神主さんになりたい!

この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


あなたは神主さんになりたいと思ったことはあるだろうか。
それは恐らく特殊な道のりなのだろう。
実際のところ、なるのはあまり大したことはない。はっきり言ってセンスのいる仕事ではない。ただ少し、一般の社会人とは異なる点があると思うのでその辺を語れたらいいと思っている。

一応人から聞いた話を少しアレンジして話していく。


僕を例に話をしていこう。
ウチは社家(代々神社の宮司職を世襲している家庭)ではない。

父の代から神主を始めた家系で、気分的には一般家庭にほぼ近いと思う。
神棚に対する扱いは並み以下だったし、宗教的なことを家族で行うことはほぼなかった。初詣に行ったりたまに祈祷に行ったりしたが、それを特別宗教的とは感じないだろう。

少し変わってる言えば右翼左翼にとても敏感だったこと。僕は小学校の頃に左翼的教育を受けた。
日本軍が〜とか大日本帝国が〜とか。

当時は先生が嘘言ってるなんて思わない。ただ父親に学習してきたことを告げると猛烈な勢いで怒られた。
そして純粋だった僕は父親に言われたことを、そのまま先生に伝えた。本当にそのまま。

もちろん先生は怒る。今考えれば例え間違いでも先生が訂正したりしないことくらいわかるのだが。それは事実であると端的に、そして凄みを効かせて言い放った。
当時の僕は相当困惑した。

その勢いで天皇陛下はなぜ税金をもらって仕事もせず暮らしているのか。ということを父親に話した。
…この業界の人だと目を釣り上げて怒りそうな言い草だが、止め直しておくと何も知らない小学生の意見である。
父親は分厚い本をもってきて陛下が行ってる公務が如何に激務であるかを懇々と教えられ、何故か僕は正座を強いられた。よくわからんがもうこの話題に触れない方がいいんだなと思った。

少年時代に感じた強烈な違和感がなんとなく神道という世界を遠ざけた。

ということでこの少年は神を信じているか。
いや信じているわけがない。
神話はいくら説明されようとそういうジャンルのお伽話だと思っていたし、前述の通り初詣や祈祷が宗教行為なんて思っていない。

今時の小学生なり子供が神を信じていますなんて言い出したら、それこそ特殊な教育を受けていそうだが。

僕は4兄弟の末っ子で兄1人姉2人がいる。父親は兄をもう絶対に神主にするぞと息巻いており、兄がそれをとても嫌がっていた。

突然よくわからないタイミングでヒステリックになる父親が、兄がダメなら弟に神主になってくれればいいと勝手に言い出した。兄の真似をして嫌がることにした。母は自由に職を選択すれば良い。父親はずいぶん勝手なことを言っているというのが口癖だったので母親の言い分を信じた。


長くなってきたので一旦切ります
見たい人いるようなら続きます

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