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46. テリー・ライリーと空港でバッタリ。

一人旅は好きじゃない。誰かがいてくれたほうが旅は楽しい。
にもかかわらず一人で旅することが多い。どうしたものか。
カナダのフェスティバルが推薦してくれたモントリオールの宿にひとりで泊まり、夕飯を決めるのに、あーでもない、こーでもないと時間がかかる。
ケベック州のヴィクトリアヴィルのフェスティバル
FIMAV(Festival International de Musique Actuelle de Victoriaville)に行くのは何回目だろうか。一昨年、ケベック州と調布市が文化交流の友好都市になるとのことで、Jazz Art せんがわとFIMAVの交歓が企画された。その視察旅行が今回の旅である。
朝、ホテルにフェスティバルのワゴンが到着して、ぼくをピックアップ。ぼくひとりを乗せてモントリオール空港に向かった。
「あとふたりミュージシャンが乗ります」とのことで、空港で待っていると、到着したのは、テリー・ライリー親子だった。「わお」である。テリー・ライリーは、ミニマルミュージックの始祖であり、現代音楽のみならず、ロックの世界でも尊敬されてきた大人物である。一ヶ月ほど前、ニューヨークでヒカシューのアルバム『あんぐり』を録音している時、通なレコード店ダウンタウンミュージックギャラリーで出会った、Terry Riley ‎– Rainbow In Cologneという1971年録音の2枚組CDを聞き入っていたところだった。
店主のブルースさんが、「これは希少盤。あとこれだけ」なんて言うものだから、即購入したのだ。
1977年に東村山ユネスコ村野外ステージに寝袋持参で、オールナイトでテリー・ライリーのテープループを使ったオルガン演奏を聴いたことが思い出される。あのコンサート高橋悠治、三枝成章、中山千夏、佐藤允彦という多彩な出演者で、わくわくしたっけ。テリーさんの演奏は夜遅くはじまり、朝6時くらいまで続いていた。
ワゴン車は、モントリオールからヴィクトリアヴィルへ2時間の道のり。息子さんのギアンさん共々とても気さくな方で、たくさん話をすることができた。
テリーさんは、アイヌ音楽に興味を持って二度ほど来日し、その時伊福部昭さん宅に伺ったらしい。ぼくはちょうどニューヨークで伊福部昭作曲のゴジラの音楽を演奏し、録音したばかり。しかも伊福部昭氏が作ったアイヌ語の歌詞を喉歌で歌い録音したところなのだ。奇遇としかいいようがない。
「秋には日本に行く予定です」という情報ももらった。
その日の夜、テリー・ライリーとギアン・ライリーのデュオコンサートを聴くことができた。インドのラーガで歌い、ピアノやシンセサイザーを自由なスピリットで操るテリーさんと、巧みなギターで、お父さんの奔放さに寄り添う素晴らしいギアンのギター。いい気分にさせてくれるコンサートだった。

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左からKoichi Makigami, Tom Rainey, Anthony Braxton, Nels Cline

Festival International de Musique Actuelle de Victoriaville Victoriaville, Quebec, Canada May 18-21, 2017




テリー・ライリーは、佐渡島で開催のDOMMUNEの企画のために2020年の2月に来日後、現在もアメリカに帰国せず、日本に滞在しているようだ。

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