見出し画像

54.ギアンとジェーミーと寒い日に

ニューヨークthe Stoneでの一週間ライブに話を戻そう。年も押し迫った12月30日の日は、東海岸には寒波が襲っていて、ニューヨークも朝から雪模様だった。そんな寒い中、朝はチャイナタウンで飲茶からはじまった。「ニューヨークの朝ごはん」というニューヨークの中のアジアを紹介するサイトをしている手代木さんと会ってお話する約束だった。しかし町は寒い寒い。またマンハッタンのビル風はほんとに半端無い。
なにかするにしても常に一端ホテルの部屋に退散する始末だ。ここにはいい気候の時に来たいものだ。昼は、またしてもチェルシーマーケットに行って、ピザを食べたり、最大限の力で移動して、ニューヨークの滞在を楽しんだ。
 さて、今夜は、ギターのGyan RileyとキーボードのJamie Saft に出演をお願いした。Jamieは自宅のあるウッドストックから、Gyanも北の方から来るという。雪も降っているという道路事情も心配で、この二人が果たしてライブの時間に着いてくれるのかどうか心配でならなかった。だからふたりがギリギリに到着した時は、本当によかったと胸を撫で下ろした。
Gyan Rileyとの共演は、この年の5月にお父さんのTerry Rileyさんとカナダで一緒だった時、思いつき、Jamieは、彼がTokyo Jazz で彼のレゲエバンドNEW ZION TRIO with CYRO BAPTISTAで来日した時に、頼もうと考えた。
こういう共演の依頼は、インスピレーションで決めていく、そこでスケジュールが合えば、たいていどんな音楽家とでも演奏できるのではないだろうか。(よほどギャラが高い場合を除いて)
Jamieは、シンセを持ってきていて、音をだすのに苦労して笑わせてくれた後、三人がのびのびするスペースを導いてくれるかのような演奏。Gyanは、ぼくの動きを注視していた。なにしろお互いはじめての共演なので、ちょっとしたジャブのような音楽からはじまったのだ。そして、ここぞという場所をみつけたら、縫うように遊ぶように音が溢れていく。即興演奏の醍醐味である。いつまでも演奏していたいものだ。
ぼくの組んだプログラムはこの日で終り、明日はジョン・ゾーンと共にニューイヤーイヴのイベントになる。一週間のニューヨークのレジデンシー。あっという間に過ぎてしまった。そしてこの小さな愛すべきスペースthe Stoneともお別れだ。来春には、ここは閉鎖され、ニュースクールという音楽学校の一角に移転することが決まっている。
ロウアーイーストサイドのthe Stone。もうこの場所に戻ってくることはない。
さみしくなるな。2017年の年末

2018

巻上公一

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?