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愛しの昭和ラブホテル

 俗に「昭和ラブホ」と言われている、回転ベッドや鏡張りなどの内装のホテルがどんどん減っている。
 あの内装はなぜ廃れているのか。一番大きな理由は。1985年の法改正だ。
詳しいことはこちらを参照していただきたい。
https://kotobank.jp/word/風俗営業等取締法-864873

 大ざっぱに言うと、ラブホテルに関する法律が変わり「宿泊施設として営業するのにふさわしくない」と思われる内装のものが作れなくなってしまったのである。つまり、現在そういう物が残っているホテルのほとんどが、1985年以前に建てられたものなのである。

 施設の老朽化や、後継者不足で、いまや回転ベッドや鏡張りのホテルはどんどん存続の危機に追い込まれている。初代オーナーがお金をかけまくって作ったそんな施設が、2代目オーナーにとっては黒歴史的な扱いになってしまい、代替わりした途端に、面白くもなんともないフツーのおしゃれラブホになってしまうことが多い。

 だが、私は個人的にあの下品でユニークな内装は貴重な文化遺産だと思っている。松本の旧開智学校に代表される「擬洋風建築」の一種だと思っている。
 まだ海外旅行が庶民の遠い夢だった時代、「ヨーロッパのお城」を夢見たデザイナーが、ヨーロッパの城のなんたるかを知らずに、伝聞の範疇で作ったヨーロピアンゴージャス、映画でしか見たことのない知識を駆使して作られたアメリカン・ポップ、そんなものが散りばめられた、ロマンチックが止まらない空間は間違いなく擬洋風建築だ。(ほんとかよ)
 擬洋風建築の建物は、戦前には「本物の西洋建築を知らない者によって作られた寄せ集め」として低い扱いを受けていたが、近年は斬新なデザインとして評価を受けている。現存しているものは文化財に指定されて大切に保存されているものも多い。そういったもののように昭和ラブホも文化財として保護してもらえないだろうか。

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