温室そだちを貫いていく
「マキちゃんは、本当に温室育ちで生きてきたのね」
新入社員の頃、お局様代表の方に言われたセリフ。この後
「世界は広くて、マキちゃんの知ってる世界は小さくて、結構世の中は冷たかったり厳しかったりするの。でもね、できることなら、ずっと温室だけで生きていってね。」
と言われた。
入社当初、要領も悪く、気も利かず、社風にもなじめず浮いていた。お局様からの当たりは最も強く、面と向かって注意されるより、陰口を言われることが多かった。
でも、客観的に自分を見た時、イラっとされるだろうことは分かるので、彼女は怖かったけど、金魚のふんのようについて回った。職制による差、新卒新人への手厚いフォロー、彼女はその恩恵を受けたことがない方だった。
ニコニコだけがとりえの新人は腹立たしかっただろう。
間違いなく彼女は一番怖くて厳しかったけれど、一番社会人としてまっとうな方に見えた。前職は営業力やコミュニケーション力、対外的な能力の高い人が多かったが、時間を守るとか、いわゆる社会人としての常識がない人が多数。
一般常識は、彼女と、彼女と仲良しのアシスタントさん(私の初のアシスタントさんでもある!)に教えてもらった。彼女たちが大好きだった。
気づけば、当時の彼女たちより歳を重ねている。今、私は22歳の新人の子たちに、彼女のように接することができるかな、なんて思いふけることがある。
思い更けてるから書いてるんだけどね。
この半年、あまりに長く深く人生の振り返りをしていたら、色んな人からの言葉が心を巡ってる。出会った人すべてのおかげで、自分が出来ているなと。
できることならずっと温室だけで生きていってね
彼女からの愛を感じた言葉。
今なら分かる。
温室育ちだからこその、呑気な人間の良さが。
これからも温室育ちを貫いていきたい。