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2章: 迷走と模索の日々 1.資格と習い事の散財:何かを身につければ変われるはず

大学卒業後の私は、何か資格を取ることや新しいスキルを身につけることが、これからの人生を安定させる鍵だと思い込んでいました。今となってはどうしてそう考えていたのか、理由は覚えていません。ただ、「肩書き」が必要だという漠然とした焦りが私を突き動かしていました。それがどんな肩書きであれ、専業主婦というものであれ、とにかく何かを持っていないと、自分には価値がないように感じていたのです。

しかし、いざ「何をすればいいのか」となると、答えは全く見つかりませんでした。方向性が定まらないまま、私は手当たり次第に資格の勉強を始めたり、習い事にのめり込んだりしていきました。

振り返ると、もともと私は新しいことを始めたり、学ぶこと自体に抵抗がないタイプでした。好奇心が旺盛で、未知の世界に飛び込むことがむしろ楽しくて仕方がありませんでした。資格の勉強も苦ではなく、優等生だった頃に培った試験対策スキルがここで役立ったのかもしれません。短期間で複数の資格を取得することもできましたし、習い事ではすぐに新しいことを覚えて楽しむことができました。

でも、そんな私が、次々と資格やスキルを得ても、どこか満たされない気持ちを抱えていました。「これでどうするのだろう?」という疑問が常に頭の片隅にあり、得たものが自分の人生にどう繋がるのかが全く見えていなかったのです。

そんな中でも、私は新しいことに手を出すことをやめられませんでした。次から次へと新しい習い事を見つけ、それを楽しむ一方で、「これも違うかもしれない」と感じながら次に移る、その繰り返しでした。この時期の私の心は、まるで嵐の中の小舟のように揺れ動いていました。

今思えば、この頃の私は「何かを持っていれば自分の価値が保証される」と信じ込んでいたのだと思います。けれど、それは本当の意味での自分の価値を見つける方法ではなかったのです。

「肩書き」や「資格」は、一見すると安定の象徴のように思えますが、それを得たからといって心の安定や満足感が得られるわけではない、私はそれを経験を通じて学ぶことになりました。

この時期の経験は、私が後にコーチングを学ぶ際にも大きな気づきを与えてくれました。それは、何かを得ようとする前に、まず自分が本当に何を求めているのか、自分にとっての「価値」とは何かを問いかける必要があるのだということです。この問いを持てるようになるのは、ずっと後のことでしたが、今、当時の私に伝えたいのは、「肩書きやスキルではなく、自分自身と向き合うことが本当のスタート地点だ」ということです。
 

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