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~ワーキングマザーが白血病治療中に考え・感じたこと~ 髪が抜けたら、たわし頭のケアーを大切に その②

前回までのあらずじ:

白血病治療のための抗がん剤を投与して2週間後。主治医の説明通りに髪の毛が抜け始めた…はたして、ちゃんと髪の毛はまた生え始めるのか?

               ・・・

「本当に、またちゃんと伸びてくるのかなぁ」シャンプーしながら「たわし」頭に触れるたびに、私は暗い気分になった。

9か月に及ぶ白血病治療の合間には、抗がん剤を投与しない時期もあった。その間、髪の毛や、薄くなっていた眉毛もまつげも生えてきた。帽子を被れば結構元気そうに見えたし、かつらを被れば、違和感をあまり持たれなかったかもてしれない。

だが、抗がん剤が再び投与されると、また毛は抜け落ちた。大量の髪がついている枕を見て、ブルーになったが、しょうがないと思えるように、髪の毛が抜けることに慣れていった。



「髪は、また生えてくるので心配ないですよ!」

白血病病棟の看護師さん達は、明るく励ましてくれた。髪の毛よりも、治療が順調に進むかどうかが重要で、治療が終われば髪は伸びてくる、と。

「幸いなことに治療は順調だから、いつかは抗がん剤投与も終わるはず。
髪が生えて伸びた時のこと考えて、今できるケアーをしなきゃ」

そう自分を励ましながら、髪が抜けては生えてを繰り返す「たわし」頭をシャンプーし、ドライヤーで乾かす日々を過ごした。



2019年4月に退院した私は、自宅に戻ってからも、かつらを被る生活を続けた。

初夏になると、かつらを被りながらの生活は辛くなった。とにかく暑いのだ。汗がたらたらと、額に流れてくる日々が増えてきた。

夏真っ盛りの7月のある日、鏡を見ながら自問自答した。

「かつら無しの生活、スタートできないかなぁ?」



髪の毛は、4センチぐらいまで伸びていた。でも、かなりのちぢれ毛で、朝起きると髪が立ってしまってる。もし、これがストレートだったら、少しはましなヘアスタイルになるのだけど……。

「ストパをかけたら、どうだろう?」

こんな短い髪に、ストレートパーマがかけられるか不明だったが、入院前に通っていた美容師さんに電話をかけてみた。

「できますよ、ストレートパーマ。 4センチあれば十分です」

そう聞いて、私は歓喜した。
そして、1年ぶりに美容院を訪れた。



ストレートパーマをかけたら、ぎりぎりベリーショートに見えなくもなかった。

「ファッション関係の仕事をしている、と思われたりして」

おしゃれな人がわざとしている、超短髪ヘアーに勘違いされるかもしれないと思ったら、おかしくなった。そして、思い切って、私はかつらを被るのを止めた。


毎朝、運動部の男子学生のように蛇口の水を直接髪の毛にかけ、美容師さんに教えてもらったスチームコームで癖を直した。極度のちぢれ毛が、ストパとスチームコームのおかげで、だいぶ直毛になった。

「素敵な髪型ですね! お客様に似合うお洋服お持ちします」

ショッピングに出かけるたびに、店員の方に髪型を褒められた。やはり、ここまでのベリーショートはめずらしいようで、希少価値があるらしかった。

「ファッション関係の人には、ベリーショートは受けが良いんのだなぁ……。 でも、私がベリーショートにした理由は、ファッションのためではないんだけどね」




髪が抜け落ちた日から、2020年8月でちょうど丸二年になる。
私の髪は順調に復活し、髪質もより直毛に戻ってた。意外なことに、髪の量は治療以前より豊かになり、白髪もほとんど生えてこない。そんな私の髪を見るたびに、美容師さんはおどろく。

伸ばすことも出来るが、今でもベリーショートをキープしている。とにかく、手入れが楽だし、以前と違う服が似合うようになって、おしゃれも楽しい。



これから抗がん剤治療を受ける方は、髪が抜け落ちることを不安に感じていると思います。また、今は病気でなくても、いつかガン治療を受けることなり、髪の毛のことで暗く落ち込むことがあるかもしれません。

でも、大丈夫です。

髪が抜け落ちても、きちんと手入れをすれば、また生えてきます。
自分の回復能力を信じ、生えてくる時のことをイメージしてください。

治療が終わったら、新しいヘアスタイルで新しいおしゃれを楽しめる日が、きっと待っています。

「たわし」頭になっても、こつこつお手入れ続けることが重要であることを、覚えておいてください。

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