく、切り出すのは難しいですよね。
ガン持ち歴30年のうちの父(後期高齢者)でさえ
先日聴いてみたら、はっきりと考えたことはない様子…
だから、どうしたらいいかなって、いつも職業柄考えてました。
(ちなみに、私は父に時々声かけて、一緒に考えることにした)
少なくとも、医療が必要になったときに…
これからの人生に、ちょっと重めに医療が必要になったとき、
医師をはじめとする医療職が率先して、
ACPというプロセスを行うことを、患者家族に伝える…
そんな文化がもっと、醸成したらいいなと。
元保健師として、そして、
今、地域の医療介護に、ほんの少し携わっている身として
思っています。
でも、本当は…何かあなたのきっかけでいいから
ACPが始められるように
全ての人に知ってほしいな…と思っています。
なぜならね…
急なことがやってきた…あの時。
数年前、新型コロナが猛威をふるったあの時…
救急車が、病床が、治療環境が足りなくて、
本当に、本当に、みんながしんどかったとき、
職業柄、入院先を調整する役割の中で
特に高齢の患者さんの家族に、
入院すらしてないのに、聴かなければならないことがあった…
「もし、急に悪化したとき、どこまでの治療を希望されますか?」
ガンの告知なら、神経難病の告知なら、
少なくとも数日は考える時間のある問いを
電話で、顔も見えない状態で、治療すら開始してないのに
その場で回答しろと、そういうコトバでした。
こんなこと、言いたくない…
何度、私の仲間たち、その時の医師看護師が思ったか…
ごめんなさい、ごめんなさい…
それ以上に、急にそんなことを言われて
しかも、急に世界にやってきた感染症が、
何もしてないのに、自分・家族を襲って、つらいときに
「治療しますか?」って言われて。
それでも生きて自宅に帰ってきてくれれば
まだ、いい。
「感染症の入院=会えない」から
そのまま命が消えてしまったら、帰ってきても、
抱きしめることすらできない…
そして、私たちは、感染症に追われる中、
そうして残された家族さんのケアもできないまま
次の患者さんへ行く…
そんな現場が、ほんの数年前にありました。
ちょっと、思いばかり書いた文章になってしまいました…
読んでくださった方、ありがとうございます。
そして、違う県で同じ仕事をされていた方には
また、違ったもっと良い対応、逆にツライ状況もあったかもしれませんが…
私がみたコロナの風景…として、ここはご容赦ください。
誰もが
死ぬとき、そして、残された人それぞれの後悔が最小になって、
今世で家族になれて、出会えてよかったという思いに
早く満たされますように…
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