笑顔を迎えにいくひと 第2話
ケ・セラ・セラ
なるようになる、という魔法のことばは
わたしを笑顔へと導いてくれます。
五感で感じるこの世界のよいところに気づけるようになると、こころも穏やかになってゆきます。
きょうだいだけで暮らした日々が
わたしの心身をだんだんと癒やしてくれて
その後、地元でもようやく自分の居場所を見つけることができ、
ああ、無事に社会でやっていってる!
負のループに惑わされることなく仕事もできる!
そう思える毎日は鮮やかに色づいていきました。
残念ながら、思わぬところから訪れた暗闇から逃れようと、適当な理由を見つけて、職場を離れることにしました。男のひとから好かれるというのも考えものですね。
ふたたび本州へと舞い戻ったわたしは心機一転、
自宅でもできる仕事を手に入れました。
自由という呼び名のついたそれはたいそう心地よく、できることが増えること、認めてもらえること、人間関係から解放されてそれはそれは楽しく過ごしましたとさ。めでたし、めでたし。
などと、ハッピーエンドで終わらせることはなく日々を過ごすなかで、強制的に世の中が人との距離をとることを推奨する流れが訪れます。
会いたくないひとと会わない、のではなく
会いたいひとに、会わない。
家族でさえ、寄り添うことに躊躇する。
そんななか、人とのつながりとは何か、とても考えさせられました。
繋がることで初めて得られる喜び。
SNSでの発信は仕事柄好きなコミュニケーションツールのひとつとなり、地元から遠く離れた街にいながら個性豊かな友人たちができました。
それはわたしの個性をもまるっと受け入れてくれる空間でした。
実際に会って知り合った関係性ならば、
それはお互いにとって、ともすれば煙たがれる個性だったのやもしれません。
笑って受け入れてくれる仲間たちに出逢えたのも
奇跡というか運命というか、
そこに飛び込む勇気を持てた自分にも感謝です。
こうして穏やかに思える環境を知れたなか
きっとずっとこの世界を選ぶことも出来たのだけれども、わたしはふたたび、呼ばれるかのように地元にほど近い街へと居を移すことに。
この一年で出逢えたたくさんの友が、名残惜しんで、でも大きなエールを贈ってくれました。
ほんとうにありがとう。
さて、わたしの人生のいまは何章目くらいだろう。
自分の個性と向き合って、企業に勤めることに、ふたたびチャレンジをしてみるのでした。
そうして、運命の出逢いが待っていてくれたのです。
BGM
光/宇多田ヒカル
つづく