ハイパーつよつよ鬼メンタル
鬼メンタル保持者から学んだこと な話。
わりとしょうもない徒然備忘録その2。
私は忘却バッテリーという野球漫画が大好きだ。
キャラクターは皆愛しいし、笑いと泣き所の塩梅が絶妙で野球自体詳しくなくてもすごく楽しめる作品なのだ。
このタイトルは作中に出てくるライバル校監督が時々口にする台詞をもじっている。
漫画を読んでいる時、以前ハイパーつよつよ鬼メンタル保持者と遭遇したことを思い出した。
数年前に数分間だけ会話したことのある、ささやかな知人ことハイパーくんと縁あって食事をしていた時のこと。
飲み過ぎてしまったハイパーくん、店を出て早々に「あ、マズイ、けっこう気持ち悪い」と闇夜の路上へ口元から噴水をぶちまける。
マーライオン顔負けの勢いに、私も思わず晴れてたら虹が見えたかもね と空想してしまう。
近くの自販機へ駆け込み、うがいと水分補給を兼ねてミネラルウォーターを渡す。
私だったら羞恥心と申し訳なさで今すぐにでも消え去りたくなってしまいそうだが、ハイパーくんは一味違う。
「ふう、自分吐くと結構良くなるんです」
まぁ大抵の人がそうだろうなと思ったが、口元をぬぐい輝くような笑顔の前に、私もつられて笑い返していた。
だが笑顔の直後、今度は身を抱えて震え出す。
「さむっ寒!さむさむさむさむ寒い寒い!」
おいおい、飲酒後の低体温を起こしているじゃあないかァァァ
流石に見捨てるわけにもいかず、店から徒歩圏である我が家へ連れて帰ることにした。
家までの道中ハイパーくんの身体をさすり続け、帰宅後すぐに暖房をつけソファベッドへ毛布を掛けて寝かし経口補水液を温めて飲ませる。
吐き気が止まったタイミングで健胃剤を服用してもらうとイビキをかき眠り始める。
マズイな、昏睡や失禁はちょっと困るぞ…
寝顔を確認しながらも、家へ連れ帰ったことを今頃になって少し後悔する。
だがしかし、真冬の寒空の中放置するほど私も鬼ではない。
ゆっくり休めるようにと灯りを消した室内で、ジョジョ第三部動画を横目に彼の様子を伺う。
ンガッと目を覚ましたハイパーくん、よく寝たぁぁという感じで伸びをし一言。
「部屋、不自然なくらい物がないですね!」
なんていうか、強い。強いんだメンタルが。
確かに私の部屋はシンプルにまとめているが、介抱された者の第一声が介抱者の部屋感想って純粋すぎやしないかね?
粗相しちゃった気まずさや申し訳なさが一切見られないのだ。
ハイパーくんの家族とは親しくしている分、彼も親戚みたいなポジションだがそれにしたって妙にくつろぎすぎている。
不思議とその事を相手に不快だと思わせない感じの良さがあるのも謎だ。
そして数年ぶりの再会だというのに、ゲロという虹の橋のもと数年間分の距離は強制的に縮まった。
なんだぁこいつは。新手のスタンド使いか?
とジョジョ沼住人は脳内で思案する。
薬の効果もあってか、スッキリした顔で玄関に向かうハイパーくん。
「ありがとうございました!また来ます!」
嘘だろ?
強い、強すぎるぞ君のメンタルは。
仮にもほぼ交流のない女性宅で介抱された後、アイルビーバック発言は普通できないだろうよ。
彼が去った後部屋を見るときっちり寝具は整えられ、使用済みのコップもシンクの中に戻されていた。
そういう元来の育ちの良さが、色々おかしなことをチャラにしてくれるのかもしれない。
自分とは真反対な、天真爛漫にも映るその心の持ちようを少し見習いたいとさえ思ってしまった。
何者だったんだぁ、アイツは…
…やれやれ、だぜ。
#日記 #エッセイ #おかしな話 #しょうもない話
#酔っ払い #介抱 #酒は飲んでも呑まれるな #ジョジョ #スタンド使い #笑い話 #忘却バッテリー