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タイプロ感想:初めての推し活、そして喪失

ここ数年、NetflixやAmazon Primeの番組をみないことにしていた。かつてはテラスハウスの大ファンだったし、ライター時代にはバチェラーの記事を書いたり、元々話題作は欠かさずチェックする方だったにも関わらず。
ただ子を育てながらフルタイムで働いているし、楽器練習や読書などなど他にやりたいことが目白押しの中で、何か削るのだとしたらそれらの番組、そう思ったのだ。

そんな自分に課した禁則事項を破ったのが、Netflixで放映中の「タイプロ」ことタイムレスプロジェクトだった。

旧ジャニーズ事務所でSexy Zoneとして活動していたグループが、中島健人が抜けたことをきっかけにグループ名をtimeleszに改名、そして新メンバーを一般公募で応募することにした。その模様がNetflixの番組になっている。

私自身は旧ジャニーズ事務所のグループで全員の顔と名前が一致するのは嵐がギリギリというくらい、元々旧ジャニーズに興味関心がなく、元Sexy Zoneについても中島健人が脱退したことをこのオーディション番組きっかけで認識したくらい。そんな私がタイプロタイプロと騒ぎ始めたことに長年の付き合いの友達ほど困惑し、自分自身もかなりとまどった。

ただたまたまXで流れてきて知った「栗田恵」という候補生にどハマりしてしまった。

踊り始める前は「ザ・一般人」というか、そのへんによくいそうな20代の若者にみえた。が、オーディションの場だというのに音楽が始まってからカウントを取り始める時の力の抜け方、そして踊り始めた瞬間に強烈な華を放った、そのギャップのとりこになった。

そこから「推し活」が始まった。初めての推し活は新鮮だった。赤の他人なのに、彼に関することならなんでも知りたくなってしまう。
日夜WebやXで「栗田恵」で検索をした結果、彼は元々それなりの知名度がある旧ジャニーズJrで、Number_iの岸優太、元キンプリの岩橋玄樹、Travis Japanの松田 元太などと番組や雑誌に出ていたことを知った。現ジュニアで、Hi-Hi Jetsにいる橋本涼や井上瑞稀、‎そして侍7 MEN にいる中村嶺亜とも。

気がつくと「栗田恵」を通じて旧ジャニーズ事務所出身者に詳しくなった。
そして思った。今まで私に取って、旧ジャニーズ出身者も韓流スターも「アイドル」というくくりでみていたけれど、どうやらそれは全く違う。旧ジャニーズ事務所出身者たちは全員がどこかで繋がっている、いわば大きな家族みたいなもの。そしてファンは、そんな大家族の中の誰かやグループを推しながら、他グループや自分の推しと同じ時期を過ごした、また仲がよかった人やその人がいるグループに対して愛を持つ。
たとえば私は栗田くんの推し活を通じて、栗田くんと当時仲がよかった中村嶺亜くんにも興味が湧いて、愛着が芽生えた。それはとても不思議な感情だった。そしてそこが、他のアイドルと違う、旧ジャニーズ事務所の唯一無二のところなんだろうと思った。

推し活を通して知った彼のパーソナリティ的に、彼が事務所を辞めてからの複雑な事情なんてまるでなかったかのように、事務所に残ったメンバーにも離れたメンバーにも、すでに大活躍しているメンバーにも後ちょっとのところにいるメンバーにも分け隔てなく接するんじゃないかと思った。そんな彼の能天気な様子に、メンバーも、そして映像を通じてそれをみるファンも、なんだか安心するというか、かけがえのない繋がりがそこにあることを実感するんじゃないか、なんて、推し活が進めば進むほど、妄想はどんどん膨らんでいった。

ところが、9月27日、栗田くんがオーディション二次審査を通過していないことが、番組が更新されて判明した。ネットでも騒ぎになり、Xでトレンド入りまでした。

急に推しを取り上げられたような気持ちがして、とてもショックを受けた。
あまりにもまわりと実力も知名度も違いすぎるから3次審査が免除になったというシナリオを信じてやまなかった。
なのに10/10、本人がXに降臨。timeleszのメンバーになれなかったと正式にコメントした。

本人の残したコメントを文字通りに受け止めると、彼は今後は一般人として生きていくらしい。私の初めての推し活はあっけなく終わった。。

ただ彼のコメントを読んでもなお、まだ諦めきれない自分がいる。かつて一緒に活動していた他グループのメンバーと、久しぶり、なんて無邪気に会話する彼がみたかった。他の候補者にはない、元ジュニアで一定の活躍をしていて、ただしばらく事務所を離れていた栗田くんだからこそ繋げられる他のグループや人との縁がたくさんあるんじゃないか。

timeleszのメンバーは年明けに決まるらしい。できれば大どんでん返しがあること、つまり私の推し活には本当は続きがあることを、この場に及んでも、まだ心から願っている。

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