「きみは、ほんとうは、いい子なんだよ」
黒柳徹子(1981)『窓ぎわのトットちゃん』.講談社
この本は、先生としての自分のバイブルみたいな本で。子どもを理解することの根本が書かれていると思ってる。
「きみは、ほんとうは、いい子なんだよ」
初めてこの本を読んだのは、小学生の頃だ。とにかくとても面白くて、何度も何度も読み返した。
トットちゃんの感じ方には、子どもながらに共感した。そして、それ以上に小林先生のこの言葉が、あの頃からずっと、わたしの心に残っている。
「きみは、ほんとうは、いい子なんだよ」
子どもを見取ろうとするとき
小学校で教員をしていた頃、一斉授業をする上で、周りと歩調を合わせにくい子どもたちが少なからず存在した。
一斉授業の形でなければ、彼らの良さはもっと簡単に周りからの評価を得られるのだけれど、と今は思う。
彼らの行動が、授業を予定通りに進行することを止めてしまったりするわけだけれど、その度に思っていたのは「この行動が起きる理由が必ずある」ということだ。
なので、「理由なく、こういうことする子じゃないんだよな」と感じていて、あるときからそれを声に出すようにしていた。その子と周りに聞こえるように。
すると意外と、というか当たり前だけど、その行動が落ち着くことが多かったなあ。
わたしの教員としてのその姿勢の根本は、小林先生の「きみは、ほんとうは、いい子なんだよ」に通じる。
院の同期ちゃん
先日、大学院の教育学研究科の同期ちゃんに、修了してから1年半ぶりに再会した。
新規採用から一年半。初年度は5年生を担当して、今は持ち上がって6年生を担当しているそうだ。
仕事は大変だけど楽しい、と話してくれた。その彼女のことばのなかに、「子どもたち、いろいろあるけど、みんな本当はいい子なんで」という言葉があった。
わあ、トットちゃんの小林先生のことばだ!と思った。
教員2年目で6年生を担当しながら、このことばを語れる同期ちゃんは、子どもたちにとっていい先生に違いない、と確信した。頑張ってるなあ、と嬉しく話を聞いた。
帰宅して、本棚の『窓ぎわのトットちゃん』を手に取った。そして思わず、noteの記事にしてしまった。
同期ちゃんが『窓ぎわのトットちゃん』を読んでいたかは知らないけれど、子どもに対してその視点を持てることは、先生としての強みだと思う。