少年サッカー、小学生でやっててよかった練習って何よ?(その2)
今回は、「少年サッカーを楽しむパパコーチ体験記の第2弾!」の続きです。
前回、こちらの記事で「やっててよかった練習を3つ紹介します!」と冒頭で言いながらも、文章が長くなってしまったため、2つしか紹介できませんでした。
今日は、その3つ目について書きます。
(前回の記事を読んでいない方は、そちらからどうぞ!)
といいつつ、具体的な練習方法に行く前に、少し前置きです。
ボールを「守る」と「奪う」が大切な訳
ここ10年ほど、サッカーは4局面で説明されるようになりました。
①攻撃→ ②攻撃から守備への切り替え(ネガティブ・トランジション)→ ③守備→ ④守備から攻撃への切り替え(ポジティブ・トランジション)→ がその4つです。
この中の、②④の2つの切り替え局面は、特に注目度が高い。
①と③は陣形が整っているのに対し、②④は、守備側の陣形が整っていないがために、チャンス(もしくはピンチ)につながりやすいからです。
チーム戦術を考える上で、守備から攻撃への切り替え(ポジトラ)をどのようにつくるのか/攻撃から守備の切り替え(ネガトラ)をどのようにしのぐのか」は大切なポイントになっています。
プレッシングは、相手チームのゴールに近いところでボールを奪い取り、ポジトラをつくり出す戦術です。
現在のサッカーで、プレッシングは特別な戦術でなく、普通にやるべき戦術になっています。
ゴール前では、FWがハイプレスでCBやSBのボールをなんとか奪おうと、ファールギリギリの方法で体をぶつけてくる。(実際はファールも多い)
中盤では、敵味方のインサイドハーフとボランチがプレッシャーをかけあい、ミスを発生させてこぼれ球を狙う。
フォワードも、当然プレスバック。岡崎選手のプレースタイルを珍しがられて「ディフェンシブ・フォワード」と言われたのは昔の話。今は、フォワードが守備をするのは当たり前になっています。
(長男のチームではフォワードの途中交代が多い。プレスで相手のCB、SB、キーパーを追い回すスプリントによって、疲弊するからだと思います)
一方、ある局面の陣形をコンパクトに圧縮してプレスをかけるということは、別のスペースを空けるということ。もしプレスをかわすことができれば、逆に大きなチャンスとなります。
このような切り替え局面が重視される戦術トレンド中で、
「ボールを奪ってカウンターに導く選手」「プレスをかわしてボールを守れる選手」の価値は、ものすごく高くなっています!
そして、これは、ジュニアからジュニアユース、さらにユースへ、プレスが厳しくなるほどにその価値は高まっていくと思います。
以上が、長い前置きでした。
その上で、「やっててよかった」自主練の3つ目は、「ボールを奪う/守る」練習です。
3.南米式ボールキープ
自主練の内容は、子どもの股の後ろから前にボールを出して、それを子どもが触った形からの1対1。
手、膝、尻、背中を使ってのボールキープからの反転シュートです。
目的は、相手と競り合いながらボールを扱うプレーに慣れることです。
体の当て方は、絶対にトレーニングすべき技術だと考えていました。
ボディコンタクトが多い、サッカーにおいては、コントロールやキックと同等の基礎技術と言ってよいと思っています。
長男とはU6からこのトレーニングをはじめました。
親はボールを出したあと後ろからプレッシャーをかけ、子どもは手、腕、尻、太もも、膝、背中を使って、相手をブロックしながらターンしてシュート。
子どもの年齢に応じて強さは調整します。子どもが普通にプレーしにくいギリギリの強さで体を当てるように意識しました。
長男には、ボールを追う前に、後ろのディフェンダーに軽く身体をあててから、ボールを追うようにさせていました。いわゆるアーリーヒットです。
U10になるころには、少しファール気味に手をつかんだり、腰を当てたりして、試合に近い形にしました。
押したらディフェンダーは押し返してくるので、その力を利用して逆方向にターン、脱力して弾き飛ばされてターンなど、後述の本や、Youtubeの動画を見ながら、長男なりにをやり方を学んでいきました。(脱力はできないまま)
ターンは、アウトサイド、インサイドターンをベースに、追い越しステップ(メッシやデヨングがよくやる、あれ)、ダレッサンドロのラ・ボバなどを練習しました。これを、相手に体を当てながらできるようにしました。
わざわざ「南米式」と書いたのは、身体のいろんな部位を使うアルゼンチンの選手をイメージして練習していたからです。(ならアルゼンチン式でいいじゃない)
ショルダーチャージと言ってしまうと、肩のみを使うような印象を持ってしまいますが、ボールキープで使うのは全身です。
たとえば、
・手、腕で、相手の動きを探り、制限する
・腰と尻、背中を相手にあてて、相手と距離をとる
・太腿やスネで、相手の出足をとめる
など。
キック同様に、身体的特徴によって有効な方法が変わってくるので、何度もトライしながら長男なりのボールの守り方が身につけばいいな、と思って練習しました。
具体的な、ボールの守り方についてはこちらの本が参考になりました。
この練習をしていた当時、長男を奪う側にはしませんでした。
ポジションがFWだったのと、奪う技術はボールプレーでないので、後からでも問題なく身につく、と思っていたからです。(あさはか)
ですが、今ではやらしておいたらよかったかな、と少し後悔しています。
小さいころからやっていたら、ボールを奪える/奪えないの判断力、感覚が身に付いたのではないか、と思うからです。
ボールを奪える選手は、この感覚が他の選手と違うような気がします。
ステップアップ・トレーニング
体を当てることに慣れた後は、並走しながら体や手を当てる練習をしました。
親と子どもが並走、右足でボールを持つ場合は、左側を親が並走して、ボールを取ろうとします。
子どもは、親がアタックしてくる前に、自分から先に身体をあてて親との間に距離をつくって、ドリブルで進みます。
ディフェンダーが近くにいて、相手と距離をとりたい場合は、腰、尻、背中で強く当たって弾き飛ばす必要があります。アグエロがよくやっていたアーリーヒットの感じです。
もし、ある程度の距離があって、相手を近づけたくない場合は、腕と手が使いやすいと思います。ラグビーのハンドオフのようなイメージです。マラドーナやネイマールがうまい。
相手を正面に見て押すと、プッシングのファールをとられやすくなります。
そのため、前を向きながら、横にいる相手を間接視野で見て手で押すことになります。
ただ、このプレーは慣れないとうまくいきません。
長男は一ヶ月ほど練習した後、なんとなく押せるようになりました。
相手を近づけたくない時は、手のひらや二の腕で相手の胸、肩あたりの高いところを押すと近づきにくいようです。
強く押そうとすると、押した方の体制が崩れてボールのコントロールを失うことがあります。押す力も調整が必要です。
ドリブルで突破できるかも、この技術のあるなしで変わってくると思います。一度ディフェンダーの逆をとっても、レベルの高いディフェンダーは切り替えてついてきます。そこをスピードでひきはなすか(エンバペ)、ブロックして進む技術(デヨング)がないと、前進できず、局面が変わりません。
ファールは取られないのか
結論からいうと、低学年の間は取られます。
長男はボディコンタクトの練習をしていて、体も大きめだったので、接触プレーのコンタクトは強い方でした。そのため、2、3年生の頃は、本当にたくさんファールをとられました。
低学年期は、正当なチャージであっても、コンタクトして相手がコケるとファールになってしまいます。特に、腕を使うとどんな形であってもファールになりました。(なんの反則?)
当時は僕も若かったので腹が立つこともありましたが、学年が上がるとともにファールを取られる回数は少なくなり、長男が5年生になると、公式戦では、ファールはほとんど取られなくなりました。(練習試合は審判がいろいろなので、取ったりとらなったり)
コンタクトの練習は、なぜ必要?
ジュニアユースの中学期は、身長差が最も大きくなる時期。
成長期が来たか、そうでないかで、身長差は20cm近くになります。
そんな時期であっても、コンタクト技術のあるなしで試合での活躍度はかわります。(「わが子が活躍するのを見たい」は、すべての親のニーズ)
160㎝台だけど、尻と太ももと腕を使う技術で当たり負けしない選手もいる。その一方、180cmの身長がありながら、手がうまく使えないためにボールロストしてしまう選手もいます。
振り返ると、小学年代の選手評価は、ボール扱いの「うまさ」にかなり偏っていました。ジュニアユースになると、「うまさ」と同じ位、フィジカルの「強さ」が評価されます。
FC東京の松木選手は、そこが強みとなって高卒でJ1のスターティングメンバーのポジションを勝ち取りました。
いずれ求められるのであれば、早いうちから体の当て方に慣れていた方がよいと思います。
長男は、うまい子がたくさんいる中で、「対人が強い」ことが強みとして評価されています。(結果オーライ感)
「体が小さい選手は、相手に当たらないように工夫してプレーする」という意見を聞くこともありますが、それができるのは攻撃の時だけです。
ボールを奪いにいく時は、どうしてもこちらからコンタクトを仕掛けなければいけません。そして、現代サッカーで守備をしなくてよい選手なんていません。
すべてのポジションで、パスコースを限定するだけでなく、ボールを奪いに行く守備ができるように求められます。
長男が小さい時は、知らなかったため参考にしませんでしたが、家長選手のボールキープは参考になると思います。決して足が速くはない家長選手がドリブルで違いをうみ出せているのは、この手の使い方による部分も大きいのでは、と思います。
「サッカーを愛するみなさん、ご機嫌いかがでしょうか」
まとめると、ジュニアユースになった今から振り返って、「やっててよかった」と感じた3つの練習は、1.ドリブルタイムトライアル、2.高速パスコントロール、3.南米式ボールキープでした。(ざっくりしすぎ)
並べてみると、この3つはすべて、プレー強度(インテンシティ)の高いゲームの中で役立つスキルです。
現在のサッカーにおいて「プレー強度」は欠かせません。
なので、今の僕がこの3つを「やっててよかった」と思うのは、自分でも理解できます。(当たり前①)
でも、10年前の僕に、2023年のサッカーはわかりません。(当たり前②)
長男が幼稚園や小学生の当時、日本ではバルセロナが人気、「ポゼッション」が大人気でした。
この文章を書くうちに、「なぜそんな環境で、当時の僕は、長男とこんな練習やっていたのだろう」と思いました。
少し思い返すうちに、小学生の時に見ていたダイヤモンドサッカーでの、岡野俊一郎さんの発言に行き当たりました。
「日本の選手は本当にうまくなりました。それでもヨーロッパのトップレベルの選手とはまだ違いがある。彼らはトップスピードで、相手と競いながら、その技術を発揮できるのです」
(内容は合ってる、文言は間違ってる、たぶん)
その言葉が、小学生の僕に刷り込まれていて、長男との練習をするときに、スピードと競り合いにこだわることになったのかも知れません。(後づけ)
先日、ダイヤモンドサッカーで実況をされていた金子勝彦さんが亡くなられました。ご冥福をお祈りします。
でも、よくよく考えたら、単にアルゼンチンのサッカーが好きだったからかもしれません。
当時見た、アルゼンチン育成を特集した番組の中で、5、6歳ぐらいの子どもが練習の中で、容赦なく吹き飛ばされていました。それでも、子供たちはすぐに立ち上がってプレーに戻っていく。
その時、長男が将来、こういう子供たちと一緒にプレーすることになるといいな、と思ったのです。(空想の力)
書いているうちに、また長くなってしまいました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
では、また来週!
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