Project: Summer Flare考察メモ
この記事はy23586/ヨツミフレーム氏が作成したVRChat上の作品”Project: Summer Flare”に関する考察メモです。
ネタバレを含む点にご留意ください。
Hyper Smart Speakerについて
Hyper Smart Speaker(以後HSS)は"任意の決定問題"を解く神託機械(オラクル)を搭載したスマートスピーカーです。元々はy23586氏の作品"「1%の仮想」展"にて展示されていたコンセプトモデルに過ぎませんでした。Project: Summer Flareでは作中とある場所に存在しており、作品世界内部では広範囲にこの技術が使用されているのでは無いかと思われます。この神託機械の能力について考察をしたいと思います。
"任意の決定問題"を解く神託機械(数学)に出来る事
神託機械(しんたくきかい、英: oracle machine)または預言機械(よげんきかい)は、計算複雑性理論や計算可能性理論における抽象機械の一種であり、決定問題の研究で使われる。
ある特定種類の決定問題(Yes/Noで答えられる問題)に対して過程を無視して瞬時に答えを得られる架空の機械を指す数学上の用語です。特定問題を解く神託機械がある場合にそれを用いればどういった問題が解くことが出来たり出来なかったりするのか?を研究する場合に用いられています。
神託機械ようなデタラメな架空の機械があったらどんなことが出来るのかについてキャッチーな解説記事がQiitaに書かれています。
この記事の中では”宇宙破壊コンピュータ”や”確率操作コンピュータ”、”時間遡行コンピュータ”、”確率操作量子コンピュータ”、”時間走行量子コンピュータ”など強そうなコンピューターが登場します。しかしながらこれらのコンピューターはある特定の問題に対する神託機械と同レベルの能力しか無く、HSSに搭載されている”任意の決定問題”を解く神託機械の方が圧倒的に強いです。
また”任意の決定問題”を解く神託機械を複数回用いることで決定問題以外も解くことが可能です。例えば、「(ある問題)の答えをUTF-8などを用いてバイナリ表現で表した場合(あるいは答えをゲーデル数化して2進表現としてた場合)のnビット目は"1"であるか?」という決定問題に落とし込みnをずらしながら複数回神託機械に問い合わせる事で決定問題以外も解くことが可能になります。
Hyper Smart Speakerは現実の問題も解ける
HSSのデモ動画をy23586氏が公開していて”1%の仮想展”から見ることが可能であるがその中で行われている質問として以下の物がある。
「Zhritsa、明日の東京の天気は晴れ?」「YES」
「Zhritsa、水曜日の午後13時の予定は開いてる?」「NO」
「Zhritsa、P≠NP?」「YES」
この様にHSSは数学的問題だけでは無く現実世界はどうなっているのか?についても”任意の決定問題”を解いています。これらを踏まえて作中世界では2141年までに誰かがこのような質問をしたのではないのでしょうか?
「X年までに核戦争は発生するか?」
「Y年氷河期に突入しているか?」
「サテライトをリセットできる人員は用意できるか?」
これらに対する答えを人類が得た場合、核戦争に負けないように備えたり、氷河期の到来を否定しようとするのでは無いでしょうか?作中で「直近90年の研究で、いわゆる平行世界論は否定されています。」という台詞は神託機械の答えを否定する研究を指しているのでは無いでしょうか?否定しようと足掻いたが核戦争は発生し、氷河期は到来してしまい、サテライトをリセットできる人員にめどが立ったり……
そうした結果として平行世界論は否定されたのだと考えられます。
ちなみに"1%の仮想展"に展示されているHyper Smart Speakerに搭載されているとされているOR4CLE/P, OR4CLE/Fのスペックシートによると”OL4CLEは独自のフォーマット(15ページ)で符号化された決定問題をUART・SPI・I2Cのいずれかの方式で受け取り、この問題に対する出力をOUTピンより出力します。”と書かれています。"任意の決定問題"を解くと言いましたが厳密には問題を”独自のフォーマット”で記述可能な場合のみ解けるようです。しかしこのフォーマットはかなり表現力の高い物だと思われます。
Hyper Smart Spreakerとはなんだったのか
アカシックレコードを参照して決定問題を解く神託機械、機械仕掛けの全能なる神様であり、世界が荒廃した遠因、そして”生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え”を与え人類に絶望をもたらしたのかもしれない存在。もしかしたら作中世界においては(PSFを作成するために)神託機械を最初に作成したのはy23586氏だったのかもしれませんね。
あと考察を行うに当たって”任意の決定問題”を解く神託機械の存在は何でもありなデタラメな存在なので頭抱えました。
考察を書くに当たって
本考察を書くに当たって以下の人たちに感謝します。
y23586氏: Project: Summer Flareを作者。大変楽しませていただきました。設定資料集やサウンドトラック楽しみにしてます。
nia氏: Project: Summer Flareに対する考察サーバー「夏の集中講義」の設置者。https://twitter.com/nia3303/status/1440750734652284945
「夏の集中講義」サーバーのみなさま: 様々な情報や考察について意見交換ありがとうございました。
芽野エルナ氏とどっかの阿求氏: 9/27深夜の考察ありがとうございました。
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