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麻雀最強戦から考える「赤なし麻雀」での戦法について
あなたは2023年6月18日に行われた麻雀最強戦2023 グループE「骨肉の争い」の決勝卓を観たか。
冒頭から仰々しい笑
(以下、対局のネタバレを含む)
このグループは主にMリーグチーム「赤坂ドリブンズ」(以下、ドリブンズ)と「EX風林火山」(以下、風林火山)の2チームがぶつかりました。ちなみにドリブンズのそのけんこと園田賢プロ(最高位戦)は2023年5月28日に行われたグループD「Mリーグスペシャルマッチ」にて決勝卓で優勝したため、代わりに大塚翼プロ(協会)が出場しました。
予選A卓はドリブンズ対決でずんたんこと村上淳プロ(最高位戦)とたろさんこと鈴木たろうプロ(最高位戦)が勝ち抜き、惜しくもまるここと丸山奏子プロ(最高位戦)と大塚翼プロは敗退しました。
予選B卓は風林火山対決で勝又健志プロ(連盟)とガセさんこと松ヶ瀬隆弥プロ(RMU)が勝ち抜き、二階堂姉妹(共に連盟)が敗退。これにより決勝卓はたろさん、ガセさん、勝又、ずんたん(席順)の激渋おじさんによるアウトレイジ対決となりました。
結果としては一部でバズった通り、ほぼ優勝が見えていたオーラス親のずんたんに対して他3人が役満手で攻め込み、たろさんがツモり四暗刻テンパイ(六筒🀞八筒🀠シャンポン)、同巡にガセさんが国士無双テンパイ(西🀂️待ち)、勝又が四暗刻一向聴という異次元の漢気麻雀になり、河もかなり不穏な状況のなか、たろさんが見事四暗刻を成就させて逆転優勝となりました。
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この場面でずんたんは中盤から受けにまわり、そのまま流局を目指して伏せるつもりだったのでしょう。2着目のガセさんと2万点弱(倍満ツモor跳満直撃条件)の差が開いているため、無理に攻める必要もなく、和了ることなく終局にするのが定石です。
ですが、逆転するためには役満級が必要な場面でなんと2人がテンパイし、場況的にはガセさんの西🀂️待ちがかなり濃密で和了れそうな場ではありましたが、ゼウスの一撃が振り下ろされました。
時として麻雀にはドラマが起こります。わたくしも先日、健康麻雀の大会で4戦中3戦終了時に16人中16位とかなり絶望的な状況ではありましたが、親の国士無双を和了って全体4位まで上り詰めました。
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このときの1〜3戦目まではまったく手が入らず、時間制限で後がない場面で無理に仕掛けて放銃、平和純チャン三色をリーチしたものの一発で低目を引いてなおツモ切りフリテンのまま押すも流局、平たい3着目のときに倍満の親かぶりによりラス落ち、などなどの不運のままの4戦目になっていました。その最後の最後で和了った親国士無双はかなり強烈で、今でも配牌からの展開を覚えているほどです。
普段は主にネット麻雀「雀魂」にて赤ありルールでやっており、競技麻雀での赤なし麻雀の機会は多くありません。また、手積みの50分ルールも相まって北家スタートになれば下手すれば親が回ってきません。
その中でどうすれば勝ちを重ねることができるのかを考えてみたいと思います。
(ここまで前フリ)
赤あり?なし?
Mリーグでも採用されている赤ドラは主に「五萬🀋」、「五筒🀝」、「五索🀔」のそれぞれ1枚が赤くなっており、これ1枚がドラとしての性質を持ちます。雀荘では五筒2枚が赤ドラだったり、三と七も赤ドラとしてる場合もあります。
赤ドラがあればどうなるのか。それはドラの数が4枚から最大7枚(ドラ表示牌によって若干減少)になることで必然的に打点が上がりやすくなり、点数の移動が激しくなります。
数牌の真ん中がドラになることで断么九仕掛けの副露でも打点上昇が多くなるため、早い展開になりやすく、また最後まで高打点の殴り合いにもなりやすくなります。
では、赤なし麻雀ではどうなるのか。
ドラは必然的に4枚しかなく、打点を作れる場面が少なくなることで手なりで役を作る進行が多くなりがちです。そのため、一度高打点に昇華(裏ドラなど)した場合にワンサイドゲームになりやすく、逆転手を組もうとする間に安く流されることが多くなります。(「骨肉の争い」でもA卓でずんたんがトップで抜けたオーラスでは3着4着のまるこ&大塚に時間を与えず、2着目のたろさんに差し込んで予選抜けを確実にしていました)
また、手役がどうしても強い。以下の牌姿を見てみると、
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この牌姿で白🀆が捨てられたら副露するか。答えは8割方イエスだと思う。白🀆ドラ赤で子でも3900点は手堅い。ダンラスなら門前で決めたいところではあるが、ラス回避麻雀ならば3着だって副露する人が多いのではないか。形兆の兄貴もするはず。
これが赤なしならどうでしょうか。
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牌姿は赤五筒🀝が普通の五筒🀝になっただけ。これで白の一鳴きは人を選びそうである。「こんなの鉄鳴きで五筒🀝切りの四-七萬🀊🀍両面待ちや!」はトップ目でもなければ悩ましいところだと思う。
聴牌の受け入れは四筒🀜、五筒🀝、七筒🀟、八索🀗、白🀆とあり14枚。六筒🀞が重なれば人によっては白🀆切りからの平和一盃口も見える。きちんと半荘戦えるなら白🀆一枚目はスルーしそうです。
けど、50分の時間制限ありの東場北家なら? 時間を悠長に使っていると自分の親が来ずに終わる可能性も高いです。それならば、と一枚目からポンとしそう。
「東風戦」に攻略の糸口あり?
赤なしでもきちんと半荘が打てるならば字牌や手役の価値が上がり、ドラが少ないながらの戦術があります。ですが、健康麻雀や今では規模が大きくなっているGPCリーグでは50分ルールや50分+1局と時間制限が存在します。さらには手積みな場面もあるため、席順によっては親が回ってこないため、場の速度が重視されます。
そこで考えたのが「東風戦」での戦い方です。局流しと一撃が勝負を決します。
局流し
半荘戦で言えば平たい南場です。一つのミスがそのまま順位に反映されやすく、逆を言えば一つの和了が自分の順位の期待値が上がります。
ドラが少ない分、役に頼る場面が増える。そこで生きてくるのが副露です。
打点が低くても速度があるならば積極的に仕掛けることで局消化を行うことで最大の防御になります。
もちろんデメリットもあります。手牌が短くなることによる守備力の低下です。仮に二副露をしたとして愚形が残る一向聴、親からの立直が飛んできました、現物がありません、となると悲劇です。タコ鳴きすると追い詰められます。
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個人的にはこれは「副露の押し引き」だと考えています。遠くて安い副露はタコ鳴きですのでお上からの天誅が下るリスクがありますが、これがチャンタや混一色にリメイクできるならば攻撃に転じれ、めくり合いになっても背負うリスクにつり合います。最悪降りればいい。
対局を決定づける「一撃」
麻雀なので誰だってでかい手を和了りたいですよね。赤なし麻雀では満貫以上の和了が勝負を決めることが多々あります。
もともとドラが少ないため、一度つけられた点差を覆すのは難しいです。「骨肉の争い」決勝卓は異常ですが、それくらい赤なしで打点をつけるのが難しい。
執筆段階の前日、健康麻雀で親のときに上家から立直が来ました。こちらは親なのに4巡目に一向聴になってから全く手が入らず、ドラもない状態で立直を受けて、ある程度押していましたが鳴くこともできず聴牌も取れそうないまま終盤になったために降りを選択。ラスト1巡のときに「ツモッ!」と軽快な声が上家から来ました。
手を開けるとまさかの立直ツモ断么九三暗刻(!)ドラ3(!!)の牌姿。さらに裏ドラが3枚(!?)乗ったことで11翻の三倍満6000-12000の激痛親かぶりを喰らいほぼほぼ負けが確定しました。単純に36000点分の動きがでるため、ひっくり返すことが困難になります。
このような「一撃」の逃さないことが赤なし麻雀で重要です。赤ありも一緒? 赤ドラあれば着順アップなら最後までワンチャンあるから!(震え声)
役満の一撃を狙うしかなくなりますが、時間制限もあるときはいかんせんゆっくり打つ時間がありません。そのために他ルールに比べて先行有利がかなり強いです。ですので他家には「一撃」を出させないことも大事になってきます。
結論。というか今回のオチ
といっても、麻雀の戦術に絶対はありません。よく聞く言葉で、「麻雀は実力3割、運7割」があります。ただし明確な根拠はなく、人によっては「運も実力の内」、「五分五分」、「実力1割、運9割」といろいろです。
ですが、このパワーバランスは決して平等ではありません。麻雀は将棋とは違い、格上(タイトルホルダー)が格下(ズブの素人)に普通に負けます。将棋ならそれは起こりません。将棋が完全情報ゲームである以上、確かな実力差があるなら下剋上は起こり得ません。けれど麻雀は不完全情報ゲームでかつ4人で卓を囲むため、容易に起こり得ます。
「実力3割」を4割→5割にするのは至難の業で、10年20年突き詰め続けてもできないかもしれません。
ですが、運は一瞬で返り咲き、咲き乱れます。刹那で散ることもあれば、確変が入って咲き続けることもあります。それほど運は強いのです。
その中でも麻雀は「正解(確率)の選択」をし続ける人が一番強いです。この正解は牌効率だけでなく、ありとあらゆる読みも含まれ、平面的な選択を超越しなければいけません。その選択を間違えない目利きが重要なのです。
結局、「赤ありも赤なしも戦略なんてないやん!運ゲーおつ!」ということもできますが、それらの先にある勝利を掴みましょう!未来は僕らの手の中です!
(下はいつものお賽銭ゾーンです)
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