次のハードル、東洋経済新報社との「契約」までの話
「編集者会議は通りました。役員会議を通すのにはスケジュール的に少し時間がかかりそうです」
数週間後に、T社の編集者からそう連絡をいただきました。
企画会議は社内スケジュールで決まっており、また議題にあがる本もすでに埋まっているので、新しい企画は適切なタイミングまで待つ必要があるようでした。
企画会議にあげるために編集者の方が私の企画書をベースにした企画案と本のタイトルや帯の案を複数案作り、議論したとのこと。
「こんな早いタイミングで、タイトル案を作るんだ……中身よりタイトルが重要なのかな?」
そんな疑問が湧き出ましたが、売ることが大きなミッションである出版社としては、売り物のイメージを固めたうえで、採用すべきかそうでないかを議論する必要があるのだと納得しました。
タイトル案に対するコメントを出したり、帯に書くべきポイントのアイディアを出したりはしましたが、当然ながら、社内でのやり取りには私は全く参加しません。
とりあえず、待つフェーズが数週間続きました。
そろそろ役員会議の結果が分かるころかな、と思っていた頃。
「医療関連の内容ということで、民間療法等が含まれていないか、と指摘を受けました。役員会議を通せるのは翌月になってしまう見通しです……」
私の闘病エッセイは、「ワークスタイル」「生き方」「コンサル的思考」などに該当する内容となっており、医療に直接かかわる個所は限定されています。
ですが、医療に関連する書籍は慎重に扱われるようで、怪しげな治療を勧めていないか、薬事法的に問題ないかチェックしたいとの申し出があったとのこと……
「事情は承知しました。可能であれば、早くに契約させていただき原稿を書き始めたいと思っていたのですが……」
正直、落胆した私はこう伝えました。
もし役員会議で待ったがかかり、別の出版社探しをしなければならないなら、早くに動いたほうがいいな、と妄想し始めました。
「役員会でボツになるのは数百本に1つぐらいなので、企画化されると考えててください。役員会で了承されましたら、来週末ぐらいには契約書を送りたいと考えています。」
とメールがありました。
そうなんだ!
そうなんですね!
心の中で、出版への鍵が目前まで見えてきた自分への歓声が沸き上がってきました。
でも、とにかく契約書が送られてきて契約するまでは、まだまだ喜びすぎないこと、と自分を戒めました。
出版社からの連絡待ちの私は気が早いと思いながらも、今後の進め方について質問をしたところ、
「今後ですが、目次を固める→まだ買いていないところ→執筆する、という流れで作業をお願いすることになります」
非常にシンプルな説明をいただきました。
「まずは目次固めだな」
他の出版社に持ち込むことになっても必要な作業だな、と思いながら11月に持ち込んだ目次を眺め始めました……
まさに、T社との契約締結を待っていたタイミング。
「社内の副職申請した?休職中でも、出版するとなると副職にあたると思うけど。人事に確認した方がいいと思う」
そんなアドバイスをしてくれた上司がいました。
「会社休んでいても、副職申請が必要なんですね!!全然気づいていませんでした(涙)ご指摘ありがとうございます!」
2年以上会社から離れて忘れていたのですが、私が所属する会社は事前申請等が厳しい会社だったのでした。
あわてて人事の担当者に連絡を取ったところ、T社との契約形態の確認が必要で、契約書のひな形を送るように言われました。
それまで時間がたっぷりあったのに、急に編集者や人事担当者と連日メールでやり取りするようになりました。
気が付けば役員会議も無事に終わり、契約手続きにはいると連絡が。
そして、T社の法務担当者から私宛の電子契約書が届いたのでした。
「副職申請も無事に完了しました。
お身体無理せず頑張ってください」
と、会社の人事担当者からもメールが届きました。
副職もOKとなり、これで執筆似集中できる環境が整いました。
「とうとう契約締結できた!
いろいろな人に支えてもらっての契約。
大切な機会と思って進まねば」
そう心に誓ったのでした。