本因坊戦が来期から五番勝負、リーグ廃止が決まった事について

あぁ、なんて事だ。
Twitterを眺めていたら衝撃的な記事が目に入った。

本因坊戦が来期から大幅に縮小され、
2日制から1日制待ち時間3時間。
リーグ戦の廃止。
序列3位から序列5位へ降格。
エイプリルフールであっても笑えない事が決定事項として報道されていた。
いやいやいや、ちょっと待って。
三大棋戦として棋聖戦、名人戦と肩を並べあってきた。
その中でも歴史と伝統は本因坊戦。
雅号を名乗れるのも本因坊戦。
『ヒカルの碁』読んでたらタイトル戦ってどんなものがあるのか分からないけど、本因坊戦だけは聞いた事あるという人は一定数存在しているのではないかと思う。そんな棋戦なのに。

最初に感じたのはつらい。
ただただつらかった。
悲しいや悔しいではなくつらい。
私が知っている本因坊戦が今期で終わってしまうのがつらい。
来期からは「本因坊戦」と名乗るだけで中身が全く違うものになってしまう。
リーグ入りする方々をお祝いする事も、リーグ戦の動向をドキドキしながら観戦する事も、挑戦・残留争いに胸が締め付けられる事もなくなる。
なんてつらい事だろう。

次に感じたのは怒り。
だってまだ今期のリーグ戦は終わっていない。
最終一斉対局が残っている。
しかも結果によっては挑戦者決定プレーオフの可能性まである。
棋聖と名人が挑戦者をかけて戦うのに。
これ程熱い展開なのに。
それでもリーグ戦を終わりにするのか。
そして挑戦者を待ち受けるのは、前人未到の本因坊11連覇を成し遂げた本因坊文裕。
他のタイトルを獲られても本因坊戦で全員ぶっ飛ばしてきた絶対王者が待ち受けているのに。
どれだけ熱い、もしかしたら歴史的な七番勝負になったとしても「もう見納めですよ。」はないでしょう。
「継続する事に意味がある。」
「棋戦廃止だけは避けなければならない。」
違う。
もう来期からは本因坊戦ではない。
2日制8時間の碁と1日制3時間の碁は違うと誰もが言うじゃないか。
「国際戦は待ち時間が短いから時代に合っている」
そんなの他の棋戦が担っている。
テイケイ杯なんて賞金1千万だよ。
「こんな時代なんだから仕方ない。」
ならもっとこうなる前にできる事あったんじゃない。
クラファンしてたけど、もっと具体的に「もう2日制維持できません。本当に皆さんのお力が必要です。もう無理なんです。」って言ってよー!
そんなの感じ取ってくれなんて無理なんじゃー!!
ちゃんとお願いしなさいよー!!
うわーん。つらいよ。なんでだよ。
囲碁棋士人数多くて国際色豊かなのが強みなんだから、もっと人海戦術使ってみんなで本因坊戦のtweetいいね!してバズらせて、英語とか中国語とか韓国語とかなんかもうあらゆる言葉で記事書きまくって「あれ?本因坊戦って世界的に注目度高いの??」みたいな空気作れたんじゃないのー!
嘘やヤラセはダメだけど、足掻くことは必要だと思う!
本人がダメなら友達や家族に協力してもらったら良いじゃんかー!!
アカウントなんて匿名で作れるよー!
と炭酸水を飲みながらぐるぐる考えていた。
お酒飲めないのがこういう時さみしい。
でも、そんな時にライバル棋戦である名人戦主催朝日新聞の熱血記者さんのtweetが目に入った。

"明けない夜はありません。変わらず切磋琢磨していきましょう"

泣いた。
囲碁観戦が趣味になった理由の一つは、棋士の皆さんは勿論、各社記者の皆さんも囲碁が本当に大好きで、どうやったら多くの人に楽しんでもらえるだろう?知ってもらえるだろう?と一生懸命伝えようとしてくれる気持ちが伝わってきたから。
これ程一途に黒と白の石に向かい、色鮮やかな世界を作っている人達に惹かれるのは不思議な事ではないし、だからこそ夢の舞台であるタイトル戦が縮小される事が悲しい。悔しい。
そう今はとにかく悔しくて悲しい。

必ず元に戻して欲しい。
気休めでは意味がない。
必ず歴史と伝統の本因坊戦の名に相応しい、先人達が作り上げた棋戦にしてほしい。
それまで見ているからね。