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ほんの少しの冒険で
仕事の帰りに
前々から気になっていた読書喫茶なるお店に寄ってみた。
月一で読書会を始められて、
読書会ってどんなことするんだろう?
まずどんなお店だろう?
と気になりだしたので。
今日行こう!と決めた時点から、
仕事終わりが楽しみになった。
寝起きから、行きたくねぇ〜って
心がごねてたのに。
*
インスタで丁寧に案内されていた、近くのコインパーキングに停めた。ドキドキ。
店内は薄暗く、お客さんは誰もいなかった。
メニューは少なめで、
ケーキやプリンとコーヒーを飲むにも、
セットで安くなるでもなく、
ちょっとイタイな、と思いながらも、
運営していくことを考えると、
それは至極当然だと思ってる。
し、それくらいの金額を支払いたいと思えるお店に通いたいと、
自分にとってなんとなく居心地いい場所を探しているところ。
店内には、天井までの本棚の壁があり、
好きな本、懐かしい本、気になってた本などがたくさん。嬉しくなった。
なぜ、大きな本棚って、あんなにワクワクするのだろう?
並んでいる本のタイトルを読むだけでも、
1人静かにウキウキしてくるから不思議だ。
机に置かれたカフェオレは、香りがすでに美味しくて、やった♪と心弾んだ。
本棚から選んだ短編集を読みながら、とっても落ち着く時間を過ごせた。
外では、結局本を読めないなー、なんてことが多かったのだけど、
このお店では、ググッと入り込めた。
目の前の小さな棚には『陰翳礼讃』が立ててあったので、手に取ってみた。
ずっと前から気になっていたワード。
日本の侘び寂びとか、ほんのりな美しさをあらためて感じる感覚を呼び覚ますような本だった。
日本人でよかったな。
もっと日本人らしく暮らしたいな。
美しい文章を書きたいな。
なんてことを思った。
支払いの際に、読書会のことを尋ねて、
店主と少しお話しした。
店を出て駐車場まで歩きながら、
心がとても躍ってた。
なぜだかわからない喜びに満ちて、家に帰り着いた。
*
昨日まで知らなかった、
インスタで見るだけで、通り過ぎていたお店。
ずっとそこにあったのに、
違う世界の扉を開いた、みたいな。
『猫の恩返し』の猫の事務所に行ったみたいな、なんとも不思議な満足感に満たされてました。
静かに静かに、
とても心地いい気分。
こういう感じ、すっごく好き。
自分で決めてしまえば、
昨日までと、ほんの少し世界を変えることは、カンタンなんだね。
微かだけど、
たしかな、
忘れたくない感覚だな、
と思ったので、
書き記すことにした。
大切にしたい、たからもののキオク。