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自分が好きな人を大切にするんじゃなくて
自分を好きでいてくれる人を大切にする。

どこかの誰かが言っていた、
これは恋愛において重要らしい。



自分を好きになってくれた人は、
たしかにいた。

今までに何人かいた、と思う。

本当に好いてくれていたかは分からないけれど、
少なくとも『好きだから付き合ってほしい』とか
そういう類の言葉を彼らはこんな私にかけてくれた。

それから付き合った人もいれば、
そうならなかった人達もいた。

私は元来はっきりものを言えない性格で
(これはなおしたい、なおすべき短所)、
彼らを困らせてしまった事が何度かあった。



例えば、昨秋の出来事。


趣味で仲良くしていた友人の中の一人。

6~7人のグループで、よく遊んでいた。


ある真夏みたいに暑い、9月のある日の夜。

好きだから、彼女になってほしい
と言われた。

こんなに好きなんだ。
決して下心じゃない。
君となら、例えキスもしなくたって良い。
一緒にいてほしいんだ。

今はそうじゃなくても、いつか君も俺を好きになる。

情熱的というよりも、
どこか少しズレた人だった。


ごめんね

と私が言った後も、
何度も何度もデートに誘ってくれた。

何回でもタクシー代を出してくれたし、
何回でも素敵なご飯を食べさせてくれたし、
何回でも私の好きな物を用意してくれた。
一緒に飲むお酒はいつだって美味しかった。

(これは私が完全に悪いのです。)


ふと、
私が彼を好きになれたら、
幸せかもしれないと思った。

と同時に、
彼は私を振り向かせるために
あれこれと頑張ってくれているのであって、

もし彼が私を手に入れてしまったら
どうなるんだろう?
と考えるようになった。

それから、寒い冬になり、
私たちは徐々に会わなくなった。


これを読むと、
私が拗らせ女だということがバレバレである。
完全に捻くれ者である。
とんでもなく可愛げのない女である。



男は追いたい生き物だと言う。
女は追われたい生き物だと言う。


それが本当だとしたら、
この彼と私のような関係が、正解なのだろうか。


男に惚れてしまった女に、
勝算はあるのでしょうか。

好きな人を大切にしたいと思うのは、
不幸の始まりなのでしょうか。

この答えが出る日が、来るのでしょうか。



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