【ネパール親子旅行記#1】 旅のはじまり。
昨年末、初めてのネパールへ行ってきた。
夫と小学5年生の息子と一緒に、1週間ほどの短い旅。
土地の空気、風、匂い、音、肌触りや舌触り、文化や風土、色々なものを感じて、その時のことを細かく書き残そうと思っていたら、あっと、あっと、あっという間に日にちが経ってしまった。忘れてしまう前に、旅の思い出をゆっくり、たっぷり記していってみる。
旅先をネパールにしたきっかけは、どこか行ったことのない文化圏に行ってみたかったから。
ヒマラヤを見るか、砂漠を見るか。ところが目当ての砂漠地帯が戦争状態になってしまったので、行き先は自然とネパールに決まった。
海外仕事も多い夫と違い、私にとってはじめてのヒンドゥー教圏。子供はもちろん初めて。つまりネパールはとにかく未知の場所だ。
はじめは気ままに個人旅行にしようかと思っていたけれど、子供がいたりと色々と不安だったので、初めて日本語ガイドのついた個人ツアーを選択することに。
さてどんな旅程にしようか。
はじめは単純に「目の前に聳える世界一の山、エベレストを見てみたい!」という気持ちだった。8000m級の山々を見上げたら、どんな気持ちになるだろう?という漠然とした憧れ。その感覚を一生に一度体験してみたい。
しかしだ。少し調べてみると、あのいわゆるザ・エベレストな風景を体験するためには、5000m以上の高度まで歩いて登らねばならないと知る。3800mくらいまで行く旅程もあったけれど、いずれ、とりあえず今回とれる日程1週間では、全然足りない。
ひとまず夫とも相談して、それなら遠くからヒマラヤを見るだけでもいいんじゃない?街や文化を見て歩くのも、絶対いいよ。と、カトマンズ周辺を歩くのを中心とすることにした。まあ、これはこれで絶対に楽しいはず!前向きで現実的な計画変更だ。
(ちなみに、飛行機に乗って、ヒマラヤ山脈を遊覧飛行できるというツアーもあったけれど、それはちょっとチートみたいでやめた。やっぱり初めては下から見上げてみたいのだ。)
次は、宿をどうするか。
ネパールではまだお湯が出ないところも多い、と事前に見た情報に書いてあったのだ。今回は冬の真ん中だし、絶対に寒そうなので「とにかくお湯が出る宿にしてください」とツアー会社に依頼すると、ホテルは4つ星以上になった(驚)さらに飛行機代や、日本語ガイド代、基本的な食事代など諸々込みでも、なかなか安くありがたい。フリーの日もあるし、近郊の丘でハイキングをして、村を見て歩きたいというカスタムも叶った。運が良ければエベレストも見えるそうだ。なかなかよい。なんだか予想していた山旅とはかけ離れていくけれど、十分楽しそう。
何があるかわからない人生だ。
行きたい場所には、行ける時に行かないと、いつでも行けるなんてことは決してない。
それに、子供が小さいうちに一緒に過ごした思い出をたくさん作らないと、というのは私のポリシーだ。
どうせ、思い出しかあの世には持っていけない。思い出貯金はあればあるだけいい。わくわくしながらその日はどんどん近づいていった。
出発は12月25日、クリスマス。
キャセイパシフィックで、成田から香港トランジット、首都カトマンズまで計10時間。
機内ではゲームをしていたらあっという間に時間は経った(子連れ旅は機嫌キープが肝なのだ)。
しかし機内食が恐ろしく不味く、香港で食べた青菜麺が心身に沁みる沁みる…。この日はそこらじゅうがクリスマスムードで、CAさんたちがサンタ帽を被っていたり、空港の店員さんにメリークリスマス!とお菓子を渡されたりした。
カトマンズ行きの飛行機は、ほぼ現地の方々で満席。肌の色の違う、香りの違う人たちに囲まれると、少しどきどきしてしまう。
眼下に広がる煌びやかな香港の夜景を飛び越え、しばらくすると、世闇にひっそりと座すヒマラヤ山脈が窓外に見えてきた。
月明かりに薄らと照らされ、その大きさはよくわからない。この辺りが、カトマンズなのだろうか。麓の街々の明かりもまた、ひっそりとしている。
到着したトリブバン空港は、ここが首都空港かと思うほど、小さくて古くて、胸が高鳴った。人の良さそうなガイドのおじさんと合流し、電飾とクラクションで賑やかな駐車場を抜け、ホテルへ向かう。
23時の静かな街。
霞む夜の空気の中、野犬の群れが走るのを見た。
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