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“死”への恐怖と生物学的寿命を考える──がん治療から見えた人生観
この記事について
僕のポッドキャスト番組「バリアフリー探求所 〜心の壁を考える~」の過去エピソード(2024年2月16日配信)を文字起こしし、AIで拡張した実験的記事です。
https://stand.fm/episodes/65ccbba4a3b59b8419000697
1. はじめに:がんと向き合う心境
昨日まで「悪性黒色腫(メラノーマ)」について話してきましたが、そこでよくいただく質問として、「死ぬのが怖くないのか?」というものがあります。もちろん「死にたくない」という気持ちはありますが、私の中では「死んだら死んだでしょうがない」と思っている部分もあるんですよね。
実際にそうなったときにどう思うかは正直わかりませんが、こうした考え方には、網膜色素変性症が判明した際に落ち込んだ経験が影響しているように思います。発覚後2〜3ヶ月ほどはひどく落ち込み、妻に「離婚しない?」と聞くなど相当メンタルが沈んだ時期もありました。いずれ機会があれば詳しく話したいと思っていますが、そのどん底を経験したからこそ、「がんになってしまったのなら、もうしょうがないか」という感覚があるのかもしれません。
2. 生物学的寿命への興味
2-1. DNA解析から推測される「38歳説」
私が「死」についてあまり過度に恐れずに考えるようになった背景には、「人間の生物学的な自然寿命」についての興味があります。
ある説では、DNAの解析から「人の自然寿命は38歳」と推測されるという話を聞いたことがあります。これは、太古の昔から続く人類の歴史をDNAが記憶しており、長い期間にわたり38歳前後で亡くなるケースが多かったことに基づく推測のようです。
もちろん現代の平均寿命は男女ともに80歳を超えていますし、医療の進歩や栄養状態の改善などで寿命は大きく伸びました。たとえば私が治療に使っている免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ(ニボルマブ)」のような最新のがん治療薬は、かつては不治の病といわれた病気の生命予後を大幅に延ばす可能性を切り拓いてくれました。
2-2. がんリスク増加と「55歳説」
一方で、「55歳が自然寿命」という説を唱える方もいるようです。これは55歳を境に細胞ががん化しやすくなる傾向が高い、という統計や研究を根拠としているらしいですね。
実際、日本では「2人に1人が一生のうちにがんになる」ともいわれています。食生活や生活習慣の変化など様々な要因がありますが、単純に高齢化が進むことでがんの発症リスクも増しているのは事実です。
3. 私自身のがん診断と“寿命”の捉え方
私が実際に「悪性黒色腫(メラノーマ)」と診断されたのは49歳のときで、51歳で肺への転移が見つかりました。ある意味、ここが一つの“寿命”の節目と捉えることもできるのかもしれません。
もちろん、「死にたくはない」し、「できるだけ長く、楽しく生きたい」というのが本音です。しかし、以前の病気の経験を経たことで、生物学的寿命やDNAの歴史的視点などを踏まえると、「いつ死んでもある程度は納得できる」という不思議な感覚もあるのです。
4. 40代以降の健康維持への意識
では、そんな私が普段どのような健康意識を持っているかというと、40代以降は“意識して”健康管理をすることの大切さをひしひしと感じています。
30代まではある程度無理がきいても、40代を超えると体力や代謝が落ち、健康的な生活を心がけないと体にガタが来るということを実感しました。たとえば、
- 食生活:野菜中心とまではいかなくてもバランスよく食べる
- サプリメント:不足しがちな栄養素はサプリで補う
- 定期的な検査:早期発見・早期治療のための健康診断
などは意識的に行っています。
5. まとめ:人生をよりよく生きるために
「死」を意識すると、逆説的に「どう生きるか」を強く考えるようになります。私にとっては、がんをはじめとする病がそのトリガーになりました。治療はもちろん続けていきますが、万が一に備えつつ、日々を丁寧に大切に過ごすことを心がけたいと思っています。
この記事を読んでくださっている方の中にも、健康不安や将来への不安を抱えている方がいるかもしれません。けれども、医学は着実に進歩していて、平均寿命や健康寿命も伸び続けています。だからこそ、自分自身の体と心を大切にしながら、「今を楽しむ」ことを忘れずにいたいですね。
この記事は、個人の体験や考え方を共有するものであり、医療情報としての正確性を保証するものではありません。体調に不安を感じる場合は、専門医療機関での受診・相談をおすすめします。