【映画紹介】呪われたビデオテープの話
ビデオテープ(VHS規格)。覚えていますか。
手のひら二つ分の大きさで若干厚みのある長方形の記録媒体です。
ビデオテープが家庭に普及しはじめたのは1980年代。小型で録画ができて簡単に再生もできるこのアイテムは、当時の家庭においてマストアイテムであったといわれます。
1990年代中頃。
現在のメディアといえば誰もが想像する光ディスク(DVD)が出回るように。
当時はまだビデオテープが全盛でしたが、数年も経つとDVDが世界に浸透した影響から生産量は逆転していきました。
今では見るのも珍しくなったビデオテープ。
2016年には再生機の生産も終了しています。
筆者にとってビデオテープの思い出といえば、やはり映画です。
幼少期、映画好きな親に連れられてレンタルショップへ行き、何本もの作品を手に家に帰った記憶が今でもあります。
再生機を失った今、ビデオテープを捨てている人も多いのではないでしょうか。ですが、そんなビデオテープにも貴重なものがいくつかあります。
未だDVD化されていない作品を記録したものです。いわゆる幻のビデオテープ。
マニアにとって、胸躍る言葉でもあります。
再生機を持っていなくても、手にできるならほしいと思える幻のビデオテープとは真逆に、手にできてもほしくないのが呪われたビデオテープ。
手にしてしまったら、見てしまったら。
どうなるのでしょうか。
キャッチコピーは、
「ビデオに殺されるなんて。」
1998年公開の映画『リング』のお話。
原作は日本の小説家、鈴木光司氏の同名小説『リング』。監督は現在も活躍中の中田秀夫氏。
ホラーが苦手な人でもその名を知るほどに有名な呪いの元凶。山村貞子。
邪悪な力をもち、一本のビデオテープにその怨念ごと乗り移った存在です。
今ではJホラー界のアイドルとされ、始球式にまででるほどにアイコン化されたキャラクターでもあります。
テレビから這い出すどころか、堂々とテレビに出演してしまう始末……。
戻るビデオテープを失って実世界に取り残されたと考えると、かわいい存在なのかもしれません。
そんな貞子が初めて姿を現したのが、長く続くことになるシリーズの一作目『リング』
見ると一週間後に死ぬとされる呪われたビデオテープを見てしまった主人公が、呪いを解くためにビデオの謎に迫るというサスペンス要素を兼ねたホラー作品です。
原作ではミステリ要素にも力を入れていた本作は、映画化にあたり、ホラー要素へと注視。
数々の改変を加えて作品を仕上げています。
特に大きなポイントというのが、
主人公の息子の存在。
息子もビデオを見てしまったことで、呪いを解かなければという主人公の気持ちに鬼気迫るものが生じています。
自分だけならばまだしも、大事な息子の命まで危険にさらされている状況。親の精神としては持ちこたえられないほどの苦境だと思います。
そしてリングが映像化されてなによりも良かったのが、作品の肝であるビデオテープの中身です。
恐怖映像として切り取られていることも多く、それだけ目にしたことがある方もいるかもしれません。
不安定な映像のなか。
脈絡なく繋がれた不気味な記録。
一分程度の映像に、呪いという強い悪意をひしひしと感じさせ、嫌ぁな予感を漂わせる素晴らしい出来栄え。
ぜひ、作品の一部として目にしてほしいワンシーンです。
DVDが通常の今。ビデオテープというのは過去の話。映画とはいえ、現実味を抱けない恐怖かもしれません。
ですが、
人の悪意とは常に身近なものだったりします。
あなたの手にしたDVDが、誰かの悪意を保存したものでないことを願って。
以上、映画『リング』の紹介でした。
原作小説はリングからなる三部作が刊行。
ホラーの「リング」から始まり、
医学的視点から切り込む「らせん」
そしてSFに至る「ループ」。
想像もしえない展開に驚くこと請け合いです。
特に「ループ」は、
ある意味で禁じ手ともいえる内容。
映画でも小説でも、
その後が知りたくなった方はぜひ。
そして個人的趣味の話。
上の画像は、
「貞子 お厄立ちグッズコレクション」
というカプセルトイの景品です。
筆者は、テレビから這い出す貞子。指さし男。鏡。の三種をゲットしました。
謎の指さし男はニッチな人気があるようで、ある界隈では右打ち男とも呼ばれているそう。
分かる方は分かると思います。
そう、パチンコです。
どうやら、この指さし男が出現すると大きなチャンスなようで、それがニッチな人気を生む要因なのかもしれません。
映画では一瞬しか現れないこの指さし男。
自分もその謎な出で立ちが好きだったりするのですが、映画とは関係のないところでも人気を博し、愛称までついているのは面白いものですね。
このカプセルトイは一回300円。
見つけた方はぜひいかがでしょうか。