天の逆鉾を拝みに高千穂峰に登った話。
天の逆鉾(さかほこ)
という矛が
鹿児島県と宮崎県にまたがる霧島連山
高千穂峰のてっぺんに刺さっている
日本神話の中で、天照大御神の孫、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が
突き刺したと伝わる
そんなミステリアスな話を知ったのは
小学校の頃だったか …
そのとき
大人になったら絶対行くと決めて
無事大人になって
なんの運命か九州に移り住むことになって
近いし、いつか登りに行こう
と思っていたのだが
何度誘ってみても
イシイさんは全然興味がなく
でも折角なら誰かと登りたいし
一緒に登ってくれる人いないかなあ、と
タイミングを見計らっていた
しかしそんな事も忘れて
子育てに仕事に没頭し
こちらに引っ越して8年
正月の集まりで
なんとなくその事を
イラストレーターのムツロマサコさん(以下ムツロン)に話したら
一緒に行きたいと言ってくれ
(彼女は富士山を登った経験があります)
彼女と
宮崎旅行と高千穂の峰登山をすることになった
実はちゃんとした登山をするのはこれが初めて
この為に登山靴を購入し
石が入り込まないようにゲイターも装着
高千穂河原ビジターセンターに名前を書き竹の杖をお借りし、ルートの説明を受け、腹ごしらえしてから二人で山頂を目指しました
お参りして
いざ入山
木々の間を抜けていきます
なかなかしんどいけど
はじめは
いわゆる今まで経験した事のある
山登り
林をぬけると
赤い山が見えてきた
あれ
あれ
あれ?
なんだこの傾斜
(足で挟まないと落ちる…)
初心者でも登れるって記事で読んだのになあ
おかしいなあ
なんだかどんどんハードな道へ…
何ここ火星・・・?
赤い砂と岩だらけの道
次はどの岩をつかむのか、選択の連続。
ボルタリング的要素満載な山であった。。。(あ、でも直角じゃないよ。斜面だよ。)
滑るし
ゴツゴツの岩だらけ
登山靴履いてきて良かった…
スニーカーでは危険ですね
やっと急な斜面を抜ける
高千穂峰に登るにはまず
御鉢という、お椀型の火山をのぼり
幅3メートルの道(両側は絶壁)を越えなくてはならない(馬の背越え)
ここで引き返す人もいるが
進めば進むほど、見たことも無い絶景が広がっていた…
岩や山肌
自然が作り出す造形に息をのむ
しかし時折突風にあおられ
崖に落ちそうに・・・
気を抜くと死ぬ
怖かったけど
歌いながら二人で歩く歩く歩く
馬の背をぬけると
不思議な景色が
そこを越えると
6世紀ごろに創建されたという霧島神宮の元宮にたどり着く
ムツロンと
パンパン、と柏手を打つと
あたり一面無音に
本当に
なにも聞こえない
さっきまであんなに風が吹いていたのに
一瞬ここがどこなのか分からなくなる
神秘的な体験だった
見上げると高千穂峰
ここまで来たら行くしか無い!と
山頂まで一気に駆け上る
足場の木も壊れてたり
疲労もピークに…
心が折れそうになるが
あきらめない
本当に行きたいのか
何度も試されている感じがした
自分の鼓動と息と風しか聞こえない
天の逆鉾がみえてきた
あれが…
あれが!!
そしてついに…
頂上に到着!
生の天の逆鉾…
すごい体験だった
一生忘れられない景色
実際に登って
見て感じて欲しい景色
写真だけじゃ
伝えきれない
ゆっくり眺めたかったけど
日も暮れてきたし
あまりのんびりしていられない
だって今この山にいる人間は
私たち2人だけ
早々に下山開始
下山も大変
砂利道を下るので
滑る滑る
私はここで
滑り止めのついた手袋をしてこなかったことを後悔していた
(指を負傷)
下山の時は危ないので
写真は撮れませんでした
やっと下のほうで撮った写真がこれ
ムツロン…
一緒に旅してくれて
本当にありがとう …
登山経験者のムツロンが
登り方、
降り方を身をもって教えてくれたおかげでなんとか登れた
1人だったら心が折れていたかもしれない・・・
この山登りは
本当は二日後の予定だった
しかし天気予報を見ると
今日登るのがベスト
明日以降は雨と霧が心配だった
ムツロンと別府で早朝待ち合わせして
車で南下したその足で
登ることにしたのだ
入山は14時までだったのに
腹ごしらえ、着替えなどをして
登りはじめたのが14時40分ごろという…
下山者とばかりすれ違うし
焦ったけど
天気が良かったので見晴らしもよく
良い山登りでした
しかも前日興奮してほとんど寝てなかったし…
本当は十分に休んでから登るべきだった
結構体力消耗する
しかしあの景色は…
見る価値あり
2人以上で登るのをオススメする
もうすっかり日が暮れている
日が暮れる前に
なんとか無事下山…
登りはじめが14時40分
下山したのが17時40分頃だったと思う
(高千穂河原ビジターセンターは17時で閉まる。下山した時にはもう誰も居なかった。車もうちらのだけぽつんとある。お借りした竹の杖はセンターの入り口に立てかけておいた。)
登りが2時間弱、下りが1時間くらい
合計3時間
濃密な3時間だった…
ありがとうございました
そしてそのまま
ムツロンの友達である
画家のイケダユーコちゃんの家に宿泊させてもらいました
つづく
創作活動の励みになります。