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今回は新人の頃のお話。
以前勤めていた病院で大先輩と夜勤を共にした時のこと。
とても真面目で熱心なこの先輩、裏表のない明瞭快活な話し振りが素敵なのです。
「さっラウンドしましょ!」と巡視のためステーションを颯爽と立ち去る先輩、モタモタ慌てて追いかける私。
まだ夜勤も不慣れかつ、照明を落とした病室やカーテンの閉まった患者さんのベッドって新人の時は結構怖かったりします。
そっとカーテンの内側を覗き、「みんな寝てるね、よしよし…」と安堵したのも束の間。
ベッドの上であぐらを組み、ギラギラした眼差しでこちらを見るナイスミドル(以下ナ)と目が合いました。
「…わせて。」くぐもった声が近づきます。
私「?え?なんですか?」
ナ「おっぱい吸わせて。」
…perdon?
いやいや何言ってんだこんな夜更けにアナタそれより治療しにきてるんでしょ何しに来たんだ吸うもの他にあるだろせめて指でも吸ってなさいよ目が梟みたいに光ってますよあっ梟に失礼か!
脳内で数秒叫んだのち、「それは無理です、セクハラですね失礼します。」と頭を下げ先輩に報告するため退室。
私「先輩、先輩の受け持ち〇〇さんからちょっと…セクハラじみた事を言われまして…」
先「ったく!朝になったら報告しないとね!記録も書かないと」
ペンを持ち張り切る先輩。
先「それで、なんて言われたの?」
私「あ、あの。お、おっぱいを吸わせて…と。」
先「え?ごめん何を?」
私「おっぱいです。」
先「おっぱいを…と。で、どうしたいって?」
真面目故、一語一句書きたい先輩からこの返事。
時刻は丑三つ時を回る頃。
私「おっぱいを、吸わせて、です。」
手を前に合わせ姿勢良く返事をする私。
遠目に見てもとてもシュール。
先「あーハイハイ!吸わせて…と。哺乳瓶じゃねえんだ、吸わせるかこの野郎!ってね。」
明るいツッコミを交えながら書き進める先輩。
翌朝はしかるべき対処と院内における厳重注意がなされたギブミー哺乳マン。
あれから時が経ち、大先輩とまではいかないまでもそこそこ後輩も増えた今、夜勤中ステーション内で「おっぱい」を直立不動で連呼した場面が時折よぎり、あの真面目な大先輩は元気にやっているのかな と思い出します。
ったく夜勤は何があるか分からないってね!
注:セクハラは勿論ダメ絶対撲滅