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33歳ミドサーワーママが「わたナギ」にはまった理由

※ネタバレあります

毎週、ただただ癒されるなぁと思って見続けてしまったドラマ、私の家政婦ナギサさん。展開も大体読めるし、現実味も全くない。でも、最終回まで気持ちよく観てしまった。

なぜなのか、たぶんとうに恋愛市場からは退出して時間制限のある働き方をしている私からみても、理想的すぎる世界だったからだと思う。

職場では、新入社員のとっぴな意見も柔軟に取り入れ、飲み会では中堅の男性社員が料理を取り分ける。女性の上司もステレオタイプなバリキャリタイプではなく柔和で、1on1を提案したり、部下の意見を尊重してくれる。

社外にライバルはいれど、社内に足を引っ張る同僚や先輩はいない。28歳の主人公メイが上司となることに嫌みを言う人もいなければ、チームの団結力も最高。仕事もなんだかんだで絶好調。

主人公のメイはいつもブランド服や高級アクセサリーをさりげなく身に付けていて、とってもおしゃれ。たぶんそれなりにお給料がないと住めない、いいマンションに住んでいる。家政婦も週3で雇える。

家政婦は家事だけでなく、仕事やプライベートの悩みにも寄り添ってくれるスーパーマン。高給取りの医師や、イケメンで仕事のできる同年代の男性から猛アプローチをかけられ、恋愛市場でも引く手あまた。

心がどす黒くなるような要素が何一つないのだ。

難しく考える展開もなく、悲しくなったり辛くなったり暗い気持ちになったりすることもない。1週間が走り出したばかりでドタバタの火曜夜、実に安心して観れるドラマだったのである。

(私が28歳のときなんて、恋は全敗、仕事は先行き不透明、わたナギの要素のなにかひとつでもいいからほしかったよ!!!!)

ただただ理想的で現実味のないストーリーであれば、たぶんこんなに気持ちよくみれなかったと思う。でもなぜ観れてしまったかというと、その展開が、働く女性が忌み嫌うステレオタイプや現実の真逆をいっていたからではないか。そしてその理想の展開も、少しずつかもしれないけど、現実で叶い始めているからではないか。

毎年新入社員は常識がない宇宙人のようだと評されがちで、飲み会で料理を取り分けるのは新人ばかり(ひどいときには女性ばかり)。キャリアアップする女性は男勝りのガツガツタイプばかりと思われがち。自分の考えが絶対正しいと一方的に指示してマネジメントしようとする上司も多い。

社外のライバルに加え、社内に足を引っ張る同僚や先輩がうじゃうじゃいる。27歳の女性が上司につこうものなら、やりにくいと言い出して取り合わない年上の男性社員が現れ、チームはまとまらない。仕事はなんだかんだでうまくいかない。

女性の平均賃金はいつまでたっても男性のそれを下回り、都内の狭いマンションで一人暮らし。洋服はGUやユニクロを着まわしコスパよくおしゃれする(別にこれが悪いわけではないけど)。

今の時代でも女性なら家事はできて当たり前、部屋はいつも整っていて、自炊もできる女性の方がいいとされる風潮がある。

この説明は極端かもしれないけど、こんな現実、もううんざりなのである。

※※※

ただし、このドラマの結末は、なんだかしっくりこなかった。

メイは結局、高給取りの医師でもなく、イケメンで仕事ができる同年代の男性でもなく、結婚相手として20歳も年の離れたナギサさんを選ぶ。

最後までステレオタイプの真逆をいく展開ですっきりした自分がいる一方で

「あんなに美人でかわいい主人公、最後は田所さん(イケメン同年代男性)とくっついて、視聴者をときめかせてほしかったー!私だったらナギサさんはやっぱり恋愛相手としてみれない、ずっと家政婦として我が家で活躍してほしいー!」

と思ってしまった自分がいたのである。

結局自分もまだまだ、ステレオタイプにまみれた人間なのかもしれない。

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