抗がん剤後検査~緊急入院【ワタシと夫と膵がんと⑥】

2020年4月最終週に術前化学療法(抗がん剤)は終了した。

抗がん剤全9回(実際は1回受けれなかったので、8回)が終了するときには”かろうじて生きている”そんな印象だった。

抗がん剤治療が終わってから2週間は、色々な症状がありながらも家の中でマイペースに生活し、週3回の自分の診察には頑張って出ていた。

5月の連休が終わり、待っていた抗がん剤後の検査が始まった。

造影CT・造影MRIを先に受け、翌週にPETを終わらせた。

PETの検査結果が出たら診察になり、手術が受けられるかどうか。最終判断がくだされる手はずになっていた。

その診察日の連絡待ち状態だった私たち。いつ連絡来るかなと待っていた。

しかし、

5月20日いつもの様に仕事から帰ると、夫の姿がリビングに無い。

子どもたちに夫の居場所を尋ねると、寝室で寝ているよとの事。

抗がん剤が終わってから一日寝込むことなんてなかったし、体調が悪くても夕方は子どもの宿題を見守っていたりで寝込むのは珍しいい。

夫の状況を見に行くと”お腹が痛い”と辛そうに話す。

う・・・・ん。嫌な予感。

食事はとれそうにないと。

ならば、ざっとシャワーだけにして早く寝る支度をして休もう。

あと、体温もはかってね。と検温してもらうと

やっぱり・・・・熱がある。

膵炎じゃない?


「だめだ、明日病院行こう。」

そう夫に伝え、私は子どもを寝かせてから、入院になってもいいように準備をし、万が一夜中に体調が悪くなっても大丈夫なように直ぐに出かけられる準備もしてその日は休んだ。

そして翌朝、子どもたちを学校に送りだし

大学病院の外来が始まる時間はまだ30分先だったが、病院まで1時間半。予約外の受診ができるかどうかも分からないけど、とりあえず夫を車に乗せて病院を目指して発車させた。

この状態の患者を断るはずがない。根拠のない自信が私を突き動かしていた。

8時半になり外来が開く時間になったところで車を止めて病院に電話をした。

外来の看護師さんに状況を説明し、遠方なため既に向かってることも伝え、電話を一旦切って折り返しの電話が来る間もとにかく病院に向かって車を走らせた。そして病院まであと30分までの所まできた時に病院から受診OKの連絡が来た。

病院に着き、歩くこともできない夫を車椅子に乗せて検査室に行く。その後は外来の処置室に直行し諸々の検査が始まった。

ここまで来れば大丈夫。とりあえず大丈夫。


病院に向かう前夜、夫は弱音を吐いた

「ケモ(抗がん剤)ダメだったのかな・・・効かなかったのかな」

癌が大きくなり、悪さをして痛みが出たと考えたんだろう。

彼の思考は基本ネガティブ。いつも悪いことしか考えない。

100ある良いことより1の悪い事に目を向ける損な性格だ。

だから言ってやった。

「私がついているから大丈夫」と。

勿論、根拠なんてない。


診察の結果、抗がん剤で腫瘍が小さくなり前回入れたステントが動いてしまった。そのため膵炎が起こったのだそう。

その日のうちに緊急でERCPが入り、今度は鼻から管を出し胆汁を外に出すスタイルに変った。

採血上で黄疸、肝機能障害、膵炎のデータが良くなるまで禁食、入院して治療を受けることになった。


時はコロナの真っただ中。それから私は夫の面会さえも叶わず往復3時間かけて着替えを届けるだけの日々。けど、一番不安で寂しかったのは急に父親が入院してしまった子どもたちだった。

コロナで不規則な登校で、父は入院して。

それでも日々、自分のすべきことをちゃんとできた子供たち。母は誇りに思うよ。


つづく。



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