カノープス
真希ナルセ
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漫画やイラストだけでなく音楽も作っています。毎週末に一曲ずつ上げています。
YouTubeの「井戸端レディオ」をやっているチャンネルで古い日本の歌を弾き語りカバーを、SoundCloudとnoteではオリジナル曲を、隔週交互に公開しています。
【マキナルの井戸端レディオ】 https://www.youtube.com/channel/UCGRgxIzgpUwLHox-7IDgQLQ
ずっと「ペットミュージック」と名付けた、順番からすると3枚めの、ポップ色が強いアルバムになる予定のものから紹介していました。
が、今回はちょっと中断して、出来たばかりの新しいナンバーを紹介したいと思います。
2018年はコンスタントに曲を書いています。2~3週間ペースで常に作っていて5月現在で計7曲あります。
これは3月に書いた曲です。
2月頃「カノープスを観測する」という旨の記事を何処かで見て(元の記事は新聞だったかネットだったか忘れてしまいました)、詞の題材にしたいと思いました。
それとは別にピアノを基調とした、特にエルトン・ジョンのようなフィーリングで作りたいともずっとイメージしていました。
その二つの要素が結果的に混ぜ合わさって出来ました。
カノープスとはりゅうこつ座α星のことで、かなり明るい恒星だそうです。
調べていくと、それなのに位置的に日本で観測しにくい高さにあること、トロイア戦争時スパルタ王の船の水先案内人という意であること、中国では長寿の星という意味があることなどを知りました。
そこにストーリー性を感じて、これは自分の母親を歌う曲のシノプシスになるのではないかと思えました。
父が夭折した後、学生のボクと弟を女手ひとつで育ててくれた母。
亡き夫を想い続け、その後どんな男性とも付き合わなかった人です。
ただ漫画に出てきたように、当時の飼い犬を過失で死なせてしまい、長い間ボクとギクシャクした関係にもなっていました。
ボクはと言うと、上京して腕試ししたいという気持ちをずっと持っていましたが、それでもどうしても母を置いていく選択が出来ませんでした。
複雑な思いはいつの間にか時間が洗い流してくれ、今は良好な距離感になっています。漫画も喜んで読んでくれてました。
本来のお仕事である漫画やデザインでは、クライアントさんの希望に応えるため、ある意味で職人的なスキルや調整力を発揮せねばなりません。
昔よりそれが強く要求される時代になってきたと感じています。
一方、そういうこととは無縁でやっている音楽作りは、非常に内省的だったりただの趣味だったりして自身の世界を転がしやすいものでした。
段々職人的になっていく絵のお仕事と、人物像を剥き出しにしていく音楽活動、その両輪でバランスを取ってきました。
それは病気の犬を抱えた成り行き、自分の限られた環境の中でギリギリ編み出した生活ルーティンでした。
バランスとは言っても音楽方面はまだまだ圧倒的に拙く、漫画・デザインに並ぶるべくもないスキルではありますが、それでも音楽が大好きで生活にしっかり寄り添ったものとなっています。
その中でペットや仲間、家族のことを歌うのはごく自然な流れでした。
日本の歌の歴史で「母の歌」は星の数ほどあります。
自分で最も「刺さった」のは美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」ですが、どうしても傾向として「浪花節」的になりがちなようです。
それくらい想いが溢れてしまうのが「母への歌」なのでしょう。
今回はそういう成分よりは、対象が母でも父でも、祖父母でもお世話になった先輩でも、どういう風に捉えてもいいように書こうと思いました。
伝えたいことは感謝と敬意と尊重で、それをウエット過ぎず、寧ろさらりと表したいと思いました。
サウンド面では最終形が全く見えて来ず、「こうなりたい」というエルトン・ジョン的なイメージに近づこうとしていましたが、余り上手くいってませんでした。
行き詰まった末、ある段階でMIDI打ち込みのピアノリフをエレクトリック・ピアノのくぐもった音に変更してみました。
こういうことが一瞬で処理出来るのがDTM(デスクトップ・ミュージック)の良いところです。
そうすると輪郭が違って聴こえたような気がしました。
その時から自分の中でエルトン・ジョンから70年代のスティーヴィー・ワンダーへと転換しました。
正直、エルトンよりスティーヴィーの方を10倍くらいたくさん聴取している自分ですので、必然の流れだったかもしれません。
もちろん、仲間にそのように話してデモを聞いてもらっても、そんな変化をも感じ取れないくらい微細なニュアンスでした。
それでも自分の中では大転換で、気分は何ちゃってスティーヴィー・ワンダーです。この時からすらすらと全てが捗っていきました。
そうしてレパートリーの中でも珍しく、多幸感に満ちたシティ・ポップスになりました。
いち早く「井戸端レディオ!」内で生弾き語りを披露したナンバーでしたが、完パケバージョンはこれが初公開です。
これを母の日に間に合うように作りました。
仲間たちはボクに向かって、この歌を母親に聞かせろ聞かせろ、歌ったらどうだ、などとと言ってきます(マキナル・フィールズの仲間たちは過去全員がボクの母に世話になったという経緯があります)。
そうすると途端に煮え切らない、「えー、でもなあ…」と言ってしまう良く分からない自分がいます。
「じゃあ何のために書いたの?」と聞かれても、それもよく分からない、これもまた現実だったりします。
秘めたる気持ち、というものも遺伝するのでしょうか。
ジャケットはPhotoshopで余り考えず、雰囲気一本で描きました。
「カノープス」
詞・曲・演奏・歌 真希ナルセ
見落としそうな南の空
そこで秘めやかにきらめく
りゅうこつ座の星よ
それはあなたの生き方に似て
とても遠慮がちで慎ましく
つくづく見つけにくいもの
伴侶を失いあなたはなお
育む愛を持ち続けた
カノープス 照らしておくれ
あなたの長寿を願うように
カノープス
祈るように
沈まぬように
水先案内人それが
あなたの本質であるなら
ずっと導いていて
暗闇の中 独りでいた
僕に差し伸ばされた手は…
カノープス 輝いておくれ
僕の心を灯すように
カノープス
届けたい
弛(たゆ)まぬ心地で
花が好きなあなたに押し花のような
感謝の想いを忍ばせよう
伴侶を失いあなたはなお
育む力 失くさなかった
カノープス 照らしておくれ
何時も健やかであるように
カノープス
微笑むように
温めるように
あなたの明日が
輝けるように
Key = D
BPM = 118
ドラム = FXpansion BFD 3
ベース = Native Instruments KOMPLETE 11 SCARBEE MM-BASS AMPED
アコースティック・ギター = K.Yairi JY-45BE BK CTM
12弦アコースティック・ギター = GUILD Westerly Collection D-1212 NAT
エレキ・ギター = Fender USA FSR American Vintage 72 Telecaster Custom
エレクトリック・ピアノ = WAVES Electric 88 Piano
シンセパッド = Native Instruments KOMPLETE 11 MASSIVE
パーカッション = Air Music Technology Xpand 2
ウィンドチャイム = IK Multimedia SonikSynth 2
キーボード = Native Instruments KOMPLETE KONTROL S49
マイク= NEUMANN TLM49
DAW = Avid ProTools 2018
オーディオインターフェイス = Focusrite Clarett 2Pre
ジャケット・デザイン = Adobe Photoshop CC
YouTubeの「井戸端レディオ」をやっているチャンネルで古い日本の歌を弾き語りカバーを、SoundCloudとnoteではオリジナル曲を、隔週交互に公開しています。
【マキナルの井戸端レディオ】 https://www.youtube.com/channel/UCGRgxIzgpUwLHox-7IDgQLQ
ずっと「ペットミュージック」と名付けた、順番からすると3枚めの、ポップ色が強いアルバムになる予定のものから紹介していました。
が、今回はちょっと中断して、出来たばかりの新しいナンバーを紹介したいと思います。
2018年はコンスタントに曲を書いています。2~3週間ペースで常に作っていて5月現在で計7曲あります。
これは3月に書いた曲です。
2月頃「カノープスを観測する」という旨の記事を何処かで見て(元の記事は新聞だったかネットだったか忘れてしまいました)、詞の題材にしたいと思いました。
それとは別にピアノを基調とした、特にエルトン・ジョンのようなフィーリングで作りたいともずっとイメージしていました。
その二つの要素が結果的に混ぜ合わさって出来ました。
カノープスとはりゅうこつ座α星のことで、かなり明るい恒星だそうです。
調べていくと、それなのに位置的に日本で観測しにくい高さにあること、トロイア戦争時スパルタ王の船の水先案内人という意であること、中国では長寿の星という意味があることなどを知りました。
そこにストーリー性を感じて、これは自分の母親を歌う曲のシノプシスになるのではないかと思えました。
父が夭折した後、学生のボクと弟を女手ひとつで育ててくれた母。
亡き夫を想い続け、その後どんな男性とも付き合わなかった人です。
ただ漫画に出てきたように、当時の飼い犬を過失で死なせてしまい、長い間ボクとギクシャクした関係にもなっていました。
ボクはと言うと、上京して腕試ししたいという気持ちをずっと持っていましたが、それでもどうしても母を置いていく選択が出来ませんでした。
複雑な思いはいつの間にか時間が洗い流してくれ、今は良好な距離感になっています。漫画も喜んで読んでくれてました。
本来のお仕事である漫画やデザインでは、クライアントさんの希望に応えるため、ある意味で職人的なスキルや調整力を発揮せねばなりません。
昔よりそれが強く要求される時代になってきたと感じています。
一方、そういうこととは無縁でやっている音楽作りは、非常に内省的だったりただの趣味だったりして自身の世界を転がしやすいものでした。
段々職人的になっていく絵のお仕事と、人物像を剥き出しにしていく音楽活動、その両輪でバランスを取ってきました。
それは病気の犬を抱えた成り行き、自分の限られた環境の中でギリギリ編み出した生活ルーティンでした。
バランスとは言っても音楽方面はまだまだ圧倒的に拙く、漫画・デザインに並ぶるべくもないスキルではありますが、それでも音楽が大好きで生活にしっかり寄り添ったものとなっています。
その中でペットや仲間、家族のことを歌うのはごく自然な流れでした。
日本の歌の歴史で「母の歌」は星の数ほどあります。
自分で最も「刺さった」のは美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」ですが、どうしても傾向として「浪花節」的になりがちなようです。
それくらい想いが溢れてしまうのが「母への歌」なのでしょう。
今回はそういう成分よりは、対象が母でも父でも、祖父母でもお世話になった先輩でも、どういう風に捉えてもいいように書こうと思いました。
伝えたいことは感謝と敬意と尊重で、それをウエット過ぎず、寧ろさらりと表したいと思いました。
サウンド面では最終形が全く見えて来ず、「こうなりたい」というエルトン・ジョン的なイメージに近づこうとしていましたが、余り上手くいってませんでした。
行き詰まった末、ある段階でMIDI打ち込みのピアノリフをエレクトリック・ピアノのくぐもった音に変更してみました。
こういうことが一瞬で処理出来るのがDTM(デスクトップ・ミュージック)の良いところです。
そうすると輪郭が違って聴こえたような気がしました。
その時から自分の中でエルトン・ジョンから70年代のスティーヴィー・ワンダーへと転換しました。
正直、エルトンよりスティーヴィーの方を10倍くらいたくさん聴取している自分ですので、必然の流れだったかもしれません。
もちろん、仲間にそのように話してデモを聞いてもらっても、そんな変化をも感じ取れないくらい微細なニュアンスでした。
それでも自分の中では大転換で、気分は何ちゃってスティーヴィー・ワンダーです。この時からすらすらと全てが捗っていきました。
そうしてレパートリーの中でも珍しく、多幸感に満ちたシティ・ポップスになりました。
いち早く「井戸端レディオ!」内で生弾き語りを披露したナンバーでしたが、完パケバージョンはこれが初公開です。
これを母の日に間に合うように作りました。
仲間たちはボクに向かって、この歌を母親に聞かせろ聞かせろ、歌ったらどうだ、などとと言ってきます(マキナル・フィールズの仲間たちは過去全員がボクの母に世話になったという経緯があります)。
そうすると途端に煮え切らない、「えー、でもなあ…」と言ってしまう良く分からない自分がいます。
「じゃあ何のために書いたの?」と聞かれても、それもよく分からない、これもまた現実だったりします。
秘めたる気持ち、というものも遺伝するのでしょうか。
ジャケットはPhotoshopで余り考えず、雰囲気一本で描きました。
「カノープス」
詞・曲・演奏・歌 真希ナルセ
見落としそうな南の空
そこで秘めやかにきらめく
りゅうこつ座の星よ
それはあなたの生き方に似て
とても遠慮がちで慎ましく
つくづく見つけにくいもの
伴侶を失いあなたはなお
育む愛を持ち続けた
カノープス 照らしておくれ
あなたの長寿を願うように
カノープス
祈るように
沈まぬように
水先案内人それが
あなたの本質であるなら
ずっと導いていて
暗闇の中 独りでいた
僕に差し伸ばされた手は…
カノープス 輝いておくれ
僕の心を灯すように
カノープス
届けたい
弛(たゆ)まぬ心地で
花が好きなあなたに押し花のような
感謝の想いを忍ばせよう
伴侶を失いあなたはなお
育む力 失くさなかった
カノープス 照らしておくれ
何時も健やかであるように
カノープス
微笑むように
温めるように
あなたの明日が
輝けるように
Key = D
BPM = 118
ドラム = FXpansion BFD 3
ベース = Native Instruments KOMPLETE 11 SCARBEE MM-BASS AMPED
アコースティック・ギター = K.Yairi JY-45BE BK CTM
12弦アコースティック・ギター = GUILD Westerly Collection D-1212 NAT
エレキ・ギター = Fender USA FSR American Vintage 72 Telecaster Custom
エレクトリック・ピアノ = WAVES Electric 88 Piano
シンセパッド = Native Instruments KOMPLETE 11 MASSIVE
パーカッション = Air Music Technology Xpand 2
ウィンドチャイム = IK Multimedia SonikSynth 2
キーボード = Native Instruments KOMPLETE KONTROL S49
マイク= NEUMANN TLM49
DAW = Avid ProTools 2018
オーディオインターフェイス = Focusrite Clarett 2Pre
ジャケット・デザイン = Adobe Photoshop CC
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